月の満ち欠けに規則性があることを知らない子どもは、夜空に月を見つけたときに不思議に思うようです。「今日のお月さまは、まんまるだね」という言葉の背景には、月にはいくつも種類があると考えていることも。
毎晩、空に見える月はどうして形が違うのか、その仕組みを理解させるには、親から月と地球と太陽の関係を教えるよりも、まずは自分の目で観察して調べると分かりやすいようです。
今回は自由研究のテーマに「月の満ち欠け」を選ぶときの、観察の仕方や仕組みの調べ方、まとめ方について解説します。
まずは、月を実際に見て記録する
月の満ち欠けを観察するときは「毎日コツコツ」がポイントです。
観察・観測記録をつける時には、同じ様式の紙に変化が分かるように書いていくのがポイントです。また、観測の場合には観測する場所や時刻を一定にすることが重要です。デジタルカメラを使って撮影しておくとよりよいでしょう。
(引用元:スタディサプリ|小学生必見…夏休みも楽しく学ぼう!自由研究の進め方)
月を観察するときは、原則として「同じ場所、同じ時間」で行ないます。自宅の庭やマンションのベランダで観察ポイントを決めて、同じ時間に月の様子を見ます。自宅周辺では月を観察しにくい場合、屋外で観察することもできます。ポイントを定める際は、夜間の観察だということを考慮して、必ず大人が同伴する、川や海に近い場所は選ばないなど安全確保に気をつけます。
実際に観察する方法として、小学生時代に月の満ち欠けを観察したことがある人は、ノートに月の形を模写したことを思い出すかもしれません。この方法が最も手軽な反面、子どもにとっては月の形の差を把握しにくく、模写自体も地道で長続きしにくい点がデメリットになりがちです。コツコツと作業することが苦手なお子さんには、模写ではなく月をスマホやデジカメで撮影する方法がおすすめです。
また、スマホやデジカメで撮影するのは簡単でも、自宅にプリンタがない場合や撮影したデータを改めて印刷するのが億劫だという場合は、コンパスで描いて切り取った円を6等分にして、夜空の月の形に一番近い状態に組み合わせて記録する方法でも良いでしょう。JAXAの宇宙教育センターが月の満ち欠けを記録するシール教材を作成しています。こちらはとてもわかりやすいですね。
(引用元:JAXA宇宙教育センター|宇宙教育教材 月の満ち欠けを観察しよう)
ここで気になるのは、「毎日コツコツ」が夏休みは続けにくいという点です。雨や曇りで月が見えない日や、お盆休みの帰省、家族旅行などで、観察できない日も出てくるでしょう。やむを得ず月を観察できなかった日は、何も記録せずそのまま空欄にしておきましょう。月の満ち欠けについて調べた内容をまとめるときに、空欄だった日の月を予想させることでさらに理解が深まる教材となります。
もうひとつ気になるのは、「何日、観察して記録を続ければいいのか」という点ではないでしょうか。月の満ち欠けのサイクルは約30日で、ひと回り分を観察すると分かりやすいですが、子どもたちの夏休みは案外忙しく、月の満ち欠けについて調べてまとめる時間を考えると、負担が大きいと感じるかもしれません。観察に適した日数というのはありませんが、少なくとも新月から満月へ、あるいはその逆の期間が記録できるくらいは続けたいものです。
月の満ち欠けについての調べ学習は、小4理科につながる
月の観察記録を続けながら、満ち欠けの仕組みについて調べていきますが、子どもが調べて理解しやすいアプローチには次のような方法があります。お子さんの成長段階に合わせて、理解しやすい資料を選ぶことが大切です。月の満ち欠けについては、小学校4年生の理科で習います。それまでに月の形が変わる仕組みについて概要を知っておくと、授業での理解も深まるはずですよ。
図書館で本を探す
児童書コーナーの「4自然科学」>「44天文・宇宙」または「0総記」>「03百科事典」の棚で月について書かれている本を探します。蔵書検索のパソコンが設置されている図書館であれば、「月」「月齢」「満ち欠け」といったキーワードを入力して関連する蔵書を検索してみます。
インターネットで月の満ち欠けについて検索する
蔵書検索と同様に「月」「月齢」「満ち欠け」などのキーワードで検索します。また、国立天文台やJAXAのサイトには月に関する情報が掲載されていますし、学校向けコンテンツである「NHK for School」では月の満ち欠けに関する分かりやすい動画がそろっています。
- NHK for School|月の形が変化するきまり
- NHK for School|いろいろな形の月
- NHK for School|月の形が変わるしくみ
- 国立天文台|暦Wiki 月の満ち欠け
- JAXA宇宙教育センター|宇宙教育教材 月の満ち欠けを観察しよう
- 日立製作所|月の満ち欠け観察
また、子どもが月の満ち欠けに興味をもち、仕組みを調べるきっかけを親から与えるときのヒントが、文部科学省の「小学校理科の観察、実験の手引き」にあります。実際、小学校4年生の理科で行なわれている「月と星」の単元の学習で、先生の手引きとしても使われています。こちらも参考にしてみてくださいね。
月の満ち欠けについて調べた研究のまとめ方
月の満ち欠けについて調べたことをまとめるときのポイントについて、順を追って説明します。
月の満ち欠けについて調べようと思ったきっかけ
生活の中で月の形が変わっていくことに気づいたエピソードなどを記述します。
観察の仕方
「いつ」「どこで」「どのように」を明確にしてまとめます。観察の記録方法は、月のイラスト、写真、月を模した紙などを子どもの意欲や成長段階に合わせて選びます。
予想
観察を始める前の月の変化の予想を立てて記述します。
結果
観察記録した日の月の様子をまとめます。
調べて分かったこと・まとめ
観察記録を使いながら、月の形が変化する仕組みについて調べて分かったことをまとめます。このとき、観察できなかった日の月の形も想定しても良いでしょう。
まとめた内容の見せ方は、大きな模造紙に書いても、ファイルフォルダーやノートを使って冊子にまとめても、お子さまがやりやすい方法でかまいません。日にちやメモ欄が大きい月単位のカレンダーも観察記録を付けやすくおすすめです。
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月の満ち欠けは、学校の勉強だけでなく、潮の満ち引きやお月見など普段の生活でも馴染み深いものですし、月の呼び名もたくさん存在しています。発展的な学習として、月の満ち欠けを私たちは生活の中にどのように取り入れているか、月の呼び名にはどのようなものがあるか、といったテーマも取り組めると、複合的な理解を促せますね。
(参考)
スタディサプリ|小学生必見…夏休みも楽しく学ぼう!自由研究の進め方
JAXA宇宙教育センター|宇宙教育教材 月の満ち欠けを観察しよう
国立国会図書館キッズページ しらべてみよう!|本の分類ぶんるいのしかた(1)
NHK for School|月の形が変化するきまり
NHK for School|いろいろな形の月
NHK for School|月の形が変わるしくみ
文部科学省|小学校理科の観察,実験の手引き 第4学年B(4) 月と星
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台|2018年最小の満月・皆既月食(2018年7月)