みなさんのご家庭に「木のおもちゃ」はどれくらいあるでしょうか?
大量生産しやすく比較的リーズナブルなプラスチック製のおもちゃが世を席巻しているいま、木のおもちゃを豊富に持っているご家庭はそれほど多くないかもしれませんね。なかには、「出産や誕生日など特別なタイミングで頂くもの(贈るもの)」というイメージを抱いている人もいることでしょう。
たしかに、職人がひとつひとつ手作りで生産していることも多い木のおもちゃは、値段も張るため、少々とっつきにくいかもしれません。しかし、木のおもちゃならではの知育効果を知れば、きっと「子どもにもっと与えてあげたい!」と思うはず。
そこで今回は「木のおもちゃ」にスポットを当て、その知育効果や魅力を詳しく解説していきます。あわせて、「木のおもちゃは値段が高くて手が届きづらい……」という人に超おすすめのサービスもご紹介しましょう。
木のおもちゃは知育にどんな効果をもたらしてくれるの?
【木のおもちゃの知育効果1】木育――古来からの “木の文化” への理解が深まる
みなさんは「木育」という言葉を聞いたことはありますか?
認定NPO法人 芸術と遊び創造協会が運営するWebサイト「木育ラボ」によれば、木育という言葉は、平成16年に北海道が「協働型政策検討システム推進事業」のテーマとして選定してから使われるようになったとのこと。そして木育とは、「子どもの頃から木を身近に使っていくことを通じて、人と、木や森との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育む」ことを指します。
私たちの身のまわりでは1枚の紙から家具、建築にいたるまで、木から生まれた製品が使われていますが、そのモノの素材になった木を、さらにはその木が生きていた森を想像できる人はどれだけいるでしょうか?
また、木が、私たちが使う資源の中で唯一、自然と人間の力で再生される循環資源であることに重きを置く人はどれだけいるでしょうか?
(引用元:北海道庁|平成 16 年度協働型政策検討システム推進事業報告書 木育 ~木とふれあい、木に学び、木と生きる~(PDF))
木を切ってはいけない、木でできた製品を使うのは悪いことだ――こんな論調を耳にしたことのある人も多いことでしょう。日本の森林がどんどん減っていく……と。しかし同報告書は、これを “あいまいな正義” と形容したうえで、森林や環境への理解が充分ではないと指摘しています。
事実、日本の森林面積は過去50年間ほとんど変わっていません。さらに特筆すべきは、人工林の森林蓄積はこの50年間で6倍に増えているのです。森林蓄積とは「森林を構成する樹木の幹の体積」を指し、森林資源量の目安となります。人工林の森林蓄積の増加は一見すると歓迎すべきことのように見えますが……その背後には、せっかく木材として使うために植えた木々が伐採されずに放置されてしまっているという重大な問題がひそんでいます。適切なタイミングで伐採し、資源として有効活用しつつ、次世代のために植えていく――そのサイクルを正しく回していく必要があるのです。
もちろん、まだ幼い子どもが木のおもちゃに触れたところで、そこまで深遠な感慨は抱けないかもしれません。しかし、「この木はどこで育ったんだろう?」「この木のおもちゃはどんな人が作ってくれたんだろう?」などと、心のどこかで木の文化に思いを馳せるきっかけにはなるかもしれませんね。
【木のおもちゃの知育効果2】五感を刺激し集中力を育んでくれる
プラスチックなどほかの素材で作られたおもちゃに比べ、木のおもちゃにはどこか温かみを感じますよね。デザインがごちゃごちゃしていなく “ほんわか” したものが多いというのも理由のひとつでしょうが、木そのものの特性がそう感じさせてくれているという面もあります。
言うまでもなく、木は生命です。人間と同じく細胞からできており、そこには多くの空気が含まれています。そのため断熱性や保温性に優れているのです。木育インストラクターとして活動する足立由美子さんは、木のおもちゃが持つ効果について次のように話します。
温度変化に敏感な乳幼児の場合、触れた時に人肌に近い温かみのあるおもちゃで遊ぶということは、感覚的に心地よく、好奇心や興味を妨げずに長く遊ぶことができます。そのため、集中力が育まれると言われています
(引用元:いこーよ|「ぬくもり」だけじゃない、木のおもちゃのメリット ※太字は筆者が施した)
また、五感が敏感な乳幼児期に木のおもちゃがいいと話すのは、東京おもちゃ美術館副館長の馬場清さん。触ったときの柔らかさや温もりだけでなく、木独特のにおいや木目の美しさ、あるいはおもちゃ同士をぶつけ合ったときなどのまろやかな音など、木のおもちゃは五感を刺激する要素をたくさん含んでいます。
大人になると視覚や聴覚が主になっていきますが、子どもの頃はにおいを嗅いだり舐めたり、五感を駆使していますよね。だからこそ、この時期に五感を働かせるものに出会って、発達させていくことが大切です
(引用元:ほいくis|保育・子育て現場で注目!「木育」の効果とは? ※太字は筆者が施した)
木ならではの刺激が、子どもの五感の発達を手助けしてくれるのですね。
【木のおもちゃの知育効果3】子どもの想像力を刺激する
木のおもちゃのほかの特徴として、デザインがシンプルなものが多いことが挙げられます。
たとえば、木のおもちゃとして代表的な積み木を例に挙げてみると、丸かったり三角だったり四角だったりするだけ。名前こそ「積み木」ですが、必ずしも積んでいくことだけが遊び方とは限りません。楽器のように打ち鳴らしてもいいでしょうし、ころころ転がしてその動きを観察するのだって立派な遊びです。つまり、シンプルなデザインゆえ遊び方が限定されず、子どもの想像力を刺激することが、木のおもちゃが持つ強みのひとつと言えます。
前出の足立さんは、木のおもちゃで遊ぶ子どもを見ていると、「ひとつのおもちゃに関わる滞在時間が、ほかの素材に比べて長いと感じる」と述べています。「これはどんなふうに遊ぶと楽しいんだろう?」「そうか、こんな遊び方もできるんだ!」――そんな試行錯誤や発見が、子どもを夢中にさせるのでしょう。
子どもの想像力は、私たちが思う以上に豊かです。決まった手順で決まったとおりに遊んでもらうのもよいですが、たまには、遊び方が固定されていないおもちゃを与えて子どもに任せてしまうのもよさそうですね。
おすすめの木のおもちゃを知育の観点から紹介!
量販店等ではなかなかスポットが当たりづらい木のおもちゃですが、実際にどんなものがあるのでしょうか。おもちゃコンシェルジュの青栁陽介さんが、代表的な木のおもちゃをいくつか紹介してくれました。
「1歳向け」の木のおもちゃ:おさかなシロフォン
日本の玩具会社ボーネルンドが販売する「おさかなシロフォン」は、名前のとおり、お魚の形をした木琴です。聞く力を養う時期だからこそ、子どもの楽器には音の狂いが少ない、良い素材のものを選ぶことが大切――メーカーのホームページにこう書かれてあるとおり、群馬県の工房で作られているこの木琴は、なんと専門の調律師が音階や音色を手作業で確認しています。サイズは、小さな子どもにとっても扱いやすい1オクターブ。どの音を叩いても、即興ですてきなメロディーが奏でられます。
「2歳向け」の木のおもちゃ:ままごといっぱいセット
一般的にままごとは3歳からですが、少し早く2歳からでも遊べるのが、幼児教室も運営している兵庫県のエド・インターが製造販売している「ままごといっぱいセット」。安心安全な塗料を使っているのはもちろん、何より “切る触感” が子どもをとりこにします。また、トレーがついているので、切った食材を運んだり盛りつけたりすることも可能。お片付けの練習にもなりますね。食への興味とともに、ごっこ遊びを通じて想像力や社会性などが育まれていきます。
「3歳向け」の木のおもちゃ:レールつき電車
スウェーデンの老舗おもちゃメーカーBRIOから出ている木製レールつき電車は、3歳から楽しく遊べます。初めは「基本のレールセット」がおすすめですが、「地下鉄の駅」や「落下橋」なんてのも販売されていますので、思い思いに世界を広げていくことができますよ。電車を通じた遊びも、ごっこ遊びの一種。車掌さんや運転手さんになりきった子どもは、想像の羽を広げて楽しい冒険に出かけます。パパやママが線路のまわりの風景を絵で描いてあげたりすると、より子どもの知的探求心を刺激するでしょう。
「4歳向け」の木のおもちゃ:クアドリラ
4歳向けのものとしては、ボーネルンドの「クアドリラ」がおすすめです。いろいろな形状をしたレールやブロックを好きなように組み立てて、上からビー玉を転がします。組み立て方によってビー玉のスピードや通り道が変わったり、ブロックの向きを間違えるとそもそもビー玉が転がってくれなかったりなど、試行錯誤を要する楽しさがあります。
「5歳向け」の木のおもちゃ:キュボロ
スイスのキュボロ社が開発した「キュボロ」は、将棋の藤井聡太さんが幼少期に遊んでいたことで一躍有名になりました。穴の開いたブロックを組み合わせて、そこにビー玉を走らせます。一見シンプルな遊び方ですが、ブロックによって穴の形状が異なっているため、組み合わせ方によっては、ビー玉が途中で止まってしまったり、あらぬ方向に転がっていってしまったり……。ビー玉が止まらない道を考えるのは意外と難しく、できたときの達成感はひとしおです。
木のおもちゃは魅力的だけど高くて……そんなときは知育玩具のサブスクサービスを
とはいえ、記事冒頭でも述べたとおり、木のおもちゃはそれほど安くはないため、「なかなか手を出しづらい……」と躊躇する人も多いのではないでしょうか。あるいは、「せっかく奮発して買ったとしても、子どもが全然興味を示してくれなかったら……」と心配になる人もいますよね。「月齢や年齢が過ぎたら使わなくなってしまうのではないか……」という悩みもあるでしょう。たくさん買い揃えていくのも、経済的に現実的ではありません。
もっと気軽に、良質な木のおもちゃに触れさせてあげたい……そう思う方には、前出の青栁さんが運営する「キッズ・ラボラトリー」をおすすめします。
「キッズ・ラボラトリー」とは、知育玩具の定額制レンタルサービスです。子どもの成長に合わせた知育玩具が、個別にプログラミングされたうえで定期的に届きます。遊びつくして次のおもちゃが必要になったら、返却して交換。「家がおもちゃに占拠される……」と心配することなく、子どもにいろんなおもちゃを与えてあげられます。
そして、このキッズ・ラボラトリーの大きな特徴は “木のおもちゃがメイン” だということ。木という素材が持つ温かみを子どもに直に感じてほしいのはもちろん、日本の木を使っておもちゃをつくっている国内のおもちゃ屋さんをもっと盛り上げたいという思いがあったから、そういうコンセプトにしたと、青栁さんは語ります。
ちなみに、子どもがそのおもちゃをどうしても気に入って手放したがらないようなときは、市価よりも大幅に安い価格で買い取ることが可能とのこと。これならば、普通に購入しようと思ってもなかなか手が出せない木のおもちゃを気軽にたくさん試しながら、子どものお気に入りを見つけてあげられそうですね。
一番人気のプランは月額3980円(※税抜き)から。交換可能サイクルは30日で、3~5点のおもちゃが届くとのこと。詳しくはキッズ・ラボラトリーのホームページをご確認ください。
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おもちゃ屋さんや量販店ではなかなかスポットが当たりづらい木のおもちゃですが、じつはさまざまな知育効果があったのですね。木の文化に触れられ、集中力や想像力を高めてくれることが期待される木のおもちゃを、みなさんの子育てにもっと取り入れてみませんか?
(参考)
木育ラボ
北海道庁|平成 16 年度協働型政策検討システム推進事業報告書 木育 ~木とふれあい、木に学び、木と生きる~(PDF)
森林・林業学習館|日本の森林面積と森林蓄積の推移
いこーよ|「ぬくもり」だけじゃない、木のおもちゃのメリット
ほいくis|保育・子育て現場で注目!「木育」の効果とは?
キッズ・ラボラトリー