教育を考える/知育 2018.7.29

「子ども向けパズル」は教育効果バツグン!? 選び方とおすすめパズル教えます

編集部
「子ども向けパズル」は教育効果バツグン!? 選び方とおすすめパズル教えます

「教育のためには、子どもが小さいうちからパズルで遊ばせたほうがいいかな?」そんなふうに考えたことのある人は少なくないはず。頭や手を活発に動かすパズルは、いかにも学習効果が期待できそうです。

パズルと一口にいっても、平面的なもの・立体的なものがあり、遊び方や素材もさまざま。それぞれ、どのような特徴や魅力を持っているのでしょう?

今回は、子ども向けパズルの教育的効果や種類別おすすめパズル、パズルを手作りする方法などをご説明しますね。なお、本記事では、「実際に指・手でつかむことができ、ピースを組み合わせることで完成するおもちゃ」をパズルとして紹介しています。

パズルが子どもにもたらす教育効果

パズルは子どもに対し、どのような教育効果をもたらすのでしょう? 脳科学を専門としている篠原菊紀教授(公立諏訪東京理科大学)の話では、ジグソーパズルは「脳を活性化させるため、子どもの成長にはとても有効的な遊び」とのこと。集中力や記憶力といった能力を伸ばしてくれるのだそうです。

また、ジグソーパズルの製作・販売を手がけるシャフト株式会社によると、そもそもジグソーパズルは子どもの教育のために生まれたそう。色彩判別能力・図形認識能力・記憶力・知覚統合力(視覚情報を理解する能力)・空間認識能力などを養う「無限の展開と可能性を秘めた知育玩具」なのだとか。

さらに、空間認識能力を研究するジェーミー・ジロー助教授(米ヴァージニア大学)らが4~7歳の子ども847人に行った調査では、パズル・ブロック・ボードゲームで週に6回以上遊ぶ子どもは、空間認識能力を測定するブロック配置テストにおいて、それ以外の子どもよりも高いスコアを獲得したそう。一方、お絵描きやスケートボードといったほかの遊びの習慣については、スコアとの関連性を確認できませんでした。この結果から、パズル・ブロック・ボードゲームで遊ぶことは子どもの空間認識能力を高める可能性が示唆されました。

ちなみに、空間認識能力は、STEM(科学・技術・工学・数学)分野で成功を収めるのに必要になるのだとか。だとすれば、子どもがパズルで遊ぶことは、その後の人生に大きな影響をおよぼすのかもしれません。

子どもの知的好奇心を育てる3つのポイント
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パズルが好きな子どもの特徴

パズルが好きだったり得意だったりする子どもは、頭がよいとみなされることがあります。実際はどうなのでしょう?

シャフト株式会社によると、ジグソーパズルが得意な人は、上で挙げた色彩判別能力・図形認識能力・知覚統合力・空間認識能力に優れていることが多いとか。これらの能力がもともと高いからジグソーパズルを上手に組める、ともいえますが、ジグソーパズルで繰り返し遊ぶことによって能力が伸びる場合もあるそうです。これらの能力が優れている人たちは、設計・建築関係の仕事やプログラマー、カメラマンやアーティストなど、クリエイターや機械関係の仕事で特に力を発揮するとのことです。

体操で知られる内村航平選手は、2016年のリオ五輪で個人総合金メダルを獲得し、ロンドン五輪に続いて2連覇を果たすという偉業を成しとげました。そんな内村選手は、小さいときに英才教育を施され、「右脳が発達しているほうが独創的で豊かな子供に育ってくれるのでは」と、わずか生後6カ月頃からジグソーパズルを与えられていたそうです。内村選手の卓越した空中感覚は、子ども時代のジグソーパズルによって養われたのかもしれませんね。

知育パズルとは

子ども向けパズルのなかでも、特に「知育パズル」と呼ばれるものがあります。普通のパズルとどう違うのでしょう?

「デジタル大辞泉」は、知育を「知識の習得によって知能を高めることを目的とする教育」だと説明しています。また、Amazonは2016年に「Amazon.co.jp 知育・学習玩具大賞」を設立し、ストアで扱う商品から「子どもの知的発達や好奇心を掻き立てる遊びができる商品」を選定するようになりました。以上のことを総合して考えると、「遊ぶことを通して子どもの好奇心を刺激し、知能を高める」パズルが知育パズルだといえるでしょう。

日本では幼児教育として知られている、モンテッソーリ教育。モンテッソーリの教育施設では、子どもは「教具」と呼ばれる専用のおもちゃ・道具で遊ぶことにより、感覚を養ったり文化や算数の知識を吸収したりします。モンテッソーリの教具にはパズルもあるため、これらは知育パズルと呼べるでしょう。以下に2つ紹介します。

はめこみパズル(B)

0~3歳児向けの教具。大きさの異なる円・三角形・四角形のピースを、台座のくぼみにはめ込みます。単純ですが、ピースをはめることを通じて、形の違い・大きさの違いを理解できるのです。

日本地図パズル

3~6歳児が対象の「文化教育」を目的としたパズルです。47都道府県がおおまかな地域ごとに分かれたピースを、地図を模した台座の正しい場所にはめます。「日本の形を知る。日本の中に県と地方があることを知る」のが狙いだそうです。ピースが47個あるわけではないので、子どもでも難しくありません。

子どもに適したパズルのサイズ

子ども向けパズルには充分な教育効果があることがわかりました。では、子どもにパズルを買い与えるなら、どれくらいのサイズがよいのでしょう? 市販のパズルは、大きさだけでなく、ピースの数もさまざまです。わずか数ピースから始まって、1,000ピース、ひいては2,000ピースまで。子どもに適したパズルは、どう選べばよいのでしょうか。

~10ピース

1歳を過ぎたくらいの子どもに初めてパズルをやらせるなら、10ピース未満の簡単なものがおすすめです。1枚の絵を4つのピースに分割したパズルもありますが、キャラクターなどの形そのままに切り取られたピースを台座にはめこむタイプのパズルもあり、「ベビーパズル」という名で売られていることも。

~50ピース

2歳以上を対象として売られているパズルは、50ピースに満たないのが一般的。このようなパズルは「子ども向けパズル」や「キッズパズル」として売られています。ピースの形は、一般向けのような凹凸のあるものではなく、大き目で丸みをおびた「雲形ピース」が採用されることが多いようです。ジグソーパズル専門店「ジグソークラブ」によれば、「とても組みやすい難易度の易しいピース」とのこと。

しかし、ピース数が少なくても、ピースの形が一般的な凹凸型だったり、パズルの絵柄が細かったりすると、難易度は上がります。子どもにもよりますが、3歳を過ぎたら挑戦してみてはどうでしょうか。

~100ピース

100ピースに満たないくらいのパズルは、小学生以上を対象にしたものが多いようです。しかし、キャラクターのイラストが多く、ピースの配置を予想しやすいため、小学生未満で完成させられる子どももいることでしょう。子どもの適性や図版の好み、ピースの形などによって、大変さは異なります。対象年齢は参考程度にして、子どもが興味を持って取り組めるパズルを選んでくださいね。

子ども向けパズル2

子ども用パズルの収納方法

子どもが完成させたパズルの絵柄が気に入っていると、額に入れて壁に飾りたくなるものです。しかし、子どもに繰り返し遊ばせるには、どうにかして保管しておかなければなりません。

とはいえ、ほかのおもちゃと同じように、パズルをおもちゃ箱にそのまま放り込むわけにはいきません。ピースを紛失してしまいます。また、販売時にパズルが入っていた袋は、何度も使うことを想定していないので、破れやすいもの。どうすればよいのでしょう?

おすすめは、文房具店や100円ショップで、パズルより少し大きいサイズのファスナーつきクリアケースを買うこと。1つのケースにつき1つのパズルをしまいます。できるだけ多くのパズルが棚に収まるよう、やわらかい素材がよいでしょう。子ども用パズルには台紙がついていることが多いため、ピースを台紙にはめた状態でクリアケースにしまえば、棚に立てて置くこともできます。

子ども向け立体パズル

普通のパズルが難なく組めるようになった子どもなら、立体パズルに挑戦してみてはどうでしょう? 立体パズルとは、ピースを垂直方向にも組み立てて球体などの形を作り上げるジグソーパズルや、ルービックキューブなどを指します。タテ・ヨコだけでなく「奥行き」などの概念も考慮しなければならないため、より高い空間認識能力が求められるといえるでしょう。

日本で有名な子ども向け立体パズルとして、くもん出版の「空間パズル」があります。対象年齢は4歳以上。それぞれ形状が異なる木製ブロックのピースが10個入っており、それらを組み合わせてお手本通りの立体図形を作り上げます。簡単なお手本から始めて難しいものに挑戦していく過程で、子どもの空間認識能力が養われるそうですよ。

木製の子ども用パズル

子ども用パズルに多い材質は、紙や樹脂。人気なのは木材です。子どもに与えるおもちゃは木製がよい、と聞くことも多いですが、実際のところどうなのでしょう?

認定NPO法人・芸術と遊び創造協会によると、木のおもちゃは「子どもの五感に働きかけ、感性豊かな心の発達を促す」ことができるほか、親にとっても癒やし効果があるのだとか。そして、子育ての環境に木を取り入れたりなどの活動を「木育」というそう。木育によって、環境問題を真剣に考える人間が育つのだそうです。

同協会によれば、高度経済成長期以降、日本人の生活から木製品が減っていきました。自分の家を見回してみると、安価な樹脂や金属製の家具を使っていることに気づく人もいるのではないでしょうか。家具を木製でそろえるのは難しくとも、木製のおもちゃなら気軽に買えます。優れたデザインのものも多いので、ひとつ買ってみてはどうでしょう。

たとえば、ドイツのジャン=クロード・コンスタンティン工房は、デザイン的に優れた美しい木製パズルを数多く作っています。「フレームパズルギャロップ」は、ひづめ型のフレームに、馬の形をしたピースをうまく収めるもの。色もポーズもそれぞれ異なる馬の繊細なデザインは、見ているだけで子どもの感性を刺激してくれそうです。

子ども向けパズル3

子どもにおすすめ&人気のパズル5選

さて、子ども向けパズルのさまざまな魅力や特徴を見てきました。しかし、数多く売られている子ども向けパズルのなかから、何を選べばよいのでしょう? 人気商品・おすすめ商品を5つご紹介します。

アトリエ・フィッシャーの六面体パズル

スイスのアトリエ・フィッシャー社は、高品質の木製おもちゃで知られています。なかでも、スイスの風景や動物などの美しいイラストが直接プリントされた六面体パズルは、日本でも人気。4~20ピースの種類があり、対象年齢は3歳以上。6つの面それぞれに異なる絵が描かれているので、1つのパズルで6種類の絵柄を楽しむことができます。

3D球体パズル 地球儀‐THE EARTH‐

立体のジグソーパズルに初めて挑戦するなら、見慣れた地球儀はどうでしょう? 地球儀形パズルには240ピース以上のものが多いですが、これはたったの60ピース。ピースひとつひとつが大きいので、難易度が低めです。ただ地球儀を眺めるよりも、自分で作ったほうが地理を覚えやすそうですね。

モンテッソーリ カエルの一生 パズル

卵・オタマジャクシ・子ガエル・カエルという4つのピースを順に台座にはめるだけの、シンプルなパズルです。木製で温かみがあり、イラストが可愛らしいので、遊んでいて優しい気持ちになれそう。成長にともなって全く違う姿に変わるカエルの一生に思いを馳せてみては?

くもんのジグソーパズル

1~3.5歳以上を対象とした知育パズル。難易度がステップ0~7の8段階に分かれているので、子どもの遊ぶ様子を見ながら買いそろえていきやすいのが特徴です。子どもがジグソーパズルに慣れていけるよう、ピースの形や素材に工夫がされています。ステップ7で取り組むパズルは200ピース以上。これを完成させられたら自信がつきそうですね。

魚つりパズル

魚つりゲームとパズルが楽しめる、お得なセット。台にはめられているカラフルな魚のピースには磁石がついており、専用のつりざおでつり上げられます。魚を全部つったら、今度はパズル。元通りにはめなおして、何回もくりかえし遊べます。ユーザー評価は5点中4.8点という、定番の人気商品です。子どもだけでなく、親も童心にかえって楽しめそうなパズルです。

子どもとパズルを手作りしてみよう

いろいろな子ども向けパズルがあって、目移りしてしまいますね。どれを買うべきか迷ったら、いっそ手作りしてみるのもよいかもしれません。簡単に作れますし、道具を使うことで指先の動きが鍛えられます。親子でやってみてはいかがでしょうか。

ダンボールに絵を描く

無地のダンボール、カッターナイフ、太めではっきりした発色のサインペンを用意してください。ダンボール一面に好きな絵を描き、カッターナイフで大きめに切り取ります。これだけでパズルの完成です。表裏の両方に絵を描くのもよいですね。

ダンボールに絵を貼る

必要なものは、ダンボール、カッターナイフ、のり、そしてプリンター。まず、好きなイラストや写真を用意してプリントしましょう。プリンター専用紙を使うと、インクが綺麗に発色します。そして、プリントしたものをダンボールに貼り、上と同様にカッターナイフで切り取ります。自分の好きな柄のパズルを簡単に作ることができますね。

ペーパークラフトを作る

プリンターなど電気機器を製造するキヤノン株式会社は、印刷して使える画像データをインターネット上で配布しています。そのなかには、子どもに最適な知育パズルも。たとえば「チェッカードキューブパズル」は、緑と白に色分けされたピースを組み、市松模様にそろえる立体パズル。似たような商品が市販されていますが、紙に印刷されたものを切り貼りし、ピースを自分で作ることから始めるので、さらにやりがいがありそうですね。

***
多くの親が教育に取り入れている子ども向けパズル。
難しく考えず、子どもと楽しんでやってみましょう!

(参考)
ジグソークラブ|ジグソーパズルで脳トレ!
ジグソークラブ|ジグソーパズル ピースの種類
シャフト株式会社|子供の脳トレにも最適!ジグソーパズルで子供と遊ぼう
シャフト株式会社|ジグソーパズルが得意な子どもは頭がいい?
EurekAlert!|Playing with puzzles and blocks may build children’s spatial skills
女性自身|内村航平 母が明かした英才教育「右脳開発は0歳から」
内村航平オフィシャルウェブサイト
コトバンク|知育
学研モール|はめこみパズル(B)
学研モール|日本地図パズル
くもん出版|空間パズル
木育ラボ|木育って何?
ボーネルンド オフィシャルサイト|木のぬくもりが伝わる、美しいデザインの木製パズルを11月1日より新発売
ボーネルンドオンラインショップ|フレームパズルギャロップ
ボーネルンドオンラインショップ|魚つりパズル
クレヨンハウス|アトリエフィッシャーの六面体パズル
株式会社やのまん|3D球体パズル 地球儀‐THE EARTH‐
Amazon|モンテッソーリ カエルの一生 パズル
くもん出版|知育玩具 商品ラインアップ
Canon Creative Park|チェッカードキューブパズル