教育を考える 2018.10.21

遊んでいる子どもを叱るのはNG!? 「集中力」を作り出す、たった2つの方法とは

編集部
遊んでいる子どもを叱るのはNG!? 「集中力」を作り出す、たった2つの方法とは

宿題はなかなか手につかないし、始めてもすぐに飽きてしまうのに、ゲームをやっているときは声をかけても聞こえないほど夢中になって遊んでいる――というお子さまに頭を悩ませているというのはよくある話ですね。

夢中になって遊んでいるときの子どもの「集中力」は目を見張るものがあります。これを「遊んでばかりいないで、集中して勉強しなさい」と責めないで、学習時の集中力へつなげるための大切な基礎だと考えると、子どものポテンシャルに気づくことができます。

お子さまには、夢中で遊べるものがありますか?

あなたのお子さまには、時間を忘れて夢中になれるものがあるでしょうか。

  • ブロック遊びを飽きずにずっとやっている
  • キャラクターの絵を見ながら、細かい部分まで真似して描く
  • プラモデルを作っているときは静かにしている
  • アイロンビーズで好きな色を組み合わせて柄を作る
  • テレビゲームは声をかけなければ何時間でも続く
  • マンガ本のシリーズを何度も繰り返し読んでいる
  • 地図をひたすら眺めて国や国旗を覚えている
  • 図鑑に載っている恐竜を全部覚えることに夢中になっている

 
もしかすると、静かに集中して何をやっているのか子ども部屋の様子を見に行くと、壁や床にペンやクレヨンで落書きをしているところや、自分の髪の毛をハサミでチョキチョキ切っているところ(!)に出くわすかもしれません。

上記のような多くのケースは学校での勉強とは関連のないもので、大人の目から見れば、その時間と集中力を勉強へ向けてくれてもらえないものだろうかと思うものばかりと言ってもいいでしょう。

しかし、この遊びに向けられる「集中力」を上手に育てていくことで、学習時の集中力へつなげることができるのであれば、「いつまでそんなことしているの」「こんなことばかりしていないで……」と、口をついて出そうになる言葉も飲み込めるのではないでしょうか。

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子どもの集中力を育てるために、親がしてはいけない2つのこと

遊びに時間を忘れるほど没頭するのは、集中している証拠。このとき、親がしてはいけない注意すべきポイントが2つあります。

1. 子どもが夢中になって遊んでいるときはじっと見守る

『12歳までに「勉強ぐせ」をつけるお母さんの習慣』の著者であり、教育サポートや子育てセミナーを主催する楠本佳子さんは、以下のように話しています。

イタズラをしたり、夢中になって遊んでいる姿を見たら、注意したり、声をかけないで、頭を使っているのだと思って見守ってください。ここで声をかけると集中力がない子どもになってしまいます。

(引用元:ぎゅってWeb|一生モノの「集中力」は子どものときに

子どもがままごとをしているところへ、「ママも入れて」と声をかけて一緒に遊んでしまうと、夢中で遊んでいたそれまでとは明らかに違った遊び方になってしまうのだそう。

身体に危険が及ぶことや周りの人に迷惑をかけることでなければ、「集中力を養うためのトレーニング」「ここで身についた集中力は学習に生きてくる」と言い聞かせながら、話しかけるのをグッとこらえてみませんか。

2. 「遊んでばかりで、集中力がない」は禁句

夢中で遊んでいるのは「集中力」が途切れていないからで、決して集中力がないわけではありません。教育評論家の親野智可等さんは、子どもには楽しくて集中できることをたくさんやらせるようアドバイスしています。

実際に集中できる体験をすることが大事です。
そして、その集中しているときに「集中力があるね」と言ってあげてください。
そういう言葉をたくさん聞いていると、子どもは「自分は集中力があるんだ」と思えるようになります。
これがとても大切なことです。

(引用元:ベネッセ教育情報サイト|子どもに集中力をつけるには?[教えて!親野先生]

ここで、ついつい言ってしまいがちな「集中力があるね、それを勉強に生かせればいいんだけどね」というチクリと刺すような嫌味はNG。「遊びには集中力が出せるけれど、勉強には出せない」と子どもに思い込ませないことが大切です。

「集中力」を作り出す、たった2つの方法とは2

「集中力がある」と言い続けると、親自身の意識も変わる

子どもが夢中になって遊ぶのを見守り、思わず言いたくなる一言もグッと我慢して、「あなたには集中力がある」と子どもに伝えることが大切だというのは、実は親にとってもメリットがあります。

「ピグマリオン効果」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。アメリカの教育心理学者ローゼンタール氏が提唱した効果です。ローゼンタール氏が、学生たちへ「利口だ」と伝えたネズミと「動きが鈍い」伝えたネズミを使った迷路の実験を行なったところ、利口だと伝えられていたネズミのほうが良い結果を出しました。

これにより、学生たちがネズミのことを利口だと信じて世話をしたことで、ネズミの能力を引き上げたのではないかという仮説につながりました。この効果には異論もあるようですが、広く教育界において「ポジティブな期待のもとに育てられた子どもは、期待通りに成長する」と知られています

つまり、我が子のことを「あなたは集中力がある」と言い続けることで、子どもに自信をつけさせることができるうえ、親自身にも「うちの子は集中力がある」という認識が定着し、それが子どもの成長をさらに後押しする効果になり得るのです。

***
子どもに「集中力があるね」と言い続けて、どのくらいで効果が表れるのか知りたいところですが、残念ながらこれという目安はないようです。ピグマリオン効果を親子で上手に活用して、焦らずじっくり「集中力」を育てていく心構えをもつことが、一番の近道なのかもしれませんね。

(参考)
ぎゅってWeb|一生モノの「集中力」は子どものときに
ベネッセ教育情報サイト|子どもに集中力をつけるには?[教えて!親野先生]
AERA dot.|東大医学部トップの夫はゲーマー 「東大はゲームをしていても入れる」
gooヘルスケア|ピグマリオン効果 Pygmalion effects
こどもまなび☆ラボ|「練習しなさい」は逆効果。子どもに寄り添った “優しい気持ち” を伝えよう。