あたまを使う/教育を考える/サイエンス 2018.10.19

小学校1~3年生の算数「時間と時刻」につながる【レベル別 時計の教え方】

編集部
小学校1~3年生の算数「時間と時刻」につながる【レベル別 時計の教え方】

小学校へ入学する前に、子どもに覚えてほしいことのひとつに「時計が読めるようになること」があります。

時計を見て時刻がわかるようにしておくと、時間割で進んでいく学校生活にスムーズに馴染めます。また、子ども自身で起床時間や就寝時間を気にすることができて、生活リズムも整えやすくなります。

とはいえ、時計は短針と長針で数え方が異なり、繰り上がりも12進法と60進法が使われていることもあって、多くのお子さんが混乱してつまずきやすい「難関」です。

それに、小学校に入学してからも1年生~3年生までは、算数の時間に「時間と時刻」を学ぶことになりますので、時計に対する苦手意識は早めに解消しておきたいものですね。

今回は、親子で楽しく学べる「時計の教え方」について、理解度レベルに合わせてご紹介します

※2018年度からそれまで小学校2年生で学んでいた「時刻と時間」を1年生で学ぶように学習指導要領が変更されています。

レベル1:時計には、いくつ数字が書いてあるかな?

アナログ時計を使って、時計に書かれた数字はいくつまであるか数えます。

「12までの数字が時計には書いてあるね」と子どもと一緒に確認しましょう。1から10まで数えられるお子さんなら、どうして10ではなく12まで書かれているのか疑問を抱くかもしれません。

12進法を採用した理由を調べて教えてもいいですが、カレンダーを見せながら1年は12月まであるのと同じように、1日は12時まであることを教え時間の概念には12進法を使うことを噛み砕いて伝えてみましょう。

時計を教えるときに使うのは、手元で針を動かせるアナログ時計がわかりやすくおすすめです。自宅になければ、書店の児童書コーナーで時計が付録についている児童向け学習参考書を購入してもいいですし、インターネットで検索すれば学習教材用に時計のペーパークラフトも手に入れることができます。

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レベル2:時計には「子どもの針」と「大人の針」があるよ!

次に、時計の針には短針と長針があることを一緒に確かめましょう

園に通っているお子さんなら、『とけいのうた』の歌詞から、子どもの針と大人の針があることを知っているかもしれません。歌を使って確認してもいいですね。2種類の針を覚えたら、次は時刻を教えていきます。

レベル3:時刻を教えるときは「○時ちょうど」から始める

いきなり「今、何時?」「○時○分」を答えられるようになるのは難しいもの。まずは、午前と午後の12時間制で「○時ちょうど」の正時(しょうじ)から教えます。

覚えやすいのは、お子さんの生活に関連する時刻です。

  • 園へ通うために家を出る8時
  • お昼ごはんを食べる12時
  • おやつの3時
  • 公園で遊んで家へ帰る5時
  • 晩ごはんを食べる6時
  • 寝る8時

 
このような時刻から始めてみてください。そして、手元で時計の針を動かして教えるのと合わせて、日常生活の中でも「そろそろ園に行く時間かな? 今、時計は何時?」などと問いかけを多くするようにしましょう。

自宅にアナログ時計を掛けていない方もいると思いますが、時計の学習に使うため新しく購入を考えている場合は、以下のタイプを選びましょう。

  • 1から12までの数字が書かれているもの
  • 数字の大きさは均等で見やすいもの
  • メモリが分刻みで表示されているもの

 
スタイリッシュに12だけ数字であとは記号になっているものやデザインに凝って数字がデフォルメされているものは、子どもにとって瞬時に見分けるのは難しいようです。可能であれば、分刻みのメモリ横に1から60まで小さく数字を書いておくと、わかりやすさが格段にアップしますよ。

【レベル別 時計の教え方】2

レベル4:「〇時」を覚えたら、次は長針の「30分=半」

短針の「○時」を覚えたら、次は長針の動きを読めるようにします。まずは、「6」のときに来たら、「30分」または「半」だということを教えましょう。

子ども向けのテレビ番組は30分単位で制作されているものも多いです。好きなテレビ番組が始まる時間を調べて、その時間を手元の時計で針を動かして確かめると楽しみながら身につけられます。このとき、「30分」と「半」は同じ意味だということも伝えます

30分がわかるようになったら、15分、45分の順に覚えていきます。30分は1時間の半分15分は30分の半分という関連性が、だんだんわかってきますよ。

レベル5:時刻と時間を日常生活で意識させるコミュニケーションを

短針と長針の関係がわかり、時刻が読めるようになったら、日常生活で時刻と時間を意識させるような会話を心がけます。例えば、子どもに時計係をお願いするのも良い方法です。

「3時になったらおやつの時間だから教えてね」と促すことで、お子さんが意識して時計を見るようになり、「3時になったよ!」と教えてくれるかもしれません。

(引用元:東京ガス ウチコト|子供にどう教える?正しい時計の教え方

ワンランクアップさせる会話としておすすめするパターンは「時刻の逆算」です。何時になったら○○するので、○分前に○○してね、とミッションを与えます

「12時になったらご飯を食べるから、11時50分に手を洗って準備しよう」、「7時に見たいテレビ番組が始まるから5分前になったらテレビをつけよう」など、わざと細かい時間でお子さんへお願いしてみましょう。

(引用元:東京ガス ウチコト|子供にどう教える?正しい時計の教え方

○時になるまでに、あと○分と考える癖がつけば、自然に時刻(○時○分)と時間(○分間、○時間)の概念も身につくようになります。

実は、この「時刻と時間」という概念は、小学生1年生から3年生にかけて算数で学習するテーマで、多くの小学生がつまずきやすい「難関」でもあります。早いうちに時刻と時間の性質について理解できていることは、大きなアドバンテージになりますよ。

***
時計の読み方を覚えるのは難しいですが、日常生活とリンクさせると、子どもはスイスイ覚えるようになります。

時計を教えるために新しく時計を買うのであれば、お子さんと一緒に選んでみてはいかがでしょう。自分で選んだ時計は子どもにとって愛着が湧きますし、やる気アップにもつながりますよ。

(参考)
ベネッセ教育情報サイト|楽しく始めよう!「時計の勉強」上手な教え方
東京ガス ウチコト|子供にどう教える?正しい時計の教え方
立石美津子 著(2014),『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』,日本実業出版社.
ベネッセ教育情報サイト|小学生の保護者必見! 算数の「時刻と時間」ではここにつまずきやすい【前編】