教育を考える 2018.3.31

知的好奇心がぐんぐん伸びる! 東大生の多くが経験している「ハマり体験」とは

編集部
知的好奇心がぐんぐん伸びる! 東大生の多くが経験している「ハマり体験」とは

子どもたちの多くは、なにか特定のものに興味を持つ時期があります。男の子ならば、電車に夢中になり、駅名や新幹線の名前、路線などをスラスラと暗記してしまう子もいるでしょう。

女の子であれば、プリンセスやアニメの主人公などが多いかもしれません。プリンセスが着ているドレスの色や形、そのほかの登場人物の名前や役柄など、よくもまあそんなことまで、というほど覚えていたりします。

今回はそんな「ハマり体験」の重要性をご紹介します。

東大生の親は「勉強しなさい」と言わない

「東大生の親は『勉強しなさい』と言わない」という記事を目にしたことはありませんか? では、どうして東大に合格できるほどの学力を持つことができたのでしょう。

「脳」に関する書籍を多数執筆している、東北大学加齢医学研究所・瀧靖之教授は、『子どもの脳を伸ばす最高の勉強法』の中で、彼らの脳を磨いたのは「子どものころのハマり体験」だと説明しています。ハマり体験とは、「恐竜」や「宇宙」など、自分の興味のある分野にどっぷりとハマった経験のこと。

瀧教授自身も「親に感謝しているのは、興味のあることは何でも自由にやらせてくれたこと」だそうですよ。そして、「図鑑がほしい」とお願いすれば、すぐに買ってくれたと言います。もちろん「勉強しなさい」と言われたことは一度もなかったそう。

子どもの知的好奇心を育てる3つのポイント
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ハマり体験をした子どもは勉強を楽しめる

では、なぜハマり体験が学力と結びつくのでしょう。

瀧教授の著書『東大脳の育て方』によると、好奇心から物事を突き詰めることで、やる気物質ドーパミンが放出され、脳のいろいろな部分の体積が大きくなるとのこと。

またハマり体験は、ストラテジー(=戦略)が身につくのだそう。『東大脳の育て方』に登場する東大医学部卒の男性は、子どものころに熱中した「虫取り」をとおして、「わからないことを自分で調べる理科系の考えがしみついた」と話しています。

同じく、理学系研究科に在籍する学生は、小学校2年生のときにゲームにハマってしまい、とことん熱中したそうです。しかしゲームをしてもいい時間は、1日1時間。そこで、ゲームで負けたら、その理由を分析して、どう改善すればうまくいくのかを試行錯誤していたと言います。

そしてこのような幼少期の「興味を追究する経験」が、勉強にも生きてきます。知らないことを知るにはどうしたらいいのかがわかってくるので、知識を吸収しやすくなり、勉強を楽しめるのです

知的好奇心がぐんぐん伸びるハマり体験2

「本物を見せること」「親が楽しむこと」の重要性

もし我が子がなにかに熱中したとき、親はどんな接し方をしたらよいのでしょう。

1. すぐに本物を見せる

子どもがなにかに興味を持ったら、親はすぐに「本物」を見せることが大切です。たとえば、虫に興味を持ったなら、林や森などに連れて行って、本物の虫を観察してみる。電車の絵本を夢中になって読んでいるのならば、駅や車両基地に連れて行って、本物の電車を見せるのです。

子どもたちは、図鑑などのバーチャルと、実物というリアルをつなげる体験を繰り返すことで、知的好奇心の土台ができあがるのだそう。

2. 親自身が楽しむ

子どもは親の背中を見ています。親が楽しそうしていれば、子どもも「お父さんが夢中になっていることはなんだろう?」と興味を持つでしょう。

親は図鑑を買い与えて満足するのではく、子どもと一緒に虫を探したり、観察することを楽しむことです。そうすることで、子どもの知的好奇心はぐんぐん伸びますよ。

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勉強を強制するのではなく、子どもが何かに興味を持ったときを見逃さず、一緒に楽しみ、そして全力で応援することが大切なのですね。

(参考)
瀧靖之 著(2017),『子どもの脳を伸ばす最高の勉強法』,洋泉社.
瀧靖之 著(2017),『東大脳の育て方』,主婦の友社 .
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