学校の宿題や塾、習い事などで忙しい小学生。自学自習の時間を確保しづらいという子も少なくありません。親としても、「睡眠はしっかりとらせたい」「家族のコミュニケーション時間は削りたくない」と考えると、どう指導していいか迷うところ。
しかし、成績のよい子たちは、しっかり時間を確保して効率よく勉強しています。それも、睡眠や食事の時間を削っているわけではないようです。では、いったいいつ勉強すればいいのでしょうか。今回は、勉強したことが身につきやすい「学習のゴールデンタイム」についてご紹介します。
成績のよい子は時間を上手に使っている
ベネッセ教育総合研究所が、中学生の成績上位層・下位層の勉強時間を調査した結果によると、21時過ぎに勉強する子が多いのは上位層・下位層も共通でした。しかし成績上位層は、夕方・早朝に勉強する比率が下位層に比べてやや高いよう。つまり、成績が良い中学生は、夜だけでなく朝や夕方の時間帯もうまく使って勉強しているのです。
宿題以外の勉強に注目すると、成績にかかわらずピークの時間帯は21時45分である。しかし、成績が上位の中学生には行為者率のピークが2回あり、17時15分~18時30分に宿題以外の勉強をしている比率が10%を超える。早朝4時、7時30分に家で勉強している比率も成績上位のほうがわずかに高い。
(引用元:ベネッセ教育総合研究所|放課後の生活時間調査-子どもたちの24時間)
さらに同調査では、「時間を無駄に使っていると感じるか」という問いを成績別に行なっています。これに対し、「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」と答えた成績上位層は41.2%、成績下位層は33.2%。成績がよい中学生のほうが、「時間を有効活用している」と考えている傾向にあると言えるでしょう。
朝は「考える」勉強
では、どの時間帯に勉強すると効果的なのでしょうか。じつは、どんな勉強にも適しているオールマイティーな時間帯というのはありません。「この勉強なら、この時間帯」「この時間帯なら、この勉強」というように、それぞれ相性があるのです。
脳科学者の茂木健一郎氏によると、朝の時間は、脳科学的に「ゴールデンタイム」と言えるそう。特に、算数の問題を解いたり、文章を書いたり、テキストを読んで知識を深めたりといった、創造性を発揮する勉強に適しているようです。
「私たちは日中の活動を通して、目や耳からさまざまな情報を得ています。その情報は大脳辺縁系の一部である海馬に集められ、短期記憶として一時的に保管されます。その後に、大脳皮質の側頭連合野に運ばれますが、この段階では記憶は蓄積されているだけです。
それが睡眠をとることで、記憶が整理され長期記憶へと変わります。すると朝の脳は前日の記憶がリセットされるため、新しい記憶を収納したり、創造性を発揮することに適した状態になります。この脳の仕組みが、朝の時間がゴールデンタイムだと言われる理由です」
(引用元:THE21オンライン|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方)
茂木氏いわく、朝は最も効率良く脳が動く時間なのだそう。頭を働かせなければならない勉強は、朝のうちに済ませたほうが良さそうですね。
夕方・夜は「暗記」がベスト
一方、夜の時間は暗記ものの勉強に最適です。特に、人の記憶は睡眠により定着するため、寝る直前の時間帯に勉強するのが最適と言えます。東京大学大学院薬学系研究科准教授の池谷裕二氏は、次のように述べています。
しかし就寝前の1~2時間というのは、記憶の質を高め、ひらめきを与える睡眠というバックアップ装置が付いた、きわめて学習効率が良い時間帯なのです。まさに、記憶のゴールデンタイムといえます。(中略)勉強ならやはり記憶を要する科目が向いていると思います。地理や歴史、生物、あるいは英単語などがおすすめです。
(引用元:プレジデントオンライン|「寝る前1時間」は勉強のゴールデンアワー)
暗記科目は、就寝1〜2時間前から勉強を始めると良いでしょう。
また、勉強したあとにはすぐに眠るとより効果的なのだとか。勉強後にスマートフォンなどをいじってしまうと、余計な情報が入ってきて、せっかく勉強した内容が定着しない恐れがあるのだそう。「スマートフォンは夕食前まで」とルールを決めたり、お子さんが勉強を始めたらリビングのテレビは消したりと、勉強を終えたあとのお子さんが誘惑にかられず眠れるようサポートしてあげましょう。
加えて、夕食前の時間帯も、暗記ものの勉強にぴったりです。これは、人間の本能によるものだと言われています。
人間はやはり動物なので、動物としての本能から脳の一日のリズムが出来上がっていると考えるのが自然です。
そう考えるならば、生きていくうえでの最重要課題は食料の確保です。
そのため、狩りなどで食料を確保するときに一番脳がよく働いてくれる状態にあることが必要だったはずです。生存本能というのはとても強いものなので、現代になっても脳の働きのリズムだけが残ったというわけです。
ということは、空腹になっている時間帯を中心に考えることによって脳がよく働く時間帯がわかるということです。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|脳が働く最強の時間帯は2つある)
夕食前・寝る前と時間を分けて暗記科目を学習すると、脳科学的に効率が良いようですね。
勉強以外の時間の使い方も大切
朝は考える勉強、夜は暗記ものと分けて勉強することで、効率良く学習できることがわかりました。加えて、より効果を高めるには、勉強以外の時間の使い方にも工夫が必要です。当然ですが、ずっと暗い部屋に引きこもって勉強ばかりするのは、お子さんの精神面においても勉強面においても良くありません。脳科学者の和田秀樹氏は、「1日最低30分は日の光に当たったほうがいい」と述べています。
和田氏は「光を浴びるのも、おすすめです。受験生は部屋にこもるケースが多いが、1日最低30分は日の光に当たった方がいい。そうするとうまくメラトニンが出て、睡眠の質が上がる。実は蛍光灯の光もいいんです。暗い部屋ではなく、リビングルームのような明るいところで勉強した方が効率的です」と語る。
(引用元:NIKKEI STYLE|入試1カ月前からは朝型学習に ダイエットは禁物)
朝と夜はしっかり勉強し、日中は思いっきり外で遊んで日光を浴びることが大切ですね。
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こうした生活リズムを定着させるには、「習慣化」が必要不可欠です。実際、成績のよい子の多くは、決まった時間に勉強したり遊んだりしています。まずは、親子で話し合い、「毎日、朝食前と夕食前の30分間勉強しよう」など、勉強や遊びの時間ルールを決めましょう。その際は、いきなり完璧を目指すのではなく、少しずつ習慣にしていくのがおすすめです。
時間を効率的に使うことは、成績アップだけでなく、将来的には仕事の効率化やプライベートの充実化にも役立ちます。今のうちから、親子一緒に最適な生活リズムを作ってみてはいかがでしょうか。
(参考)
ベネッセ教育総合研究所|放課後の生活時間調査-子どもたちの24時間
ベネッセ教育情報サイト|成績の良い子は夕方や早朝の時間を使うのが上手!
ベネッセ教育情報サイト|英単語の暗記が楽になる!ニガテな人向け脳科学暗記法
STUDY HACKER|勉強に使わないなんて損! 東大生が『夜寝る前の30分』を英単語学習にあてて感じた、驚きの効果。
STUDY HACKER|「眠いから無理」はもう卒業! 脳に最高な “朝型勉強” を続けるための3つのルール
THE21オンライン|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方
ダイヤモンド・オンライン|脳が働く最強の時間帯は2つある
NIKKEI STYLE|入試1カ月前からは朝型学習に ダイエットは禁物
All About|「朝勉強」のススメ~朝は勉強のゴールデンタイム~
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ダイヤモンド・オンライン|「暗記は寝る前」は、もはや当たりまえ。その後の行動が記憶の定着を左右する
プレジデントオンライン|「寝る前1時間」は勉強のゴールデンアワー