ここ数年で目にする機会が増えた「10歳の壁」という言葉。いわゆる「10歳の壁」とは、小学3・4年生になった子どもたちがぶつかる学習面でのつまずきや、精神的に不安定になりがちなこの時期特有の反抗的な態度などを指します。
10歳前後は、体も心も急激に変化していく時期。読者の中にも、「まさに今、真っ只中!」とお悩みの方や、過去を振り返って「ああ、あのときのあれがそうだったのか!」と気づく方もいるのではないでしょうか。
今回は、これまでご紹介してきた「10歳の壁」にまつわる記事のなかで、とくに人気の高かった6本をまとめました。さまざまな角度から「10歳の壁」問題に切り込んだ内容になっているので、ぜひ参考にしてください。
「10歳の壁」おすすめ記事1
■「10歳の壁」ではなくて「10歳の飛躍」! 親が我が子の10歳の壁をもっと面白がるべき理由
「10歳は子どもにとって大きな飛躍の年」
そう断言するのは、発達心理学・学校心理学の専門家である渡辺弥生先生です。「壁」と聞くと、乗り越えるために苦労や努力を必要とする困難なものの象徴としてとらえがちですが、実際には子どもが大きく羽ばたくために重要なのだといいます。
そもそも、10歳頃の子どもの「飛躍」は、それまでの親による教育、インプットが花となって開きはじめたということの表れに他なりません。その花が開くようすを楽しむことこそ、親としての醍醐味ではないでしょうか。
(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「10歳の壁」ではなくて「10歳の飛躍」! 親が我が子の10歳の壁をもっと面白がるべき理由)
この記事では、「10歳の壁」に直面した子どもの学習面での変化よりも、むしろ内面的な変化に着目しています。9歳までは困っている人を素直に助けてあげられたのに、10歳になるとなぜか行動を起こさなくなる、9歳までは自然と「みんな仲良く」ができていたのに、10歳になるとそれが難しくなってくる……。また、ニュースを見て、会ったこともない人の気持ちまで想像して考えられるようにもなるともいいます。
これらは対人関係の広がりの表れであり、その影響は自分自身へと向いていくそう。たとえば、自分を客観視できるようになり、「自分はこういう良くないところがあるから、直していかなきゃ」といった自己コントロールへと発展していくのです。
渡辺先生は、「大きな変化の渦中にいる子どもは、強いストレスも感じている」といいます。それが大人への反抗的な態度につながることもありますが、親はしっかりと子どもを見守り、必要であれば導いてあげるように心がけましょう。
「10歳の壁」おすすめ記事2
■「10歳の反抗期」に親がすべきこと。子どもは親の思いどおりには育たない!
早稲田大学教育学部教授でアンガーマネジメントの専門家でもある本田恵子先生は、この記事の中で子どもの反抗期を段階別に解説しています。いわゆる「イヤイヤ期」と呼ばれる3歳くらいの反抗期、そして14、15歳頃に訪れる思春期特有の反抗期。その中間にある10歳頃の反抗期について、親の接し方も含めて次のように述べています。
これはさまざまな試行錯誤をして創造力が伸びる時期だからこそ出てくる反抗期です。この時期にはルールで縛りつけ過ぎないように注意しなければなりません。「こうしたほうがいいよ」と親の理想を押しつけると、お手本どおりの解答はできるけど、独自性がない子どもに育ってしまうからです。
(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「10歳の反抗期」に親がすべきこと。子どもは親の思いどおりには育たない!)
「もう10歳」とはいえ、まだまだ子ども。その言動を見ていると、危なっかしくてつい口出ししたくなりますよね。しかし本田先生は、この時期の子どもは、思い切り自由にさせてあげると創造力や個性が伸びるといいます。
ではなぜ、この時期に子どもの個性を伸ばすことが求められるのでしょうか。それは、「子どもは親の思い通りには育たない」ことが明白だから。誰しも、自分の子どもには「こうなってほしい」という願望を抱いてしまいますが、ほとんどの場合、子どもは意外な個性を発揮して親を驚かせます。だからこそ、本田先生は「この時期に、きちんと『自分で決められる』子どもに育てることを重視すべき」だというのです。
また、「たとえ反抗期がなくても、不安になる必要はありません」とも。本田先生は、「それは子どもの欲求を親が上手に受け止めている証拠」と述べています。この時期は、子どもが反抗してもしなくても、「ひとりの人格をもつ人間」として向き合うことが大切なのです。
「10歳の壁」おすすめ記事3
■「10歳の壁」「9歳の壁」「小4の壁」とは? 子どもの発達段階を意識した4つの対処法
この記事では、「10歳の壁」(「9歳の壁」「小4の壁」も同義)にまつわる深刻な社会問題を取り上げながらも、適切な対処法や対策をしっかりと紹介しています。子どもの発達段階において避けては通れない「10歳の壁」。必要以上に恐れたり心配したりせずに、正しい知識と接し方を学んで乗り越えたいですね。
10歳ごろになると、「他者意識」が発達し、他人との比較を通じて自分を認識するようになるため、子どもの自己評価や自尊心が低下してしまうのだそう。嫉妬などのネガティブな感情も生まれ、気に入らない相手を無視したり、その人について悪いうわさを流したりといった「関係性攻撃」につながってしまう場合もあるとのことです。
(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「10歳の壁」「9歳の壁」「小4の壁」とは? 子どもの発達段階を意識した4つの対処法)
子どもが成長していく過程では、他者と自分を比較してネガティブな感情にとらわれるケースが多く見られます。しかし、それは決して悪いことではありません。親が注意すべきことは、余計な口出しをしたり、傷つかないように先回りして守ったりするのではなく、「今はこういう時期なんだ」と見守ってあげること。そのうえで、次のように接すると効果的だそう。
■対策1:ほめて自信をつけさせる
他者との比較によって自己評価が低下した子には、「自己肯定感の育成」を。コツは“少しおおげさ”に、そして“具体的にほめること”です。
■対策2:家事を手伝わせる
お手伝いをしてもらってほめる場面をつくりましょう。「家族の役に立てた」と実感することで、自己肯定感が養われます。子どもの能力に応じて、具体的に指示を出すとスムーズです。
■対策3:本を読むように仕向ける
多くの名作には、「友情の大切さ」や「因果応報」など抽象的な教訓が含まれています。読書することで、他者への共感力や抽象的な物事への理解が深まり、人間関係の問題に直面しても自分で対処できるようになるでしょう。
■対策4:体験活動をさせる
子どもの自己肯定感を強くするには、キャンプなどの自然体験がおすすめ。自然体験が豊富な子ほど、「勉強は得意なほうだ」「今の自分が好きだ」と考える傾向があるそうです。
どれもシンプルなアドバイスばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
「10歳の壁」おすすめ記事4
「10歳の壁」と呼ばれる時期は自己肯定感が失われやすくなり、その後の人生にも影響を及ぼすそう。自己肯定感が欠如した子どもは、「どうせ頑張ったってできない」と、挑戦することを放棄するようになります。すると、次第に自分から行動を起こさなくなり、将来は人のあとをついていくだけの「指示待ち人間」になってしまうかもしれないのです。そうならないためには、どうしたらいいのでしょうか?
一番大切なのは、親が子供を信頼し、行動を見守るということです。子供が行動するとき、失敗しそうで不安になり、あれこれ口を出していませんか? 「早く宿題をやりなさい」や「部屋をきれいにしなさい」などと、子供の行動に毎回口をはさみ叱っていると、子供はどんどん挑戦する心を失っていってしますのです。
(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|親が知っておくべき「10歳の壁」と自己肯定感の関係)
教育評論家の親野智可等先生は、「目先のことばかり見て『○○ができていない』と否定的に叱り続ける親は、子どもの自己肯定感をボロボロにする」と述べています。
親ができることは、子どもを信じて、自分の力でやり遂げられるように見守ってあげること。そして、能力や結果ではなく“努力したこと”をほめてあげましょう。
これからの時代は、ますます主体性をもって行動することが求められます。主体性を生み出すには、自己肯定感は欠かせません。お子さんの将来のためにも、自己肯定感を失わせないように大切に育んであげたいですね。
「10歳の壁」おすすめ記事5
■「10歳の壁」は飛躍のチャンス。「壁」を飛び越えるための言葉かけ
小学校4年生くらいから学校の勉強はぐんと難しくなり、それまで「なんとなく理解していた子」は、非常に困難な状況に陥ります。勉強が難しくなることで自信が失われ、同級生と比較して劣等感が芽生えてしまうと、自己肯定感の低下につながることも。ここでは、実際に「10歳の壁」に直面したとき、子どものやる気を引き出して自己肯定感を高める言葉かけを紹介しています。
お子さんが劣等感や自己否定感で悲しい思いをしているときに、「○○するべき」と理詰めで教えても、より追い詰めてしまうことになりかねません。大人の目線で解決策を教えたくなる気持ちも分かりますが、気持ちに寄り添った言葉をかけ、お子さんを安心させてあげることが大切です。
(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「10歳の壁」は飛躍のチャンス。「壁」を飛び越えるための言葉かけ)
まずは子どもの気持ちに寄り添い、受け止めてあげることを心がけましょう。それをふまえると、かけてあげるべき言葉が見つかるはずです。この記事では、NG例とOK例をわかりやすく解説しています。
「お姉ちゃんはいつも満点だったよ」→NG
「前よりも10点も上がったね!」→OK
ほかの兄弟や周りのお友だちと比較してしまうと、子どもの自尊心を傷つけます。この場合は、「過去の自分」と比べてほめてあげましょう。
「だからダメだって言ったのに!」→NG
「お母さんも小さいとき同じ失敗しちゃったんだ」→OK
子どもが失敗したときに頭ごなしに叱るのは避けるべき。親自身の失敗談も話してあげれば、「失敗してもいいんだ」と失敗を恐れずにチャレンジする力が育まれます。
ほかにも、すぐに役立つ言葉かけをいくつか紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
「10歳の壁」おすすめ記事6
■「すごい」「えらい」より効果的! 褒めず・怒らずに子どもを自立させるアドラー式子育てとは
今注目されている、褒めない・怒らない「アドラー式子育て」についてくわしく解説しているこの記事。アドラー式子育てでは、「勇気づけ」という技法を用いて、子どもに「困難を克服する力」を与えることを目指します。
アドラー式子育てでは、子どもの人格や性格は10歳頃までに形成させると考えられています。そのため、10歳前後の関わり方が特に重要視されているのです。これまで勇気づけをしてこなかった方は、これから少しずつでも勇気づけを心がけてみましょう。
(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「すごい」「えらい」より効果的! 褒めず・怒らずに子どもを自立させるアドラー式子育てとは)
「勇気づけ」とは、子どもが何かしてくれたときに「えらいね」「すごいね」と褒めるのではなく、「ありがとう」「うれしいな」などの気持ちを伝えるようにすること。すると子どもは気分が良くなり、“自分の意思で”相手を喜ばせるような行動をとるようになるそうです。
子どもを褒めることは大事ですが、その「褒め方」には注意しなければなりません。些細なことで頻繁に褒めていると、その状況が当たり前になってしまい、褒められない状況に不安を覚えるようになってしまうとか。さらに、褒めてもらうために「大人はどう思うか」を基準に行動するようにもなってしまいます。
ここでは、日常のシーン別に具体的な褒め方をくわしく解説しています。読み進めていくうちに、「いままで間違った褒め方をしていた」、もしくは「怒らなくてもいい場面で怒っていた」という気づきにつながるはずです。
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「10歳の壁」を語るうえで「自己肯定感」は外せません。自己肯定感が失われがちな時期だからこそ、子ども自身が自分で自己肯定感を手に入れられるように見守ってあげましょう。自分で壁を乗り越える力が身につくことで、大きな飛躍につながっていくのです。