教育を考える 2019.8.23

「自分の意見が言えない子ども」には4つのタイプがあった。我が子を認めていますか?

編集部
「自分の意見が言えない子ども」には4つのタイプがあった。我が子を認めていますか?

みなさんのお子さんは、自分の意見をきちんと言えますか? おうちでママやパパには自分の考えを話せても、学校の先生やお友だちにはなかなかうまく伝えられないということはないでしょうか。

家族とは一緒に過ごす時間が多いもの。共通の話題もたくさんありますし、大人が気持ちを汲み取ることもあり、自分の意見がうまく言えなくてもある程度はコミュニケーションを図れます。しかし、先生やお友だちとなると、そうはいきません。自分が何を考えてどうしたいのか、相手に何を理解してほしいのかをうまく伝えられないと、園や学校で困ってしまうこともあります。さらに、長い目で見ると、社会に出てからの仕事や生活に支障が生じることにもなりかねません。

なるべく小さいときから、自分の意見をきちんと言えるようにしておきたいものですよね。今回は、「意見が言えない子」にはどんなタイプがあるのか、またタイプ別の解決方法についてご紹介します。

子どもが自分の意見を言えない理由4つ

和を重んじる日本文化で暮らす私たちは、周りと調和が取れているかどうかを優先する傾向が強いようです。自分の考えが周りの人と異なったとき、相手の顔色を気にして自分の意見を引っ込め、周りの意見や雰囲気に合わせてしまった……。きっと多くの人が経験していることでしょう。

しかし、グローバル化はどんどん進み、多様な価値観をお互いに認めなければ理解し合えない時代を迎えています。「自分はどう思うのか」「何をしたいのか」という、自分の意見をきちんと相手に伝えることが、今まで以上に重視されるようになるでしょう。そのためには、小さいときから自分の意見を言葉で相手に伝えるトレーニングが必要です。

例えば、子どもに「この本とその本、どっちが好き?」「次のお休みは何をして遊びたい?」と聞くと、「わからない」「何でもいい」しか言わないなんてことはありませんか? もちろん、大人でも自分の意見をきちんと伝えられない人はいますが、はっきりと返事ができない子どもも意外に多いようです。

子ども自身の発達段階や周囲の環境などが関係することもありますが、教育コミュニケーション協会 代表理事である木暮太一さんは、主に次のような理由が考えられるとしています。

<自分の意見を言えない理由>
○言うのが恥ずかしい/意見を言ったらいけないと感じている
○意見を持つために必要な情報を知らない
○表現ができない
○自分の意見が「わからない」

(引用元:木暮太一オフィシャルサイト|子どもが自分の意見を言えない理由

それぞれのタイプについて簡単に紹介し、どのように対応したらいいかを考えていきましょう。

「自分の意見が言えない子ども」の4つのタイプ2

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1.「意見を言うのが恥ずかしい……」

自分の意見をはっきり口にするのは恥ずかしいと思う人や、意見を言ってはいけないと思う人は、大人でも多いのではないでしょうか。

木暮さんによると、学校の授業時間に自分が発言した内容が「間違っている」と指摘されたり、「正解と違う」ことでクラスメイトに笑われたりしたことがあると、「こんなことを言ったらバカにされるのではないか」「また間違っていたら嫌だ」と思うようになり、意見を言えなくなるのだそう。

【解決法】
「子どもの意見を積極的に求め、その意見を尊重する」by ボーク重子さん(ライフコーチ)

「あなたはどう考えるか」ということを積極的に聞くようにします。子どもが親とは違う選択をしたとしても、その内容を頭ごなしに否定することはせず、「なるほど、そういう考えもあるね」と、まずは発言したことを認めて尊重しましょう。たとえ、親が作った料理について「これ、あまりおいしくない」と子どもが言ったとしても、その意見を認めるべきなのです。

否定するのではなく、「へえ、そうなんだ」と子どもの発言を認めて、「ほんとに? どんなふうに美味しくない?」と質問してみるのです。そのやり取りは子どもを肯定しているということですから、子どもの自己肯定感を高めていくことにきちんとつながります

(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「親の態度」がカギを握る。子どもの自己肯定感を高める行動、低める行動

自分の考えを否定されることを恐れる気持ちや、間違えて恥ずかしかった経験に対して、「自分の考えは言ってもいい」「間違うことは恥ずかしくない」という経験を、どんどん上書きしていくイメージです。

「自分の意見が言えない子ども」の4つのタイプ3

2.「知らないからわからない!」

「明日、〇〇遊園地に行こうと思うの。何に乗りたい?」と聞いたところで、その遊園地が初めて行く場所であれば、どんな乗り物があるかすら、わからないですよね。答えを求められていることに十分な知識や情報を持ち合わせていないため、「知らないからわからない」のです。例えば大人であっても、情報がほとんど入ってこない外国の情勢について「どう思う?」と聞かれても、答えに困ってしまいますね。

【解決法】
「幼児期の子どもには、選択式質問法で意見を聞いてみる」by 平川裕貴さん(幼児教育研究家)

『グローバル社会に生きる子どものための6歳までに身に付けさせたいしつけと習慣』の著者である平川さんは、知識の少ない幼児期の子どもには、選択式質問法がおすすめだと言っています。

小さい子どもには、「何がいいの?」とか「どうしたいの?」などと質問しても、なかなかうまくは答えられません。
ですから、言葉を教えながら選択させるのです。選択するためには考えなければなりませんから、とてもいい訓練になります。

(引用元:ハピママ|子どもに“考える癖”をつけさせよう! 自分の意見を伝える「自己主張力」の育て方

「今日のサラダには、キュウリとトマトのほかに何を入れようか? 卵とツナ、どっちがいい?」「くるくる回転する乗り物と、とても速く走るコースターがあるよ。どっちに乗りたい?」など、必要に応じて提供したり考えるためのヒントを投げかけたりしてサポートしてあげることが大切です。

選択質問法にすると「知らないからわからない」から一歩進んで、考える力がつきますし、正しい表現などのボキャブラリーも増えますよ。

3.「自分の気持ちを表現できない……」

自分の感情や意見はあるけれど、どう表現したらいいのかわからない、ぴったり当てはまる言葉を知らないというタイプです。大人でも、今まで見たこともないアート作品に出合ったら、どう言い表したらいいか戸惑うことがありますよね。その状態がいつも続いているというイメージが近いかもしれません。

【解決法】
「子どもの感情を親が代弁してあげる」by 渡辺弥生教授(法政大学文学部心理学科)

親子間の会話について、「ヤバイ」「マジ」などの言葉だけでは、複雑な人間の感情を表現することは難しいと、渡辺教授は警笛を鳴らしています。

子どもが初めての感情に向き合っている時、「切ないんだね」「感激しているのね」など保護者が一歩先に立って気持ちに当てはまるボキャブラリーや表現で代弁してあげると、子どもも感情と言葉をリンクさせて習得していくことができます。

(引用元:ベネッセ教育情報サイト|子どもの感情表現を人間的成長につなげる方法

子どもの感情表現は、基本的に親がお手本となります。家庭の中で、自分の気持ちを表現する語彙をたくさん使って会話をしましょう。親自身が表現に自信がない場合は、絵本を子どもと読むなどして、親も一緒に感情表現を学んでいきましょう。

4.「自分の意見がわからない!」

「〇〇を観てどう思った?」や「〇〇の本、おもしろかった?」という、ざっくりとした質問の場合、意見は言いにくいものです。大人であっても、「あの映画どうだった?」と聞かれたとき、なかなか意見が出ないということ、ありますよね? とはいえ、質問されているのだから、何か答えないと……と考えるのは、大人も子どもも一緒です。

「おもしろかった」「楽しかった」、そんな言葉で終わってしまっては、少し残念。そんなときは、どうしたらよいのでしょう?

【解決法】
「何かと「比較」すれば、“ひと言コメント”で終わらない」by 木暮太一さん(教育コミュニケーション協会 代表理事)

「おもしろかった」など、ひと言で終わってしまうのは、細かい感情でとらえていないから。そんなときは、何か別のものと比較するといいですよ。

子どもが「遊園地行けてうれしかった」と言ったら、「どのくらい? 夏休みが始まる時と同じくらいうれしい?」と聞いてみましょう。「いや、そこまでじゃないよ」「そんなもんじゃないよ、それよりずっとうれしかったよ」というようなコメントが返ってきたらしめたものです。そこからさらに掘り下げて、子どもたちの感情を言葉で引き出していけます

(引用元:木暮太一オフィシャルサイト|子どもが自分の意見を言えない理由

このように、比較対象を作って考えるようにすると、自分の意見を持てるようになります。「椅子から落ちそうになるくらいびっくりした!」「もう二度と食べたくないほど苦かった」など、作文の練習にもなりそうですね! また、その意見には「なぜ、そう思ったのか」という理由を付け加えることで、内容に深みがもたらされます

***
意見を言える子にするために、その意見がどんな内容であっても、親が一度は受け止めましょう。そして、意見が言えないときには、状況に応じてAとBの選択肢を用意したり情報を提供したりしながら、「自分で意見を言う」トレーニングを積み重ねることが大切です。

「こんなことを言ってもいいのかな?」「どんなふうに言ったらいいんだろう?」という気持ちが先に立ってしまい、自分の意見を言い出せないことは、大人にもよくあること。子どもばかりでなく、私たち大人も意識的に「自分の意見」を持てるように心がけたいものですね

(参考)
Study Hackerこどもまなび☆ラボ|「親の態度」がカギを握る。子どもの自己肯定感を高める行動、低める行動
SINGA FARM|日本の子どもは「考えない」?ヨーロッパに学ぶ「意見力」を育てる5つの心得
西日本新聞|【道徳教育を考える】臨床心理学者 中川美保子さん 意見言えぬ子 理解して 不安・葛藤に寄り添って
木暮太一オフィシャルサイト|子どもが自分の意見を言えない理由
ベネッセ教育情報サイト|子どもの感情表現を人間的成長につなげる方法
ハピママ|子どもに“考える癖”をつけさせよう! 自分の意見を伝える「自己主張力」の育て方