英語の童謡と楽しい手遊びをご紹介する本連載も、今回が最終回。最後はマザーグース童謡の中でも特に有名な2つの歌をご紹介します。手遊びにとどまらず、全身を大きく使って遊ぶことができるので、お子さんの年齢を問わず、とても人気のある2曲です。
親御さんと一緒に英語の歌を口ずさみながら楽しく遊んだ記憶がやがて、大きくなってから「英語好き」な子どもを育てることにつながるでしょう。ご紹介している音声を流して、イラストを参考にご家庭ですぐに遊ぶことができますので、ぜひお子さんと挑戦してみてくださいね。
全身を使って歌いながら遊ぶマザーグース童謡
全身を使って遊ぶ、楽しいマザーグース童謡をご紹介しましょう。これらの童謡は、動作をしながら歌いますので、よりいっそう、印象深く、楽しく英語を学ぶことができます。
人々が輪になって踊ることは、すでに14世紀頃から行われていました。子どもたちが輪になって歌って踊る遊びは、19世紀後半から盛んになりました。そこで現在まで歌われている歌は、昔から歌い継がれてきたものや新しく作られたものなど、さまざまです。
体を使って歌を歌いながら遊ぶ場所は、小道や野原や学校などが挙げられます。子どもたちは、どこにでも場所を見つけて、楽しく遊びます。遊ぶ季節も、春・夏・秋の季節の良いときはもちろん、北風が吹き、霜がおりる寒い時も、体を暖めるために、喜んで体を使って、歌いながら遊びます。
「体を使って、歌いながら遊ぶゲーム」(Singing Games)は、マザーグース童謡のなかでも重要な位置を占めています。その歌の数は、とても多いのですが、有名で、よく親しまれている歌だけでも20を越えます。今回は、代表的なものを2つ、ご紹介しましょう。
家族3人いれば楽しめる! 輪になって踊る歌
■“Here we go round the mulberry bush”「桑の木のまわりをまわろう」
輪になって、歌いながらスキップをしたり、まね事の動作をしたりして遊ぶ歌です。
- Here we go round the mulberry bush,
The mulberry bush, the mulberry bush,
Here we go round the mulberry bush,
On a cold and frosty morning. - This is the way we wash our hands,
Wash our hands, wash our hands,
This is the way we wash our hands,
On a cold and frosty morning. - This is the way we wash our clothes,
Wash our clothes, wash our clothes,
This is the way we wash our clothes,
On a cold and frosty morning.
この歌は、霜のおりる寒い朝も元気に外で遊ぼうと呼びかけます。有名な児童文学作品『くまのプーさん』にも登場します。
くり返しの多い歌です。同じ語句のくり返しは、同じ色で示しました。
- くわのきの まわりを まわろう
くわのき くわのき
くわのきの まわりを まわろう
さむい しものおりる あさに。 - こんなふうに てを あらう
てを あらう てを あらう
こんなふうに てを あらう
さむい しものおりる あさに。 - こんなふうに ふくを あらう
ふくを あらう ふくを あらう
こんなふうに ふくを あらう
さむい しもの おりる あさに。
桑の木は、日本では、昔、蚕(カイコ)を飼っていた時には、葉が蚕のえさになりました。イギリスでは、なんと実を食べるのです。
遊び方をご紹介しましょう。家族や友人、3人集まれば簡単に楽しめます。
1. 皆で手をつなぎ、輪になってくるくる回る
2. 手を洗う真似をする
3. 服を洗う真似をする
YouTubeではこの歌詞で歌われていますが、他にもいろんな歌詞があります。例をご紹介しましょう。
- “This is the way we brush our teeth” (こんなふうに はを みがく)
- “This is the way wash our face”(こんなふうに かおを あらう)
- “This is the way comb our hair”(こんなふうに かみを とかす)
- “This is the way we sweep the floor”(こんなふうに ゆかを はく)
- “This is the way we go to school”(こんなふうに がっこうに いく)
クリスマスには“Here we go round the Christmas tree”と歌って遊ぶこともあります。
ハラハラドキドキ、盛り上がる! ロンドン橋の歌
■“London Bridge is falling down”「ロンドン橋が落ちる」
日本でもとても有名な童謡ですね。
遊び方は、背の高い2人がアーチを作り、他の子どもたちは一列の輪になって、その下をくぐる「通りゃんせ」に似ています。 “My fair lady”(「わたしのきれいなおねえさま」)のところで、アーチ役の2人が手をおろして、下をくぐっていた子どもをつかまえます。
歌詞はいろいろありますが、このYouTube の歌詞を次にあげましょう。
- London Bridge is falling down,
Falling down, falling down,
London Bridge is falling down, - My fair lady.
- Build it up with sticks and stones,
Sticks and stones, sticks and stones,
Build it up with sticks and stones, - My fair lady.
- Sticks and stones will all fall down,
all fall down, all fall down,
Sticks and stones will all fall down, - My fair lady.
- Build it up with wood and clay,
Wood and clay, wood and clay,
Build it up with wood and clay, - My fair lady.
- Wood and clay will wash away,
Wash away, wash away,
Wood and clay will wash away, - My fair lady.
- Build it up with iron and steel,
Iron and steel, iron and steel,
Build it up with iron and steel, - My fair lady.
- Iron and steel will bend and bow,
Bend and bow, bend and bow,
Iron and steel will bend and bow, - My fair lady.
- Build it up with brick so sure,
Brick so sure, brick so sure,
Build it up with brick so sure, - My fair lady.
- It will stand forever more,
Ever more, ever more,
It will stand forever more, - My fair lady.
ロンドン橋は、ロンドンの商業中心である「シティ」とテムズ川南岸の地区を結ぶ古来から重要な橋です。橋の起源はイギリス人がローマ人に支配されていた昔にさかのぼります。
こちらもくり返しの多い歌です。同じ語句のくり返しのところは同じ色で示しました。
- ロンドンばしが おちる
おちる おちる
ロンドンばしが おちる - わたしのきれいなおねえさま
- ぼうといしで たてなさい
ぼうといし ぼうといし
ぼうといしで たてなさい - わたしのきれいなおねえさま
- ぼうといしは たおれてしまう
たおれてしまう たおれてしまう
ぼうといしは たおれてしまう - わたしのきれいなおねえさま
- きとねんどで たてなさい
きとねんど きとねんど
きとねんどで たてなさい - わたしのきれいなおねえさま
- きとねんどは ながされる
ながされる ながされる
きとねんどは ながされる - わたしのきれいなおねえさま
- てつとはがねで たてなさい
てつとはがね てつとはがね
てつとはがねで たてなさい - わたしのきれいなおねえさま
- てつとはがねは まがってしまう
まがってしまう まがってしまう
てつとはがねは まがってしまう - わたしのきれいなおねえさま
- とてもつよいレンガで たてなさい
とてもつよいレンガ とてもつよいレンガ
とてもつよいレンガで たてなさい - わたしのきれいなおねえさま
- はしは えいえんに たっています
えいえんに えいえんに
はしは えいえんに たっています - わたしのきれいなおねえさま
こちらも遊び方をご紹介しましょう。歌が始まる前に、まずはこのように2人でアーチを作るところから始めます。
2人で一緒に両手を上にあげてアーチを作る
1. 他の人がアーチの下を順番にくぐる
2. アーチ役の2人が手を下ろし、つかまった人が次のアーチ役になる
“My fair lady”と歌っているときにアーチの下をくぐった人はつかまってしまうので、その部分が近づくと、つかまらないよう、子どもたちも心なしか足早にアーチを通り過ぎようとします。ハラハラドキドキ、とても盛り上がる遊びです。
今回ご紹介した2つの歌はとても有名ですので、すでにご存知の方も多いかもしれません。でも、体を動かして遊んだことはないという方もいらっしゃることでしょう。
歌詞もメロディーもくり返しが多く、口ずさみやすい童謡ですから、ぜひお子さんと一緒に全身を使って楽しんでくださいね。