教育を考える/食育 2019.6.30

国語も算数も得意になる!? 子どもが「料理」をするべき深いワケ

国語も算数も得意になる!? 子どもが「料理」をするべき深いワケ

親子で料理をすることの大切さについて、よくご存じの方も多いと思います。しかし、「子どもと一緒に作るのに、どんな料理がふさわしいのかわからない」「具体的に何をさせればいいのか迷ってしまう」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、料理のメリットに加えて、親子で料理をする際におすすめのレシピ本をご紹介します。

料理にはメリットがたくさん!

親子で料理することには、以下のように、さまざまなメリットがあります。

五感に刺激が与えられる

料理では、食材や料理を見る(視覚)、包丁で野菜を切るときの「トントン」、鍋で料理を煮込むときの「グツグツ」といった調理音を聞く(聴覚)、調理中のおいしそうなにおいをかぐ(嗅覚)、さまざまな食材や調理器具を触る(触覚)、できあがった料理を食べる(味覚)など、五感が刺激される場面がたくさんあります。料理するだけで五感すべてが鍛えられるので、子どもの感覚を効率的に育てることができるのです。

好奇心や探求心が育つ

家庭教育の専門家の田宮由美氏は次のように述べています。

料理をする時、材料の分量や、調理の手順を考えなければなりません。(中略)また、卵は焼くと何故固まるの?水と粉を混ぜるとどうしてネバネバするの?乾いた雑巾は何故水を吸い取るの?など化学的なことに興味を示す子もいるかもしれません。お手伝いの中には、考える事や工夫する能力が養われる他に、いろいろな不思議や発見があるでしょう。

(引用元: All About|子供にお手伝いをさせるメリットと親が心がけるべき事

料理では、小麦粉と卵と砂糖などがおいしいケーキに変身したり、分量を間違えると失敗したりと、調理方法によって見た目や味が変化するシーンが多くありますよね。そのため、子どもの好奇心や探求心を育てることにつながるのです。

親子のコミュニケーションが活発化する

親子での料理は、協力し合ってひとつの目標に取り組む行為でもあります。そのため、親子間のコミュニケーションが活発化し、思い出づくりにもなることもメリットのひとつです。また、買い出しや準備、後片付けなど、料理にあらゆる手間がかかっていることを知った子どもは、食事の支度をする親への感謝の気持ちを持てるようになります。さらに、親に「手伝ってくれてありがとう」「助かったよ」と言われることで、子どもの自己肯定感が高まる効果も。

子どもが「料理」をするべき深いワケ2

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料理は学力向上にもつながる

親子で料理をすると、子どもの成長につながるだけでなく、学習能力向上のきっかけになることもあるようです。

親からの指示を理解しながら料理する→国語への興味関心

中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員の小川大介氏は、子どもの国語力を育てる生活習慣として料理のお手伝いを挙げています。

小川氏いわく、料理は下ごしらえから仕上げまでの過程を効率よく進める必要があるため、「段取り力」が身につくのだそう。そのため、学習面でも、どのような順番で手をつけるべきか計画を立てる力が養われるのだと言います。

また、「野菜を食べやすいようにちぎって」「きつね色になるまで炒めて」などと指示を受けながら料理したり、レシピを読みながら作業をしたりすることも、理解力や語彙力の向上に役立ちます。

計量カップや計量スプーンを使う→算数への興味関心

子どもが算数や理科を学ぶ過程に詳しく、弁理士としても活躍する宇治美知子氏は、著書『算数が楽しくなる、できる子になる!算数が好きになる教え方』(三樹書房)の中で、算数を好きになるお手伝いのひとつとして「ホットケーキ作り」をすすめています。

料理では、レシピ通りに水や調味料の分量を測る場面がたくさんありますよね。「600ml必要だから、200mlの計量カップで3杯分」などと考えながら料理することで、計算力が向上するなどのメリットがあるのです。

食材について知る→理科や社会への興味関心

魚をさばいたり、野菜を根と茎と葉に分けて切ったりしながら、それぞれの部位の名前や役割を知ることは、理科への興味関心が高まるきっかけになります。また、食材の産地や特性を知ることは、社会の勉強で役立つことも多いでしょう。

子どもが「料理」をするべき深いワケ3

年齢別・おすすめ料理本

最後に、年齢に合わせたおすすめの料理本を紹介します。

2歳〜
「こどもキッチン、はじまります。 2歳からのとっておき台所しごと」
石井 由紀子/著 はまさき はるこ/絵(太郎次郎社エディタス)
子どもが「料理」をするべき深いワケ4
たたく、つぶす、まぜる、むくといった、子どもでも安全に取り組むことができる作業を紹介しています。「2~3歳の子どもが料理に興味を持ち始めたので何かやらせてあげたい」という方や、初めて親子で料理にチャレンジする方におすすめ。また、「包丁はいつから始めるのが良いですか?」など、親の気になる疑問に答えるコラムもあり、レシピ本としても、育児本としても有効な一冊です。

 

3歳~9歳
「子どもと一緒にお料理しましょ! 3歳からのお手伝い」
上田 淳子/著(文化出版局)
子どもが「料理」をするべき深いワケ5
双子の息子の母である著者が、3歳、5歳、7歳、9歳と年齢に合わせた料理のお手伝い方法を紹介しています。成長に合わせて、数年間使い続けられるのがうれしいポイント。オーブントースターや電子レンジだけで作れるレシピや「余ったポトフでカレーうどん」など、家庭的かつ実用的なレシピも載っています。

 

小学生〜
「こまったさん」シリーズ
寺村 輝夫/著 岡本颯子/絵(あかね書房)
「わかったさん」シリーズ
寺村 輝夫/著 永井郁子/絵(あかね書房)
子どもが「料理」をするべき深いワケ6  子どもが「料理」をするべき深いワケ7
30年以上も読み継がれている人気の料理絵本シリーズです。幼少期に読んだことのある親御さんも多いかもしれませんね。「この料理、作ってみたい!」と思わせるような楽しいストーリーに、わかりやすいレシピつき。「こまったさん」は料理、「わかったさん」はお菓子の作り方を紹介しています。お子さんの好きな食べものがテーマになっている巻をプレゼントして、「一緒に作ってみない?」と誘ってみるのもよいでしょう。

 

小学生〜
「ルルとララのお菓子屋さん」シリーズ
あんびるやすこ/作・絵(岩崎書店)
子どもが「料理」をするべき深いワケ8
女の子を中心に、現在大人気のシリーズ。お菓子屋さんを開いた小学生のルルとララが、森の動物たちに頼まれてさまざまなお菓子を作っていく、夢いっぱいのストーリーです。毎巻、お話に沿ったレシピが可愛らしいイラストつきで紹介されており、実際にレシピを見てお菓子を作った小学低学年のお子さんからも「わかりやすくて簡単!」と評判。火や包丁を使わないレシピばかりなので、お子さんがひとりで作る際にも安心ですね。

 

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親子で料理をすることには、数え切れないほどのメリットがあります。今度のお休みの日には、ぜひ親子で料理にトライしてみてはいかがでしょうか。

文/田口 るい

(参考)
東京ガス ウチコト|【生きる力を育む! 】子どもと一緒に料理するメリット7つ
こどもまなび☆ラボ|五感が鍛えられるだけじゃない! 集中力や思考力も高まるメリットだらけの「親子料理」
こどもまなび☆ラボ|小学校の「国語・算数・理科・社会」につながっていく! 子どもが料理をするメリット
All About|親子一緒に料理すると向上する!子供の能力3つ
All About|子供と一緒に料理!年齢別おすすめクッキング5選
All About|子供にお手伝いをさせるメリットと親が心がけるべき事
中学受験ナビ|国語力を育てる10の生活習慣|成績UPは国語力が9割(8)
宇治 美知子 (2015), 『算数が好きになる教え方―算数が楽しくなる、できる子になる!』, 三樹書房.
太郎次郎社エディダス|こどもキッチン、はじまります。 2歳からのとっておき台所しごと
文化出版局|子どもと一緒にお料理しましょ! 3歳からのお手伝い
あかね書房|こまったさんのシチュー
あかね書房|わかったさんの ふんわりケーキ
岩崎書店|ルルとララのおかしやさん