教育を考える 2019.1.21

感情を書き出すとEQが伸びる! IQよりも大切な「心の知能指数」を高めよう

感情を書き出すとEQが伸びる! IQよりも大切な「心の知能指数」を高めよう

頭の知能指数を表す「IQ」とは別に、心の知能指数を表す「EQ」という言葉があることをご存知でしょうか? 昨今、子どものEQを伸ばすことはIQをアップさせること以上に重要だとされており、そのためのツールのひとつとして日記が挙げられています。

今回は、EQの意味やEQを伸ばすことで得られる能力について、そしてなぜ日記をつけることでEQが伸びるのかについて解説していきます。

心の知能指数 EQとは?

EQは心の知能指数、すなわち「生きる力」をどれくらい持っているかを表しています。EQが高いほど、自分の気持ちをコントロールする力や、相手の気持ちを理解する力を持っているといえるでしょう。

人間は、自分が置かれている状況や精神的な影響によって、考えや発言が変わることがありますが、EQが高ければ感情をコントロールしたり、相手の気持ちを考えたりするのをスムーズにこなせます。そのため、EQが高い人はコミュニケーション能力が高く、またポジティブな環境を作り出せるのです。

逆にEQが低いと、自己中心的な振る舞いをしてしまったり、他人のミスを許せなくなったりします。自分の気持ちが抑えられず、友達の気持ちも理解できないので、ケンカやトラブルを引き起こしたり、集団生活になじめなかったりすることもあるでしょう。

一方、頭の知能指数であるIQは、平均値を100として115~130程度であれば高いとされ、85以下ですと低いとされます。また、70以下の場合は日常生活に支障が出てくる可能性も。ただし、テストで100点を取るなど一般的に成績が良いとされている場合でもIQが高いとは限らず、あくまでもひとつの目安となります。

かつてはIQが高い=優秀であるという認識が強かったものの、IQが高い人は特定の分野では優れていてもコミュニケーション能力や協調性に欠けている、自分が興味のあること以外には積極的に取り組めないという指摘も出てきました。さらに、人々の生き方が多様化している現代では、他者への共感性や理解力が求められる傾向が高まっているため、EQはIQ以上に生きていく上で欠かせないものとして重視されるようになったのです。

とはいえ、EQが示している「感情のコントロール能力や人の気持ちを考える力」は、本来誰にでも備わっている力です。そのため、EQが高いということは「自分の中のEQをしっかりと発揮できている」ということ。

逆にEQが低いということは「まだ自分の中のEQをうまく発揮できていないだけ」という見方もできます。EQは工夫次第で伸ばしていくことが可能なのです。

IQよりも大切な「心の知能指数」を高めよう2

子どもの知的好奇心を育てる3つのポイント
PR

EQをはぐくむための効果的な日記のつけ方

子どものEQをはぐくむための方法としては以下の方法があります。

  • 落ち着ける空間で、絵本の読み聞かせや音楽鑑賞をする
  • 勉強や読書などは、まず親がお手本となって行う
  • 普段の生活の中で、より愛情を持って接することを意識する
  • 日々の出来事を日記として綴る

 
この中でもおすすめなのが、日記をつけることです。EQを高めるためには、自分の中にある喜びや楽しさといったポジティブな感情だけでなく、怒りや悲しみといったネガティブな感情とも冷静に向き合う必要があります。ネガティブな感情をうまく発散できなかったり、心に溜め込む癖がついてしまったりすると、ある日突然感情が爆発する可能性もあり、精神面に悪影響を及ぼしてしまうためです。

日記にできる限り素直な感情を書き出し、その内容について客観的に向き合うことは感情をコントロールする訓練になるので、EQの向上に非常に効果的ですよ。

また、日記には「今日は○○をして、△△だと思った」などと漠然とした内容を綴るのではなく「なぜそう思ったのか」という理由も忘れずに加えることが大切。より具体的な内容にすることで、自分の感情と冷静に向き合うことができるようになります。

親子で作る、EQを高めるための日記

やり方をご紹介しましょう。まず親が子どもの感情を引き出すための質問をし、その答えを日記にしていきます。質問内容は以下の通りです。

まだ日記が書けない年齢の子どもや、文章を書くのが苦手な子どもの場合は、まずは親がサポートしてあげましょう。

1. その日の出来事

回答例「友達の○○ちゃんとお店屋さんごっこをした」

2. それをしてどう思ったか

回答例「楽しかった、明日も遊びたいと思った」

最初は1、2の内容のみ、2行程度でいいので日記として書く習慣を作りましょう。2に答えることに慣れたら、少し踏み込んだ質問をしていきます。

3. そんな自分をどう思うか

回答例「また遊べるように、○○ちゃんを誘いたい」

4. これからどんな自分になりたいか

回答例「○○ちゃんと仲良しな自分でいたい」

ある程度、日記を書き溜めることができたら、親子で「こんなことがあったね」「この時はこう言ってたけど、いまはどう思う?」と、ぜひ振り返ってみてください。こうした振り返りもまた、自分を客観視することや自分が置かれている環境を冷静に分析することにつながります。

***
子どもがさまざまな経験をして成長していく過程では、精神面に大きく左右されることもあります。しかし、EQをはぐくむことで感情との付き合い方がうまくなり、子ども自身が生きやすくなることにもつながります。毎日の隙間時間を利用して親子で日記をつけ、子どものEQを伸ばしましょう。

文/田口るい

(参考)
Study Hacker こどもまなび☆ラボ|時代はIQからEQへ……。心の知能指数「EQ」って何?
ダニエル・ゴールマン著,土屋京子訳(1998),『EQ こころの知能指数』,講談社.
みんなのお金ドットコム|EQとは?心の知能指数?EQが高い人・低い人の特徴や高める方法!