教育を考える 2018.7.21

リーダーになる子の特徴とは? リーダーシップを育てるコツ

編集部
リーダーになる子の特徴とは? リーダーシップを育てるコツ

リーダーになる子とは、どんな子どもでしょうか。体が丈夫でスポーツ万能な子、もの知りな子、大きな声でハキハキと自分の意見を言える子、誰とでも仲良くできる子――現代社会において活躍できるリーダーとは、ガキ大将のようなタイプとは違う性質が問われます。

できることなら、自分の子どもは、リーダーのあとに続く大勢の中のひとりではなく、前に立って仲間を先導していってほしい。そう考える親も決して少なくありません。

リーダーシップがある子どもに育てるための考え方と3つのコツをご紹介します。

成長段階や時代によって変わるリーダー像

皆さんが子どもだったころ、リーダーになっていた子はどんなタイプだったでしょうか。体が大きくて力が強い腕っぷしの強そうな子、 “野球にサッカー、何でも来い”のスポーツ万能の子、曲がったことが許せない、ケンカを見つけたら一番に駆けつけて仲裁に入るような誰にでも公平で正義の味方タイプの子、時に笑いをとっては教室の中を明るく和やかにするムードメーカーの子。

思い起こすと、いろいろなタイプがいるはずです。そしておそらく、リーダーになる子のタイプは、成長とともに変わっていたのではないでしょうか。幼児期から小学校低学年ごろまで集団の中心にいて活躍していたリーダーと、小学校高学年から中学高校時代のリーダーとは、タイプが違うことに気がつかれると思います。

子どもの成長過程によってリーダー像が変わるだけでなく、時代の移り変わりも反映されるようですかつてのように園や学校から帰れば近くの公園や空き地へ集まって、いろんな年齢の子が混ざって遊べるような環境は減少しています。それに伴い、遊び場にいつもいて、小さい子や弱い子の面倒を見ながらも圧倒的な力で子どもの集団を支配するようなガキ大将タイプのリーダーも少なくなっています。

このように、子ども同士での関わり方が昔とは変わってきているなかで、求められるリーダー像というのも変わってきているようです。多くのお子さんが、これから小学校中高学年または中学高校時代を迎えるなか、学校によっては「リーダーシップ」が成績に加味されるケースもあることをふまえて、この学齢期において求められる現代のリーダー像について説明していきます。

リーダーになる子の特徴2

「木のおもちゃ」が知育におすすめな理由。五感を刺激し、集中力を育んでくれる!
PR

真のリーダーに必要のは「公平さ」

先ほど挙げたような知識や技能に突出している子どもは、得てしてリーダーになりやすいもの。その一方、それだけではリーダーシップを発揮できないことがあると、チャイルド・ファミリー・コンサルタントの山本直美氏は言っています。「リーダーに育てる」という過程が必要なのだそう。

たとえば、「この遊びはクラスのみんなが楽しめると思う?」など、親や先生が問いかけ、「あなたをリーダーだと認めたうえで話している」という態度を見せることが大切とのこと。そうすることで、プライドを刺激されたその子どもは、真のリーダーに育っていきます。

また、山本氏は「真のリーダーだと思う子どもに出会った経験」について、このように続けます。

その子は一見「ごく普通」の子どもでした。けれども、気付ばいつもその子の周りにたくさんの友だちが集まっているのです。不思議に思ってじっくり観察してみると、彼は、ある側面で特出していることに気付きました。それは「公平さ」。彼は、誰に対しても本当に公平な態度で接しているのです。決して口数は多くないのに、全員が楽しめる遊びができるようさりげなく皆を誘導し、誰かが損をするような事態になるときっぱりと異を唱える勇気もありました。また、皆の言葉にきちんと耳を傾けたうえで自分の考えを伝えるのも、とても上手だったのです。

(引用元:経済界|リーダーの資質 ~実力者ではなく公平さを持つ人に~

現代の子ども社会において、真のリーダーに求められるのは「公平さ」と言っても良いかもしれません。この子の例から特徴として挙げられる「勇気」「自信」「調和」「コミュニケーション」「見渡せる視野の広さ」などは、根本に「公平さ」があるゆえに発揮される能力と言えそうです。

リーダーシップを育てるコツ

公平さを最も大切にできる子ども、すなわちリーダーシップを発揮できる子どもに育てるために、親ができることは数限りなくありますが、まずは次の2つに取り組んでみてはいかがでしょう。

理想リーダーの姿を親子で話す

神奈川県にある幼稚園では、5歳の子どもたちにリーダー決めをさせているそうです。はじめは、積極的な子が手を挙げますが、あるべき「リーダー像」について子どもたちに考えさせると、「ちゃんとした人」「なぞなぞをいっぱい考えられる人」「強い人」といった意見が次第に掘り下げられ、「人の話が聞ける人」「働き者の人」「皆で考えるときにいろいろ考えられる人」「自分で考えて決められる人」「仲間が困っているときに助けてくれる人」といったリーダー像を導き出すことができるようになります。これは、決してクラスの中だけでなく、家で親子の会話を通しても十分行なうことができます。対話を通して、子どもにあるべきリーダー像を具体的にイメージさせることで、意欲を高めるとともに、動機づけをさせることができます。

屋内外問わず、さまざまな経験をさせる

特別なアクティビティを経験させる必要はありません。近所をぐるっと歩いて回りながら探検する、一緒に買い物へ出かけて自分のおやつを決められた金額の中で買う、ボードゲームで真剣勝負をする。そんな経験から、子どもは実社会で必要な生きる力を吸収して、毎日の生活で自由自在に活用します。
また、外遊びやスポーツなど、体を動かす機会を増やすのも効果的です。外遊びもスポーツも、仲間に対する声の掛け方、タイミング、言葉の選び方、他者への思いやりなど、「公平さ」を身につけるチャンスがたくさんあります。

***
以上、リーダーシップを育てるコツを紹介してきました。「公平さ」を身につけさせるためには、やはり「親の背中」が何にも代えがたい最良の教材です。まずは私たち親が、公平な親の姿とはどうあるべきかをイメージし、実践していくことこそが、子どものリーダーシップを育む最良の方法なのかもしれませんね。

(参考)
ケロッグ・ビジネススタイル・ジャパン|リーダーシップを身近に考える (2)ジャイアンはリーダーか?
経済界|リーダーの資質 ~実力者ではなく公平さを持つ人に~
PHPファミリー|あなたの愛が、心の強い子、めげない子を育てる
愛媛大学 教育学部|愛媛大学教育学部紀要 第58巻 145 ~ 149 2011「小学校教諭からみた子どものリーダーシップに関する研究」
Forbes JAPAN|子どもを優秀なリーダーにする10の方法
WEDGE Infinity|5歳児でリーダーが必要な理由 (リーダー決め・前編)