あたまを使う/英語 2018.9.28

“やらされる” のではなく “自分から” 学ぶ! 新しい文法学習法 GIC で「わかる」「使える」英文法をマスター

田中茂範
“やらされる” のではなく “自分から” 学ぶ! 新しい文法学習法 GIC で「わかる」「使える」英文法をマスター

前回、英文法を今までのような「わからない」「使えない」ものではなく、「わかる」「使える」ものにするために、「表現英文法」についてお話ししました。

新しい文法学習法 GIC で「わかる」「使える」英文法をマスター2

「名詞」「動詞」「副詞」の文法により “意味のかたまり” を作り、「語順」「構文」によって複数の “意味のかたまり” を結合することで、英語の表現は生まれます。これがまさに「英文法を使う」ということです。

この “意味のかたまり” のことを「チャンク」と言います。そして「チャンク」をつなぎ合わせることを「チャンキングする」と言います。

この考え方を発展させると、「チャンキングの中の文法」という考え方が出てきます。ここでは、GIC(Grammar in Chunking) という新しい文法学習法をご紹介しましょう。

新しい文法学習法「GIC」で、わかる・使える英文法をマスター!

新しい文法学習法 GIC で「わかる」「使える」英文法をマスター3

例えば、この英文は、3つのチャンクで作られています(3色異なる色で示しました)。

I don’t know when Mary has decided to leave the school.
(いつメアリーが学校をやめるという決断をするのか、僕にはわからない)

GIC の方法は、どこかのチャンクに、学習したい文法項目をそっと入れるというものです。

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親子で「GIC」を使って「to不定詞」を学んでみよう!

中学2年生に「to不定詞」の使い方を指導した時に用いた方法をご紹介します。小学校高学年のお子さんがいらっしゃるご家庭ならば、お子さんと一緒にやってみてもいいでしょう

まずはお子さんに、to doは「これからすること」を表すのだと伝え、次の例文を挙げます。

  • I want to go to the convenience store.
  • これからコンビニに行くことをしたい
    →コンビニに行きたい

  • I want to go to Hawaii.
  • これからハワイに行くことをしたい
    →ハワイに行きたい

  • I want to study hard.
  • これからがんばって勉強することをしたい
    →勉強をがんばりたい

そして、1. あなたは「どう思っているか」を示す、気持ちを表すチャンクと、2. 「これからすること」のチャンクをリストで示し、子どもに自由に組み合わせてもらいます。

新しい文法学習法 GIC で「わかる」「使える」英文法をマスター4

これは、最も単純な2つのチャンクをつなぐやり方です。ポイントは、これらの表現を分解して説明せず、1フレーズを少し長い単語のように、1つの “意味のかたまり” として示すこと。

このような質問に間髪入れず、瞬発力をもって応答できるようになることが、ここでの目標です。

新しい文法学習法 GIC で「わかる」「使える」英文法をマスター5

この目標をクリアしたら、目的を表す to不定詞の使い方「~のために」を学ぶために、3つ目のチャンクを加えます。

まずは1と2の表現を組み合わせて発言したお子さんに「なぜ?」と質問し、「なんのためにするのか」の答えを引き出してあげましょう

新しい文法学習法 GIC で「わかる」「使える」英文法をマスター6

その答えを加えれば、こんな一文ができあがります。

1. I really want 2. to go to Hawaii 3. to learn real English.

答えがなかなか思いつかなくても大丈夫。「~のために」のチャンク3として以下のような選択詞を与え、お子さんに1、2の表現と自由に組み合わせてもらいましょう

新しい文法学習法 GIC で「わかる」「使える」英文法をマスター7

さらにこんなふうにコメントをしてあげると効果的です。

  • to do は『これからする何か』を表すよね。「~するため」という目的も『これからする何か』であることには違いないね。
  • to do の形はすごく使い道があるね。

3つのチャンクからなる英文ができあがったら、この文をチャンクごとに区切り、お子さんに3回ほど音読してもらいましょう

自分の知らないどこかのだれかについての無機質な例文ではなく、本人の想いや考えが反映されている英文なので、自分に直接関係することとして、積極的に読むことができるはずです。

このように選択肢を示し、子どもが自分で選べるようにすることで、子ども自身の気持ちや本人のそのときの状況を反映した表現活動が可能になります。文法学習としてやらされているとは感じなくなり、まさに自分事として取り組む活動になるのです。

このように、用例をできるだけリアルなものにすることで、実際の表現の中で文法を学ぶことができます。文法項目のほとんどが GIC 学習法で学べると、ぼくは考えています。