「うちの子は、ほかの子供より敏感かもしれない……」と親が感じるようであれば、お子さまはHSCかもしれません。
「HSCとは?」「HSCは遺伝なのか」「HSCが必ずもっている4つの面(DOES)」「子供がHSCだったときの関わり方」などについて詳しく説明しましょう。
HSCと呼ばれる子供とは
HSCとは、Highly Sensitive Child(ハイリー・センシティブ・チャイルド)の略で、「ひといちばい敏感な子ども」という概念です。HSCは、生まれつき非常に敏感な感覚や感受性をもっているため、刺激を受けやすく、些細なことが気になってしまいます。また、ひといちばい敏感な大人は、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)、略してHSPと呼ばれます。
このHSPという概念は、1996年に心理学者であるエレイン・アーロン博士によって明らかにされました。アーロン博士の研究によって、HSPでない人(非HSP)から「恥ずかしがり屋」「怖がり」「臆病」などと表現されやすいHSPの特徴は、HSP特有の「敏感すぎる気質」が原因であるということがわかったのです。
そしてアーロン博士は、2002年に『The Highly Sensitive Child』という、ひといちばい敏感な子どもの特徴や育て方について詳しく書いた本を出版しました。自身もHSPであり、HSCを育てる親でもあるアーロン博士は自著のなかで、「HSCの敏感さは、病気でもない、障害でもない、単に生まれもった気質によるもの」と言っています。そう――、HSCである子どもたちの敏感さは、病気でも障害でもないのです。
5人に1人の子供がHSC
HSCである子どもは、人種に関係なく、どの社会にも15~20%の割合で存在します。たとえば、1クラス30人であれば、クラス内に5、6人はHSCがいるということ。5人に1人がHSC――意外と多いと感じた方も多いのではないでしょうか。しかし社会は、約80%のHSCでない子どもたち(非HSC)向けになっています。ですから、児童精神科医の長沼睦雄先生が『子どもの敏感さに困ったら読む本』のなかで言うように、HSCにとっての日常生活は疲れることが多いのです。
ちなみに、HSC・HSPの70%は内向的ですが、30%は外向的なのだそう。この外向的なHSC・HSPは、HSS(High Sensation Seeking)と呼ばれ、「好奇心旺盛で新しいもの好き」「退屈さを嫌う」などの特徴をもつ、刺激を追い求めるタイプとされています。しかしHSC・HSP特有の敏感すぎる気質から、刺激を追求しつつも、その刺激に疲れてしまうとのこと。にぎやかな場所は好きだけど、楽しむ前にぐったりしてしまうような子供は、外向的なHSCであるHSSの可能性が高いかもしれません。
子供がHSC、原因は遺伝?
HSCの子供たちは、なぜひといちばい敏感なのでしょう。
どうやらHSC・HSPは、非HSC・HSPの人と比べて、脳内の神経が高ぶりやすい傾向にあるようです。HSPについての発信が多い、渡邊真也先生が統括院長を務める新宿ストレスクリニックHPでは、HSPの敏感さについて次のように説明されています。
ストレスを感じやすいHSPの人はもともとストレスを処理する「扁桃体」が活発で、不安や恐怖を感じ取りやすいのです。さらに、激しい感情などが起こったときに分泌される「ノルアドレナリン」や、俗にストレスホルモンとも呼ばれる「コルチゾール」も非HSPの人に比べて分泌されやすいため、さまざまなことを警戒し敏感に反応してしまいます。
(引用元:新宿ストレスクリニック|HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは?~HSPはうつ病になりやすい!?~)
HSC・HSPの脳は、不安や恐怖を感じ取りやすいのですね。そして前述したように、HSCの敏感さは生まれもった気質。ということは、HSCは遺伝なのでしょうか?
HSC・HSPの原因が遺伝子なのか否かという研究はまだ続いているようで、結論は出ていません。ですが、アーロン博士が自著のなかで「ひといちばい敏感であるという性質は『主に』遺伝子で決まる」と書いているように、遺伝子要因は強いけれど、遺伝子以外の要因もあると考えられています。前出の長沼先生も同じ意見のようで、「HSCやHSPは遺伝的なもの」と肯定しつつも、「HSPではない親からHSCの子どもが生まれることについて、遺伝ですべてを説明することは難しい」と主張しています。
HSCの子供が必ずもっている「4つの面(DOES)」
次に、HSCの子供たちの特性を見てみましょう。アーロン博士は、2015年に発売された『ひといちばい敏感な子』の巻末「――日本語版の発刊に際して――」のなかで、HSCが必ずもつ「4つの面(DOES)」について説明しています。HSCであれば、以下に挙げる「4つの面(DOES)」すべてが当てはまるのだそう。逆に、ひとつでも当てはまらないならHSCではありませんとのこと。
【O】(being easily Overstimulated):過剰に刺激を受けやすい
【E】(being both Emotionally reactive generally and having high Empathy in particular):全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い
【S】(being aware of Subtle Stimuli):ささいな刺激を察知する
D:深く処理する
HSCは、物事や情報を深く受け取って考えます。それゆえ、「行動を起こすのに時間がかかる」場合も多いかもしれません。お子さまに次のような傾向はありませんか。
- 物事の本質をつくような深い質問をする
- 聞きかじりの言葉を使って大人びたことを言う
- ユーモアのセンスがある
- いろいろな可能性を考えてしまうので、なかなか決断ができない
- じっくり観察してから考えるので、行動するのに時間が必要
優柔不断などと言われがちなHSCですが、「HSC=優柔不断」ではありません。HSCが判断を迷っているときは、「この人は〇〇と言っているけど、あまり嬉しそうな顔をしていないから、もしかしたら△△なのではないか?」など、情報を「深く処理している最中」なのです。
O:過剰に刺激を受けやすい
HSCは、自分のまわりで起こっているすべてのことに気がつき、深く考えます。ですから、HSCは過剰に刺激を受けやすく、非HSCに比べて疲れやストレスを感じやすい。たとえば、以下のような反応・行動です。
- 楽しいはずのイベントや旅行なのに、ぐずったり、ぐったりしたりする
- 興奮することがあった日の夜は眠れない
- 大きな音が苦手
- 痛みに弱い
- 暑さや寒さ、サイズの合わない靴、濡れている・チクチクする服に文句を言う
- サプライズが苦手
- 人に見られる・実力を試される場面などで普段の力を発揮できない
E:全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い
HSCは、自分の感情にも敏感ですが、自分だけでなく他者の感情に対しても敏感です。たとえば、掃除機をかけながらキョロキョロしている母親の様子を見て、「はい、メガネだよ」と探しているものを持ってくるといった行動。HSCには、人の様子を観察し、その人がなにを求めているのかを察する力があるのです。
しかし一方で、人の心を読むことに長けているがゆえ、他者の悲しみや不安などの感情にも強く共感してしまいます。そのため、家族や友だちだけでなく、初めて会った人や動物のストレスまでも感じ取ってしまうのです。以下のようなことはありませんか?
- 親は妹を叱っているのに、なぜか隣にいる兄のほうが泣き出してしまう
- ペットの死から数ヶ月たつのに、まだ落ち込んだ状態が続いている
- 動物の気持ちに共感してしまい、「牛がステーキになる」などの事実にショックを受ける
S:些細な刺激を察知する
HSCは、小さな物音や、かすかなにおい、わずかな味の違いなど、些細な刺激や変化によく気がつきます。思考や感情のレベルが高いため、非HSS・HSPが気がつかないほどの刺激や変化に敏感に反応するのです。たとえば、次のようなことでしょうか。
- 肌触りが違うからか、お気に入りのバスタオルしか使わない
- 店内や乗り物のにおいにものすごく敏感
- 夫婦喧嘩になるかならないかのときに、悲しそうな顔をしたり泣き出したりする
- いつも食べ慣れているおかずの味を少し変えただけで「おいしくない」と言う
- 遠くの鳥の声や飛行機のエンジン音が聞こえる
- 「前髪を切った」「小物を移動させた」など、人や場所の小さな変化によく気がつく
- 他者の視線やあざ笑い、お世辞などにすぐ気がつく
しかし、決して悪いことばかりではありません。アーロン博士によると、HSCである子供は、「深く考える」という特性から、芸術鑑賞の際などに大人が驚くような洞察力を発揮するそうですよ!
HSC診断テストでチェックしてみよう
HSCである子供に見られる特性、「D:深く処理する」「O:過剰に刺激を受けやすい」「E:全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い」「S:ささいな刺激を察知する」の説明を読んでも、「ちょっとまだうちの子がHSCなのか判断がつかない……」という方は多いかもしれません。
そんな方は、アーロン博士がつくったセルフテスト「Is Your Child Highly Sensitive?」(※チェックリスト・得点評価は日本語です)、または、こどもまなび☆ラボのHSC記事『【23の質問で診断】うちの子ってHSC(ひといちばい敏感な子)? 対処法も教えます』をやってみてください。「親から見た子ども」についての23の質問を読んで、「当てはまる(どちらかというと当てはまる)」項目のみにチェックを入れます。13個以上の質問に当てはまった場合、あなたのお子さまはHSCでしょう。また、当てはまった質問が1~2つしかなかったとしても、その度合いが極端に強いようであれば、お子さまはHSCの可能性があります。
次項では、HSCの子供が成長する過程(0歳~12歳)で親が気をつけることについて見てみましょう。
HSCの子育てアドバイス【乳児期・幼児期・学童期】
お子さまがHSCの親御さん、もしくは、「HSCかどうか判断が難しいけれど、ほかの子供と比べて敏感すぎる……」と感じている方に向けて、HSCの年齢別アドバイスを紹介します。
【乳児期(0歳~1歳)】
アーロン博士によると、敏感な乳児は過剰な刺激が原因で泣き続けることがあるそうです。生後4ヶ月以上の乳児(*)で、「一度に2時間以上泣く」「1日に3時間以上泣く日が週に3日ある」ときは、赤ちゃんのまわりにある「刺激」を減らしてみましょう。たとえば、以下のようなことです。
- 無理に喜ばせようとしたり、大きな声であやしたりしない
- おもちゃ、写真、スマートフォンなどをベッドまわりから排除する
- 夜だけでなく、日中の音も抑える
- お風呂や食事は、できるだけ毎日同じ時間に行なう
- 知り合いの訪問はなるべく避ける
- 綿100%の柔らかい服を選ぶ
- 1歳になるまでは引っ越しや旅行を避ける
- 親は子供の近くで興奮しないようにする
また、生後6ヶ月頃のHSCは、非HSCに比べて「眠りにくい」「すぐに目を覚ます」といったことが多いでしょう。その場合も、刺激を減らすことを意識してみてください。
*…栄養状態も体格もよく、病気ではない乳児
【幼児期(1歳~5歳)】
HSCのストレスの原因は、過剰な刺激です。そして幼児期のHSCにとって最大の刺激は「変化」なのだそう。弟や妹ができたとき、食べたことのない料理を出されたとき、日々の習慣が変更されたとき、新しいことに挑戦するとき、突然の計画変更などです。
HSCが変化に対応するときは、脳内で刺激を処理する必要があります。AがBに変わるならば、Aに合わせてつくり上げてきた脳の処理プロセスを、今度はBに合わせてつくり上げなければなりません。親が考える以上に、HSCにとって変化への適応は大変なのです。ですから、HSCである子供には、次のような「変化を負担に感じさせない工夫」をするとよいでしょう。
- 「あと5分だよ」「あと1分だよ」と約束の時間を前もって知らせる。時間になったら、「ご飯の時間だよ」と声をかける
- 初めての食べ物を出すときは、「これもお母さん(お父さん)がつくったご飯だよ」「このソースは、昨日食べたトマトからつくったよ」など、変わっていない点を伝える
- 「朝ごはんを食べたら、歯磨きをして、幼稚園に行こうね」と、これからやることを伝え、子供に心の準備をさせる
- 「お母さん(お父さん)に手伝ってもらいたい? それとも自分で着替えたい?」と、子供に選ばせて、次のステップへの不安を取り除く
- 「パーティーではこんなことをするよ」など、子供がびっくりしないように、これから起こることについて話をしておく
HSCの敏感さを理解していない親は、変化に戸惑う子供に対して「このくらい大丈夫でしょう!」と責めることが多いそうです。しかし長沼先生は、「HSCの子供を頭ごなしに叱ったり、イライラをぶつけたり、バカにしたり、あざ笑ったりしないで」と訴えます。親が子供の感じ方や考え方をできる限り尊重することで、「お母さん(お父さん)にわかってもらえた」と子供は安心するのです。
【学童期(5歳~12歳)】
アーロン博士は、HSCの学童期について「独特の才能を開花させる時期」だと言います。どうやら、HSCのなかには、音楽、絵画、数学、自然科学などのさまざまな分野で、すばらしい才能を発揮する子供がいるらしいのです。
また、ベストセラーとなった『「繊細さん」の本』著者で、HSP専門カウンセラーの武田友紀さんも、テレビ番組『世界一受けたい授業』のなかで、HSPは想像力が豊かだと話しています。毎日の生活でクタクタにならないように、親が気を配ってあげてください。そうすれば、HSCの好奇心や創造性をめいっぱい伸ばすことができるでしょう。
十分な睡眠時間をとらせる
HSCにとって、睡眠時間はダウンタイムです。ダウンタイムがとれないと、気分が落ち込んでしまいます。睡眠の専門家である成田奈緒子先生(文教大学教育学部教授)の調査によると、23時以降に就寝する小学生は「イライラすることが多い」「自分なんていないほうがいいと思う」と答える子が多かったそう。非HSCの子供でさえ、心の不調を訴えるのです。子供が慢性的な睡眠不足にならないよう、毎日十分な睡眠時間を確保してあげてください。できれば21時にはベッドに入れるといいですね。もし子供が疲れているなと感じたら、学校を休ませてゆっくり寝かせてもよいでしょう。
連休や長期休みは「いつも決まった場所」で過ごす
連休や長期休みには、いつも決まった場所に行くなどの習慣的な過ごし方がおすすめです。HSCにとって刺激の強いイベントや遠出ですが、習慣にすることで刺激を抑えることができ、休日を楽しめるようになります。また、年末年始やお盆などにありがちな「突然の来客」や「多すぎるお客さん」は、HSCの負担になることが多いようです。挨拶ができればそれだけでOK。無理に大人の会話に引き込んだり、愛想よく話すことを求めたりしないように気をつけてください。
子供が熱中できる習い事を探す
長沼先生は、子供が「やりたい」と言った習い事はできるだけ挑戦させるべきだと話します。著書『子どもの敏感さに困ったら読む本』によると、音に敏感なHSCの子供がピアノレッスンを始めてみたら、どんどん上達したそう。また、運動系の習い事では、単純な動きを繰り返し練習することで「できた」という感覚を知り、自分の運動能力に自信をもてるようになります。HSCは熱中できるものを見つけると心が安定するので、必ず “子供が希望する習い事” をやらせてあげてください。
HSCの子供の敏感さは長所になる!
敏感すぎるという面だけ見ると、ネガティブなイメージが強いHSCの子供たちですが、最近の研究では、ポジティブな側面も多いことがわかっています。人間発達学が専門のジェイ・ベルスキー氏(カリフォルニア大学デービス校教授)は、HSCの敏感さについて、「良質の子育てを受けるなど、よい環境に置かれた場合には、ほかの子よりもプラスに作用します」と主張。
HSCは非HSCよりも感受性が強いため、同じような幸せな環境にいた場合、非HSCよりも幸せを感じることができるのです。また、物事を深く考えるので、勉強に集中できる環境であれば、成績もよいのだそう。ほかにも以下のようなポジティブな面がありますよ。
- 幸せを感じやすい
- 病気や怪我が少ない
- 成績がよい
- モラルのある行動ができる
- 他者への気づかいができる
では、「良質な子育て」とはどのような子育てなのでしょう。アーロン博士は、HSCが幸せな人生を送るためには、自己肯定感を育むことが大切だと言っています。HSCの子供は、「叱られたときに自分はダメな人間だと感じる」「間違いをひどく後悔して自分を戒める」「友だちに言われたことを深く考える」といったことが多いでしょう。ですから、自己肯定感という心の土台がないと、悪いことがあったときに、その影響をまともに受けて傷ついてしまうのです。
自己肯定感とは、「自分は自分であっていい」という揺るぎない気持ちであり、「ありのままの自分に価値がある」と考えられること。HSCである子供の自己肯定感を高めるには、次のようなアプローチがよいでしょう。
敏感さは「すばらしいことだ!」と伝える
HSCの敏感さについて、「とてもすばらしいことなんだよ」と折に触れて教えてあげましょう。もちろん、親自身が本当に「わが子の資質はすばらしいのだ」と心の底から感じることが大切です。もしあなたが少しでも「うちの子は敏感すぎて将来が心配」などと思っていたら、その不安はHSCである子供に伝わってしまいます。ありのままのわが子を誇りに思うことが重要です。「優しい」「深く考える力がある」など、敏感さのメリットを伝えてもよいでしょう。
HSCの感じ方や気持ちを受け止める
子供の感じ方や気持ち、意見を尊重しましょう。たとえば、「このお店のなか、変なにおいがする」という感覚は、親には理解できないかもしれません。でも、頭ごなしの否定はしないようにしましょう。「そうなんだね。買い物を済ませたらすぐに帰ろうね」と、気持ちを肯定することで、子供は「この感覚は間違いではなかった」と安心することができます。この安心感が、「自分は自分でいいんだ!」という気持ちにつながるのです。親が受け止めてあげることで、HSCの子供の自己肯定感はアップしますよ。
HSCの子供について書かれた本、おすすめ3冊
「もっと、HSCの子供について情報が欲しい」という方におすすめの3冊をご紹介します。
『ひといちばい敏感な子』
「HSCとは?」という概念から、年齢別のアドバイスまで詳しく書かれているので、この1冊でHSCについての基本的なことが理解できます。「もしかしてうちの子ってHSC?」と感じたら、まずこの本を購入することをおすすめします。子供の敏感さをよい方向に導いていくためのアドバイスが満載です。
『子どもの敏感さに困ったら読む本』
著者は、日本では数少ないHSPの臨床医・長沼睦雄先生。「困ったときの子育てアドバイス」や「こじらせないために親がすべきこと」など、子どもの敏感さに困っている親に向けた助言にページが多く割かれています。神経発達症との違いなどについても詳しく書かれているので、さまざまな不安を抱えた親御さんにおすすめです。
『HSCの子育てハッピーアドバイス』
著者の明橋大二先生は、『ひといちばい敏感な子』の訳者でもあります。敏感すぎるHSCの子供をもつ親御さんがハッピーになるアドバイスばかりが詰まっているので、読み終えるころには、「私、この子の親でよかった!」と感じるはずですよ。子育てに息苦しさを感じている親御さんにこそ読んでほしい1冊。
HSCの子供のSOSサインを見逃さないために……
HSCは、非HSCの子供に比べて、とても生きづらい世界を生きています。親であれば、そのストレスを少しでも軽減してあげたいと思いますよね。
そこで、子供のストレスケアについてもっと知りたいという方や、「子供のことを考えていたら、自分もストレスを感じるようになってしまった……」などの悩みを抱える親御さんに「青少年ケアストレスカウンセラー講座」をご紹介しましょう。以下のように、子供のストレスだけでなく、親のストレスについても学ぶことができます。
- 青少年とストレスについて
- ストレスとうまく付き合うための対処法
- ストレス解消法
- コミュニケーションや自己表現の仕方
- 育児ノイローゼや虐待について
- 引きこもりなどのメンタル疾患
ほかにも、子供のSOSサインを見逃さないためのポイントや、困っている子供をサポートする技法などが身につきます。自宅学習できるので、時間に縛られることなく「ストレスケア」について学ぶことが可能です。ストレスケアを知ることで、HSCの子供だけでなく、親御さん自身の心も軽くなるはずですよ。
また、子どもとのコミュニケーションについて以下のように考えている方であれば、ヒューマンアカデミーの「心理カウンセラー講座」をおすすめします。
- 子どもの悩みを一緒に解決したい
- 子どもともっと上手にコミュニケーションをとりたい
- 自分の感情をコントロールしたい
たとえば、「みんなが私のことを嫌いって言った」というお子さまの悩みを解決する場合。親が適切な質問をすることで、「じつは、ひとりの子の言葉が記憶に残っていただけ」と判明することもあるそうです。
心理学者であるアーロン博士によると、親自身が感情をコントロールできないと、HSCの自己コントロール力は下がってしまうとのこと。心理学は、子どもの心だけでなく、自分自身の心までも知ることができる学問です。デジタルパンフレットで詳細を確認してみてくださいね。心理学を学ぶことで、HSCである子供とのコミュニケーションが、楽しい時間に変わるはずですよ。
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「HSC」や「ひといちばい敏感な子ども」という言葉を知る前は、筆者自身、敏感すぎるわが子を少し面倒だと感じることが多々ありました。食器棚から出したコップに「食器棚のにおい」を感じたり、スーパーで売っているカット済み野菜を食べたときに「変な味がする」と言ったり――。しかし、執筆を通して、HSCの感じ方や考え方を理解することができました。
アーロン博士は著書の最後に、「慎重に考え、深く感じ、些細なことに気がつき、最終的には対局を見ることができる人材」であるHSCは、いま、社会で必要とされていると言っています。HSCの子供たちが、敏感さを「強み」にすることができますように――。
(参考)
エレイン・N・アーロン著 明橋大二訳(2015),『ひといちばい敏感な子』, 1万年堂出版.
長沼睦雄(2017),『子どもの敏感さに困ったら読む本』, 誠文堂新光社.
The Highly Sensitive Person|Is Your Child Highly Sensitive?
HSS型HSPの才能を生かす生き方を実現する「ブレーん塾」|好奇心旺盛なのに傷つきやすい。複雑な特性を持て余す才能豊かなHSS型HSPたち
ダイヤモンドオンライン|コロナで「生きにくい」が加速、「HSP」とはどんな人たちか
新宿ストレスクリニック|HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは?~HSPはうつ病になりやすい!?~
日本テレビ|5人に1人?「繊細」すぎて疲れてしまうHSPって何?
King’s College London|Vantage Sensitivity: Individual Differences in Response to Positive Experiences
お茶の水女子大学|繊細な子どもの情緒的発達は良い学校環境から良い影響を受けやすい ~発達における脆弱性を可塑性として捉え解析~
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|自己肯定感も勉強への姿勢も“熱中体験”の先で生まれる