こんにちは。日本知育玩具協会認定講師の中村桃子です。今回は、「誰でも楽しめる立体パズル “キュボロ” の遊び方」についてお話ししましょう。
キュボロとは、上に道があり、下に道があり、そして中にも道がある、一辺5cmの立方体の積木のこと。この立方体の積木を組み合わせて、“上からビー玉を落とし、転がっていく道を作る” のがキュボロ遊びです。
前回の記事「あの藤井聡太さんも幼少期から遊んでいた! 大人気の知育玩具『キュボロ』で “非認知能力” を育てよう。」でもお話ししましたが、キュボロが子どもから大人までも惹きつけてやまないのには、さまざまな理由があります。そのひとつとして挙げられるのは、積木を組み合わせていきながら積木の中の道を考える、つまり「“見えていない部分” への想像力を働かせる必要がある」ということです。
これが、おもしろくも難しい。それゆえ、「せっかくキュボロを手に入れたのに、子どもへの遊ばせ方が全然わからない……」と悩まれている親御さまも、決して少なくはありません。このキュボロ、どのようにして子どもたちに遊ばせてあげればよいのでしょうか?
作る “過程” を見せることで論理的思考が育つ!
結論から申し上げますと、はじめから子ども自身にキュボロを組み立てさせるのは、そもそもハードルが非常に高いです。もちろん、最初からできる子どももいますが、全員がそうではありません。「うちの子はどうして遊べないの?」なんて悩む必要はないのです。では、どうしたらよいのでしょう?
答えはシンプルで、「まずは親御さまがキュボロを組み立ててあげればいい」だけ。
キュボロで何段もの積木の道を作るには、下から上へと順番にパーツを組み合わせていく必要があります。組み合わせ方を間違えてしまえば、当然、ビー玉はうまく転がっていってくれません。大人が試行錯誤しながら積木を組み立てていく過程を見ることを通して、子どもたちは「うまくいくことにも理由があり、うまくいかないことにも理由がある」という論理性を学ぶことができるのです。
たまに「キュボロを組み立てるのが苦手で……」という親御さまもいらっしゃいますが、心配ご無用。なぜならば、子どもたちはキュボロを組み立てる大人に対して寛容であり、難しいものを作ることは決して期待していないから。ですから、お父さんもお母さんも、気負うことなく楽しみながら一緒にチャレンジしてみてくださいね。大人だって、遊べば遊ぶことスキルは上がっていきますよ。
そして、積木の道が完成したら、子どもには “ビー玉を落とす” という一番楽しいところをたくさん体験させてあげましょう。
キュボロは “ジョイントされていない” 積木。だからこそ楽しい!
じつは、まだ小さい子どもにとっては、“ビー玉を落とす” ということすら難しい場合があります。なぜならば、キュボロはあくまで積木であり、隣や上下のパーツと “ジョイントされていない” から。ビー玉を落とすときにうっかり積木に触れてしまったりすると、道がずれ、ビー玉がうまく転がらなくなってしまうのです。
「しっかりジョイントされていれば、積木がずれることなく遊べていいのに……」と思う親御さまもいるかもしれませんね。たしかに、そのほうが、子どもたちの遊びが中断されず、途中で集中力が切れることもなさそうに感じられます。
しかし、実際はその逆。この “ジョイントされていない” というところがミソで、まさに子どもたちが何年経ってもキュボロで楽しく遊び続けてくれる理由そのものなのです。
ビー玉を落とし、途中で道がずれたら微調整する。そしてもう一度試してみる。このような試行錯誤をとおして、子どもたちはキュボロの仕組みを理解していきます。のちに自分でキュボロを組み立てられるようになるための “創造力の基礎” が、ここで徐々に育まれていきますよ。
キュボロで「問題解決能力」と「コミュニケーション能力」を育てよう
上手にビー玉を落とせるようになったら、次はお子さまに、パーツ表面にある溝を使って “見える道” を作らせてあげましょう。積木の高さをつけず、自分の指でビー玉を転がしながら、平面で遊ばせてみるのです。そして、少しずつ上にパーツを増やしていって段を作り、“高さのある道” や “見えないトンネルがある道” へとステップアップしていきましょう。
- ビー玉がどう転がっていくか予想する
- 実際にビー玉を転がして検証する
という遊びを繰り返すことで、問題解決能力が身についていきますよ。
加えて、ぜひ実践していただきたいのが、兄弟やお友だちと一緒にキュボロで遊んでみるということです。相談しながら「いま組み立てたキュボロは、どう転がっていくかな?」ということを考え、みんなで話し合いながら予想し、最後に結果を確かめる。このように、これからの子どもたちに最も必要とされているコミュニケーション能力を育てていけるのも、キュボロのすばらしいところです。
***
さて、次回は「自分に “いいね” が押せる子どもになる知育玩具」をご紹介します。お楽しみに!
監修:(社)日本知育玩具協会