からだを動かす 2018.7.1

かけっこ・逆上がり・跳び箱を、プロのアスリートが徹底的に指導!『NPO大江戸』の願いとは?

編集部
かけっこ・逆上がり・跳び箱を、プロのアスリートが徹底的に指導!『NPO大江戸』の願いとは?

「文京区から地域を元気に!」をキャッチフレーズに、子どもたちに運動の機会を提供し続けている『NPO大江戸』

元日本代表選手やプロのアスリートが指導にあたる運動教室は、どの教室も大人気で、申し込み開始からすぐに定員がうまってしまうことも。

約9年間、東京・文京区の小学生を見続けてきた、NPO大江戸代表である橋本直和さんと、理事 えびさわけいこさんに、子どもたちの体力や、「かけっこ」「縄跳び」「鉄棒」に関する運動能力についてじっくり語っていただきます。

運動能力と学力には相関関係がある

――本日はよろしくお願いいたします。まず、NPO大江戸ができたきっかけを教えていただけますか?

橋本さん:
今って、運動する機会が減っていますよね。その運動する機会を作ろうということで、10年前に都市型のマラソンを始めました。仲間とタスキをつなぐ12時間リレーマラソンと、自分とゆっくり向き合う3時間マラソンです。

手作りで始まったマラソンですが、ありがたいことに文京区を中心とした多くの企業や大学が賛同してくれまして、今は1,000人規模のマラソンになったんですよ。

えびさわさん:
その第1回目のレースに当時小学生だった子どもたちが参加してくれて、その翌年以降も出続けてくれたのですが、その子たち、しっかり中学受験もクリアして、次のステップに進んでいるんですね。

運動能力と学力には相関関係があるということが、最近さまざまな研究からわかっていますが、本当にそうなんだなと感じました。

橋本さん:
運動能力と学力の関係性は、だいぶ認知されてきましたが、まだまだ浸透していないのが現状です。

それに、もちろん勉強も大切ですが、運動神経が発達するゴールデンエイジと言われる年齢の子どもたちにとって、運動をすることはもっと大切だと思っています。

NPO大江戸の願い2
「勉強が忙しくなる3年生4年生になっても、運動を続けられるような環境をどんどん提供してあげたい!」と熱く語る橋本さん

子どもの知的好奇心を育てる3つのポイント
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頭で理解すれば、かけっこは速くなる

――NPO大江戸ではどんな運動教室を開催しているのですか?

えびさわさん:
「かけっこ倶楽部」は人気が高いですね。9年前に当時の統一体力テストの結果を見て愕然として、「これはなんとかしなければ!」と始めたのがきっかけです。文京区は23区で下から2番目だったので……。

――「かけっこ倶楽部」はどんなプログラムなのでしょう。

えびさわさん:
教えてくれるのは、100m元日本代表の菅野優太先生です。まずは、50mのタイムを測定します。そして、かけっこについて理論的に学びます。

たとえば先生は、「身体には軸がある」と説明するんです。でも子どもたちは「軸」がわからない。そこで「串があります。みんなお団子になりましょう、身体に串を刺しましょう!」と言うと「身体を真っ直ぐにして走る」ということを、子どもたちでも理解できるんですよね。

そして、腕をしっかり振るために、「自分の肘の後ろに太鼓があるつもりで、肘で太鼓を叩くように腕を振りましょう!」と。また、「脚はハサミだよ。速く動かしながら、なるべく大股で走りましょう」

最後に、「身体の中で一番重いのは頭だから、スタートでは頭を一番前に出すんだよ」と、色々なたとえを入れながら、ひとつひとつ丁寧に説明してくれるので、本当にわかりやすいんです。

ほかにも手の握り方については、「散歩中、犬の糞を取り上げるときぐらいに軽~く握りましょう」なんて言って、子どもたちの笑いを取っています。

1時間あっという間ですよ。子どもたちは、速く走りたいわけですから、それはもう真剣ですし。

――実際に子どもたちは、かけっこが速くなりますか?

橋本さん:
速くなってますね! 子どもたちのフォームも、最初のタイム測定のときに比べて、すごく良いんですよ。スポーツは理屈ありきですから、その理屈を子どもたちにわかりやすく教えてあげることが大事ですよね。

NPO大江戸の願い3
「今一緒に活動をしている運動のプロの方々も応援していきたいと考えています。そして、子どもたちと先生方の輪をもっと広げていきたいですね!」

跳び箱と鉄棒、できるようになるコツはあるの?

――なるほど。それでは「体育塾」はどんな内容になっているのでしょう。

えびさわさん:
こちらも人気で、1~2日で定員90人の申込みが完了してしまうほどです。「跳び箱」「ボール投げ」「縄跳び」の3コースがあるのですが、とくに跳び箱の人気が高いです。

学校の授業でわからなかった、手の力の使い方と体重移動のやり方がわかるので、子どもたちは(跳び箱を飛んで)自信をつけて帰っていきますね。そういうときは、我々も嬉しいです。

――跳び箱はどんな教え方をしているのですか?

えびさわさん:
まず「両足で跳び箱に乗る」というところから始めます。そして「くまさん歩き」の練習をします。わかりますか? 膝を伸ばしたまま、ハイハイのような恰好です。これは手の力をつけるため。跳び箱をとぶときに、自分の身体を支えられるように手の力をつけるんですね。

橋本さん:
跳び箱って、縦向きは難しいですが、横向きは簡単なんですよ。なので、まずは横向きの跳び箱から練習をします。横向きのまま、手で跳び箱を押す感覚をつかんでもらって、「あ、怖くないんだな」というのを体感してもらってから、縦向きの跳び箱に挑戦です。

感覚をつかめば、みんなすぐに跳べるようになりますよ!

えびさわさん:
あとは「鉄棒」も人気ですね。かなり丁寧に教えているのではないでしょうか。鉄棒を握るところから始めますから。

最初は、鉄棒を握った状態で、先生がその子の身体を引っ張ります。そして「ちゃんと握っていてね。離したらだめだよ」というところから教えています。私たちもびっくりしたのですが、最近は、鉄棒から手をはなしてしまう子が多いんです。

こちらもコツを覚えればできてしまいます。誰かが逆上がりをマスターすると、ギャラリーが大きな拍手をするので、みんなスター気分で帰っていきます(笑)。

スポーツとプレゼンで学ぶ“リーダーシップ”

――次回の「スポーツとプレゼンで学ぶ リーダーシップ」はどんな教室なのでしょうか。

えびさわさん:
スポーツって、身体を動かすだけじゃなくて頭も使いますよね? 子どもたちが自己表現をできるようになって、リーダーシップを身につけることを目的としています。

具体的な内容は、言葉遊びをしながら準備体操を行い、声を出しながら身体を動かします。スポーツゲームは目隠しリレーです!「仲間と声をかけ合いながら協力する」「声を出して相手に意志を伝える」ということを学んでもらえたら嬉しいですね。

橋本さん:
スポーツ指導は大槻邦雄先生。チームを全国大会に2度導いた経験をお持ちの有名なサッカー監督です。そしてプレゼン指導を行うのは、教え子のべ9,700名の、子どもプレゼン教育の第一人者である竹内明日香さん(アルバ・エデュ代表)なので、かなり中身の濃い内容になると思いますよ。

――参加費は1000円ですか!? 安すぎます!

橋本さん:
利益じゃないんです、子どもたちにもっと運動をしてほしいから。

えびさわさん:
NPO大江戸の基本的な考えとして、運動をやりたいな、子どもたちの体力をアップさせたいな、という層を増やしたいんです。だから1人でも多くの子どもに参加してもらいたいと思っています。

『スポーツとプレゼンで学ぶ リーダーシップ』
この夏、「スポーツゲーム×話すちから」で子どもがみるみる変わる!

今、スポーツ界ではコミュニケーションの重要性に注目が集まっています。集団の中でのスムーズなコミュニケーションにより、個々の信頼関係が生まれ、本来持っている個々の力が発揮されるからです。結果として集団の結束力が高まり、競技力の向上に繋がっていきます。

今回は身体を動かしながら、目標を達成するためにどのように協力をしなければならないか? そして、言葉の重要性を感じられるプログラムになっています。前半部分は、サッカーコーチの視点から小学生に必要な神経系統のトレーニングを行い、身体を動かす基礎を身に付けます。後半部分には、いよいよコミュニケーションの重要性に気が付くプログラムを実践していきます。

スポーツの場面だけでなく、仲間に対する声の掛け方、タイミング、言葉の選び方、他者への思いやりなど、日常生活でも新しい気付きを感じられるプログラムです。
(大槻邦雄)

日時:2018年7月27日(金)
【1・2年生】 9:00~10:00(30人)
【2年生以上】10:15~12:00(30人)

会場:文化シャッター体育館(2階BXホール)
東京都文京区西片1-17-3

【プロフィール】
橋本直和(はしもと・なおかず)
一般企業に就職後、元通産大臣・深谷隆司秘書を経て、昭和62年(1987年) 文京区議会議員選挙に初当選。以後、6期連続当選。白山睦会青年部顧問/文京区小林寺拳法顧問/文京ミニテニス協会顧問/文京区バレーボール連盟名誉会長/マラソン議員連盟副会長を務める。

【プロフィール】
えびさわけいこ(えびさわ・けいこ)
筑波大学を卒業後、流通のセゾングループに就職。その後出版社を経て、広告会社に入社しテレビCM制作などのプロデューサーを務める。脳梗塞で倒れた父を7年にわたり介護。その経験から「人を思うことが出来る政治」を志す。現在、文京区議会議員として活動しつつ、認知症サポーター養成講座の講師、フードアナリストとしての「エビちゃん食育教室」などの活動を展開。また非営利型一般社団法人「ロンリーペット」では理事を務め里親会を開催している。

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体育の授業で、逆上がりができない、跳び箱が跳べない、クラスで一番かけっこが遅い、となってしまうと、運動すること自体を嫌いになってしまうかもしれません。運動が得意でなくても、せめて運動を好きになってほしい……親であればそんなふうに考えますよね。それに、運動することが脳の発達につながるのであれば、ますます運動してほしいと思うのが親心です(笑)。