教育を考える/知育 2018.10.1

ブロックのおもちゃに秘められた教育効果。ブロックで大きく伸びる子どもの「チカラ」

編集部
ブロックのおもちゃに秘められた教育効果。ブロックで大きく伸びる子どもの「チカラ」

色とりどりの子ども向けブロック。お子さんのいるご家庭の多くが、おもちゃのひとつとしてブロックをお持ちなのではないでしょうか。

このブロックのおもちゃ、実は「子どもの学力を伸ばしてくれるおもちゃ」だということを知っていましたか? ブロックは、子どもの様々なチカラを伸ばしてくれる、とても教育効果の高いおもちゃ。そんなブロックの魅力について解説しましょう。おすすめのブロックや、効果的な遊び方についてもご紹介します。

東大出身者の約7割が「レゴ」経験者

ブロックのおもちゃの代表と言えば、レゴブロックですよね。このレゴについて、興味深い調査結果があります。レゴジャパンが2018年2月に実施した「レゴと知育の関連性に関する調査」です。

この調査は、東大をはじめとする東京六大学出身者を対象に、子どもの頃のレゴとの関わりやレゴによる知育効果について調べたもの。この調査において、東大出身者の68%がレゴブロックで遊んだことがあると回答しました。

アンケートの回答によると、レゴは、東大出身者たちの集中力や創造力、イメージ力を伸ばすことに役立ったことが分かったのだそう。合わせて、東大出身者の約75%が、東大に入るために一番必要な能力は集中力であるとも回答。同社は、東大合格に必要な集中力を養うのにレゴは効果的だと分析しています。

また、子ども時代にレゴ経験のある東大生の94%が「説明書無しで自由に組み立てるタイプのレゴを好んだ」と回答していました。これは、他の大学出身者に比べて多い割合。レゴ遊びは東大合格につながる柔軟な創造力、発想力にも影響したのではないかと、調査結果には記されています。

ブロックのおもちゃに秘められた教育効果2

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ブロックのおもちゃの教育効果とは?

東大生の多くが子どもの頃に遊んでいたレゴ。ここで、レゴをはじめとするブロックのおもちゃが持つ教育効果をまとめてみました。

・記憶力、思考力、集中力が向上する

ブロックで遊ぶときには、指先をよく使いますね。この指先の運動によって、子どもの脳の活性化が期待できます。

その理由は、指先の運動による刺激が、思考や記憶、言語、運動などの機能の中枢である大脳に伝わるから。ブロック遊びで指先をたくさん動かすと大脳が大いに活性化するため、思考力や記憶力アップが期待できるのです。

また、指先を使ってブロックを操るには集中力も必要なので、ブロック遊びは子どもの集中力向上にもつながります。ブロックは、勉強に役立つ様々な力を向上させることができるおもちゃだと言えるでしょう。

・独創性、想像力、探究心が養われる

ブロック遊びは、ブロックを思い思いに組み合わせることによって、イメージしたことを形にしていく遊び。「次は○○を作ってみよう」「ここをこうつなげて、こうやって重ねて……」と考えながら、子どもは想像力、創造力を養うことができます。

他には子どもの探究心を高める効果も。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は、レゴブロックで遊ぶことの効果について次のように述べています。ブロックは子どもの意欲をかきたてるのにぴったりなおもちゃなのですね。

(レゴには)パズルやテレビゲームのように、あらかじめ設定されたゴールがありません。学校の勉強は、あらかじめ決められた正解に速く正確にたどり着くことを目的にしがちです。それが子供たちの学びの意欲をそいでしまうことがあります。でもレゴの場合、正解は自分の中にあります。旧来の学校の勉強ではなかなか伸ばせない探究心・創造力を、レゴは刺激してくれるのだと考えられます。

(引用元:PRTIMES|東京六大学出身者600名に聞いた「レゴと知育の関連性に関する調査」 3月10日は東大合格発表!東大出身者の約70%がレゴ経験あり!“レゴ育”が東大入学への近道だった!?)カッコ内は編集部にて補った

ブロックのおもちゃに秘められた教育効果4

・協調性、コミュニケーション力が身につく

ブロックは年齢に関係なく遊べるおもちゃです。子どもは一人でもブロック遊びに熱中できますが、友だちや兄弟姉妹、そして大人と一緒に遊ぶのもまたよいもの。何人かで一緒にブロック遊びをすれば、子どもは協調性やコミュニケーション力を身につけることができます。

同志社女子大学現代社会学部現代こども学科・特任教授の上田信行氏によると、ブロック遊びにより得られる創造性や探求心は、仲間とコミュニケーションを取りながら一緒に遊ぶことでより一層磨かれるのだそう。上田氏はレゴブロックに期待できる教育効果として次のように解説しています。

ワクワク、ドキドキするような学びを自ら開拓し、学びのプロセスをふりかえりつつ経験を再構成していく。
このような学びのセンスは、仲間と協同して「ものづくり」に夢中になることによって確実に鍛えられ、磨かれます。
レゴ®ブロックを使った学びの魅力は、子どもが考えをカタチとして表現し、可視化することによって仲間とアイディアをシェアーできるところにあります。
みんなで何かをつくりあげながら、そこでの経験を語り合い、リフレクション(反省)を通してアクティヴィティを改善していく。 創造的な学びは、このようなプレイフルな場で生まれるのです。

(引用元:レゴ®スクール|レゴ社の教育

・理系の能力が伸びる

幼少期の子どもにブロックのおもちゃで遊ばせることは、子どもの理系の分野における能力を伸ばすことにつながります。このことは、いくつかの研究結果により明らかになっていることです。

中京学院大学短期大学部保育科・准教授の川田治氏が、高校生の数学の力と空間把握力、そして幼児期の遊び方との関連性についての研究を行ないました(2017年に発表)。それにより、以下のことが明らかになったのだそう。

  • 数学のテストの点数が高い高校生は、空間把握力が高い
  • 空間把握力が高い高校生は、幼稚園・保育園時代にブロックや積み木などの空間把握力が必要なおもちゃで遊ぶことを好んでいた

※空間把握力の高さは、積み上げられた積み木の数を数えさせる問題や、平面図形を回転させたときにできる立体の形について考えさせる問題などによって測定。

また、米国のコロラド大学とカールトン・カレッジの共同研究(2018年に発表)においても、幼児期のブロック遊びが、成長後の科学、技術、工学、数学分野における能力の高さに貢献することが明らかにされています。しかもこの研究によると、小学校入学後の子どもにブロックのおもちゃを与えても、理系の能力に差は生じなかったのだそう。就学前の幼少期のブロック遊びが重要であることが示唆されたのです。

実際、空間把握力は小学校以降の理系科目の理解に役立つもの。空間把握力が高い子どもは、体積・容積を求める問題や図形の問題で少しひねりのある複雑なものにも、スムーズに取り組むことができます。逆に、空間把握力が低い子どもはこうした問題には太刀打ちできないのだとか。

子どもの学力向上にも貢献するブロック遊び。ぜひ幼児期に取り入れたいものですね。

ブロックのおもちゃに秘められた教育効果3

おすすめのブロックと、効果的な遊び方

ブロックは、とてもシンプルなおもちゃです。パチパチと組み立てるだけで物を作ることができ、とにかく自由度が高いおもちゃなので、赤ちゃんから大人まで楽しむことができます。ここからは、おすすめのブロックと効果的な遊び方について紹介しましょう。

・レゴ

代表的なブロックのおもちゃであるレゴには、対象年齢が低い順にレゴ・デュプロ、レゴ・ジュニア、レゴ・クラシックがあります。中でも1.5〜5歳向けのレゴ・デュプロは、ブロックのサイズが大きいのが特徴で、小さな子どもでも遊びやすいブロックです。

LEGO|レゴランド・ディスカバリー・センター公式オンラインショップ




子どもの能力を伸ばすためにレゴを教材として使用しているレゴスクールというところがあります。レゴスクールの狙いは、レゴの特徴を活かした遊び・レッスンを通して、子どもの考える力や問題解決力を育てること。レッスンの一例として、レゴスクールの幼稚園クラスでは、いろいろなやり方でブロックを重ねることで倒れにくいブロックの重ね方を学び、構造体のバランスや強度について自然と学んでいくのだそう。

レゴスクールを運営する渡邊くみ子氏は、家庭でできるレゴブロックの遊び方を以下のように紹介しています。

「例えば、アヒルや犬をブロックで作ったとします。『よくできたね』で終わりじゃなく、『ねえねえ、この子はなんて名前なの?』『どこに住んでるの?』『なに食べてるの?』『何歳なのかな?』と聞いてあげるだけで、子どもの想像力が広がりますよね。これならおウチに今あるブロックで簡単にできるはず。」

「もうひとつおすすめなのが、見本を一つ作り『これと同じものを作ってね』と言って、その見本を10秒間だけ見せるんです。10秒たったら見本を隠して同じものを作るという遊びです。ゲーム感覚でできますが、集中力や記憶力もつき、子どもの能力を伸ばすのに効果的です。」

(引用元:いこーよ|子どもの能力を育てるレゴ®ブロックの遊び方とは?

また、300万個のレゴブロックで思う存分遊ぶことができる、レゴランド・ディスカバリー・センター東京もおすすめ。混雑時も最優先入場ができて、チケット料金が最大23%OFFになるオンライン前売りチケットがお得です。


・学研のニューブロック

レゴと同様、代表的なブロックのおもちゃのひとつが学研のニューブロックです。その特徴は、大きめで柔らかいブロック。ブロックの中は空洞になっていて軽く、小さな子どもにも扱いやすいものです。

記号のシャープ(♯)のような形のものをはじめ、アーチ形や、タイヤのような丸形などのブロックがあり、レンガを組み合わせるようなイメージでブロックを組み立てていきます。縦横斜めに組み合わせられるので、乗り物や線路、建物はもちろんのこと、食べ物や動物などの丸みのあるものなど、身近なものを作って楽しめます。親子やお友だちとの「ごっこ遊び」にもぴったり。

子どもが入って遊べるくらいの大きなおうちをつくって遊ぶこともできますよ。下記の商品紹介サイトには、たくさんのユニークな作品が掲載されていますので、ぜひ見てみてください。

学研ステイフル|ニューブロック スーパーラボ

・LaQ

今までよりもっと複雑なものを作ってみようと思った方は、LaQ(ラキュー)というブロックに挑戦してみてはいかがでしょうか。

LaQには、三角と四角の2種類のメインパーツと、5種類のジョイントパーツがあります。この7種類のパーツを組み合わせると、簡単な立体物だけでなく、複雑な幾何学体や滑らかな球体まで作れてしまいます。

ブロックについて、小さな子どもだけが遊ぶおもちゃだとイメージする人は多いと思います。ですがこのLaQは、少し大きくなった子どもや大人でも、じゅうぶん楽しめるおもちゃです。親子みんなで、熱中してみてはいかがでしょうか?

LaQ|LaQとは

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ただ楽しいだけでなく、子どものさまざまな力を伸ばしてくれる、ブロックのおもちゃ。これまで、ただ子どもにブロックを与えているだけだった方や、遊ばせ方がよく分からなかった方も、子どもを自由にブロックで羽ばたかせてみてはいかがでしょうか?


(参考)
PRTIMES|東京六大学出身者600名に聞いた「レゴと知育の関連性に関する調査」 3月10日は東大合格発表!東大出身者の約70%がレゴ経験あり!“レゴ育”が東大入学への近道だった!?
ベネッセ教育情報サイト|指先を使うと頭がよくなるってホント!?
ベネッセ教育情報サイト|将来の可能性を広げよう! 子どもと楽しむ知育教育のススメ
レゴ®スクール|レゴ社の教育
日本の人事部|楽しく働き、成長することができる「プレイフル」な学び方・働き方とは?(前編)
中京学院大学リポジトリ|空間把握力の分析に基づく幼児教育の在り方- 数学の力に影響を及ぼす一要因、空間把握力-
財経新聞|幼少期の玩具が理系脳をつくる 米国の研究
ALL for ONE|遊びが空間認識力を高める♪
Wikipedia|レゴ
いこーよ|子どもの能力を育てるレゴ®ブロックの遊び方とは?
PRTIMES|「学研のニューブロック」が17種類80個入っているキットとブックがセットになった、親子で楽しめる幼児向けパズルが登場! ブロック遊びでお子さまのさまざまなチカラを育てます。
学研ステイフル|ニューブロックとは
LaQ|LaQとは
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