芸術にふれる/アート/デザイン 2018.9.25

【つくる喜びを知る】子どものちからを伸ばせるときとは?

【つくる喜びを知る】子どものちからを伸ばせるときとは?

私の仕事は基本的には在宅作業です。子どもたちと生活をするうえで、自宅にいながら仕事ができる環境はとてもありがたいこと。

もちろん手が止まってしまうことも多いので、良いことばかりではありませんが、一緒にいる時間が長いぶん子どものクリエイティブな部分がとてもよくわかり、それが今の仕事に活かされています。

今回はそんな子どもと一緒にいる時間の中でものづくりを通して感じたことについてお話します。

子どものクリエイティブなものの捉え方を広げるには?

“子どもは皆、生まれながらにクリエイター”

こう書くと大げさに聞こえてしまうかもしれませんが、子どもたちは皆何かをつくることが大好きです。積み木でお城をつくったり、クレヨンでお花の絵を描いたり、粘土でお団子をつくったり。いろいろ想像を膨らませて形あるものをつくり出します。そういう意味では、生まれながらにクリエイターの素質があると言っても過言ではないかもしれません。

想像し作り出すといっても最初は大人を真似することからはじまります。「くるまはこんな形だよね~、ぞうさんはこんな形だったかな~」と描いて見せると、まずはその通りに描こうとします。5歳になる息子は私の絵をよく見ているせいなのか描き方が似ているところがあり、その表現の吸収力にはいつも驚かされています。

はじめにどんなものを見せるか、普段からどんなものに触れているかによって子どものクリエイティブなものの捉え方は大きく広がっていくのではないでしょうか。そうした環境を整えることが、大人にできる寄り添い方のひとつだと考えています。

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まだ早いと決めつけず、子どもに大人と同じ環境をあたえてみる

子どもが興味を持ったことは大人と同じようにやらせてみてはいかがでしょうか。例えば筆や絵の具などを使わせてみたり……。もちろん常に見守っておかないと大変なことになりそうなのでヒヤヒヤしますが、これが意外と上手にできたりするので侮れません。

子どもにはまだ早いと思って決めつけてしまうのは、もしかしたらもったいないことなのかもしれません

子どものちからを伸ばせるときとは?2

ちなみに息子はiPadや液晶ペンタブレットを使っても絵を描きます、これも私の大事な仕事道具なのですがすっかり奪われてしまいました。大人がやっていることはすぐに真似したくなるのでしょうね。

子どものちからを伸ばせるときとは?3

こうしたデジタルツールを使えば表現の幅は格段に広がります、絵の具のように部屋を汚すことがないですのでオススメです。私の子どもの頃にはなかった環境なので、これが今後どのようにクリエイティブな世界に寄与していくのか、とても楽しみでもあります。

世の中はクリエイティブで溢れていることを知る

子どもが何かを作ったときには、それを大人の力で何か別の形にしてみるのはどうでしょうか。我が家では描いた絵(ここでは文字ですが)をパソコンに取り込んでプリントTシャツにしてみました。最近では1点からでも作ることができるサービスもたくさんあるので便利ですよね。

息子はこのTシャツをとても気に入ってくれたようで、よいプレゼントになりました。こうして自分の作ったものが喜びになる、その反応こそがさらなる制作意欲を沸き立たせてくれることでしょう

子どものちからを伸ばせるときとは?4

例えばこのTシャツのように作品が生活の中に取り入れられるということがわかると、同じように身の回りにあるものはすべて誰かが作ったものなのだと気がつけるようになります。

玩具もそう、絵本もアニメーションも、人の手によって生み出されていると。世の中がクリエイティブで溢れていることを知れば、これまでとは違った視点で物事を見られるようになり、そこから何かを得たり、共感したりして考え方が大きく広がるのではないでしょうか

クリエイティブなちからを伸ばせるとき

私が考える ”子どもがクリエイティブなちからを伸ばせるとき” とは、大いに力を発揮できる環境で、喜びや目的を持ってものを作っているときだと考えます

そして大人はそれをよく見てあげて、いいところをどんどん褒める。これに尽きると思います。私も小さい頃は絵を褒められるのが何よりうれしくて、明けても暮れても描いたものです。それがこうして大人になり職に就くまでなるのですから、褒めてみるものです。

そして今日もまた、私の仕事部屋で大いに力を発揮する息子、とどまるところを知らないクリエイティビティ。お仕事の納期が迫ろうとも、私はそれを優しく見守ってあげなくてはと、ひたすら褒めながら終わるのを待つのでした。でももうそろそろ、変わってくれないかな……?

次回は、そんなこどものクリエイティビティをさらに大きな舞台で発揮させるための、クリエイターと地域が一緒になってつくるワークショッププログラムのお話です。

■ イラストレーター・サタケシュンスケさん 連載一覧
第1回:【絵の世界は自由】子どもの視点や考えを尊重し寄り添う事が大切
第2回:【つくる喜びを知る】子どものちからを伸ばせるときとは?
第3回:【クリエイターと地域が協力】子どもの創造力を育てる「ちびっこうべ」 
第4回:【プラス クリエイティブな生き方】 多様化のすすむ世の中で自分らしさを感じる大切さとは

【プロフィール】
サタケシュンスケ(さたけ・しゅんすけ)
イラストレーター。京都造形芸術大学 非常勤講師。
1981年 大阪府生まれ 兵庫県在住
広告制作会社勤務を経て2007年に独立、以後フリーランスのイラストレーターとして活動を続ける。
主な仕事は広告、書籍等で使用するイラストレーションおよび
キャラクターの制作、モチーフは人物や動物が中心。
得意とするジャンルは子育てや教育、ファミリー向け。ライフワークとして子どもから大人まで楽しめるワークショップ活動も行う。
2014年度、2017年度 グッドデザイン賞受賞
Shunsuke Satake Illustration website https://naturalpermanent.com/