皆さんは英語の「慣用表現」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
イディオム、熟語、成句、句動詞、定型表現、ことわざなどいろいろな言い方がありますが、これらはすべて慣用表現です。また、英会話の勉強では必ず出てくる「依頼する」や「提案する」などの「機能表現」も、慣用表現の一種です。
適当に英語の慣用表現をリストしてみましょう。
- generally speaking(一般的にいうと)
- look up to…(…を尊敬する)
- Give me a break.(いいかげんにして)
- How about…?(…はどうですか)
- had better…(…したほうがよい)
このように、慣用表現には多種多様な表現が含まれます。
せっかく単語帳で覚えたのに、うまく使えない?
皆さんはこうした慣用表現を、今までどのようにして学習してきたでしょうか。ご自身のお子さんには、どのように学習してほしいですか?
慣用表現の学習方法について、大学生に聞いてみると、主としてこの2つが挙げられました。
- 熟語帳を覚える
- 教科書に出てきた熟語を覚える
さらに「熟語をうまく使うことができるか」と尋ねたところ、残念ながら
という回答が圧倒的に多くみられました。
そして「英語学習の中で、慣用表現はどれぐらい大切と思うか」という質問には、
という回答が目立ちました。
英語力アップに欠かせない「慣用表現力」
私たちは、日々の会話で、その都度、単語と文法を使って、自由に表現を作りだしています。これを「自由表現」といいます。
しかし、どの言語にも、数多くの「慣用表現」があります。デンマークの著名な言語学者、イエスペルセンは、こう述べています。
私も、この考え方に賛成です。英語力を高めるためには、自由表現を作るための文法力と単語力と同様に、慣用表現力にも注目する必要があると考えています。
コツは「ネットワーク化」
慣用表現を上手に使って自分の思いを表現する力、これが「慣用表現力」です。慣用表現力があれば、言いたいことを最も的確に表現することができます。
例えば、謝罪する際に、日本語では「どうもすみません」と言いますね。英語だと “I’m sorry.” と言うでしょう。どちらも、謝罪の気持ちを端的に示す慣用表現です。
大切なのは、慣用表現をバラバラに暗記するのではなく、関連づけて「ネットワーク」として学ぶこと。
ネットワークのように整理して学ぶことができれば、慣用表現を自分自身の英語のレパートリーとして加え、あなたの英語力の一部にすることができるでしょう。
「驚き」を表す慣用表現
今回は、第1弾として「驚き」を表すための慣用表現を取り上げます。「驚き」と一言で言っても、このようにたくさんの種類がありますね。
- うれしい驚き
- 悲しい驚き
- 信じられない驚き
- 偶然の出来事に対する驚き
慣用表現を自分のものにするためには、慣用表現のネットワーク化が重要だと先ほどお話ししました。でも、どのようにネットワーク化すればいいのでしょうか?
「驚き」を表す慣用表現の場合、ネットワークを作成する際の基準はタイプ分けです。以下、便利な表現を6つのタイプ別にまとめてご紹介しましょう。
「びっくり!」を表現するための6つのネットワーク
1. 間投詞を使う
驚いた時、つい反射的に「えっ?」と言ってしまう人も多いのではないでしょうか。「えっ?」「わあ!」のような、喜怒哀楽の感情を直接表した語を「間投詞」と言います。英語でもたくさんの間投詞がありますよ。
- Wow!(うわー!)
- What!(何!)
- Holy cow!(何てこった!)
2. 驚いたことを言葉で表現する
驚いたことを「ああ、びっくりした!」と言語で表現することもありますね。
- What a surprise!(びっくりした!)
- That’s amazing!(それは驚きだ!)
- Unbelievable!(信じられない!)
3. 本当かと問う
びっくりするようなことを耳にすると、つい真偽を確かめたくなるものです。
- Really?(本当?)
- That can’t be true.(まさか!)
- Are you serious?(マジ?)
4. 偶然のことに驚く
全く予期しないところで旧友に遭遇するなど、時には偶然の出会いに驚くこともあるでしょう。
- What a coincidence!(偶然だね!)
- Wow, it’s a small world.(わっ、世の中って狭いね)
5. 相手に驚いたかと聞く
相手にびっくりするようなニュースを伝えた上で「ねえねえ、驚いた?」と尋ねることもありますね。
- Isn’t that a surprise?(びっくりだよね?)
- Can you believe it?(信じられる?)
6. 驚きを事後的に描写する
びっくりして印象に残ったことは、なかなか忘れないもの。後から回想して「あれは~のような驚きだった」と描写することもあるでしょう。
- do a double take(驚いて自分の目を疑う)
- jump out of one’s skin(死ぬほど驚く)
目を疑うほど驚くときに「2度見する」ことがありますが、英語では、“do a double take” という言い方があります。この “take” は名詞で「撮影のテイク」に近い意味合いだと思われます。「2度撮りをする」ことから「自分の目を疑う」という意味になるのでしょう。
また、“jump out of one’s skin” は「皮膚から飛び出す」というイメージで、「死ぬほど驚く」に近い表現です。
状況を思い描いて、感情を込めて表現する練習を
これらの「驚きの表現」をうまく使うには、見たり、聞いたりしたことに対して、素早く反応することが肝心です。つまり、瞬発力が必要なのです。
一見簡単そうな表現も、タイミングよく使おうと思えば難しいもの。普段から、状況の中に身を置き、感情を込めて表現する訓練をしておく必要があります。
例えば「結婚なんてありえないと思っていた共通の友人が、いよいよ結婚することになった」という状況で交わす会話文をご紹介します。このやりとりを参考に、音読練習してみましょう。
フレッド、結婚することになったよ。
B: Wow! Really? Are you sure?
何! 本当? 確かなの?
A: Yeah, I heard it from his father.
確かだよ。フレッドのお父さんから聞いたんだ。
ポイントは、ただ音読するのではなく、驚きの気持ちを乗せながら読むこと。状況を頭に思い描いて、気持ちを込めて、登場人物になりきって練習してみてください。
感情を込めて練習するには、一人では味気ないもの。練習相手がいるといいですね。親子で交互に音読してみて、どちらがより感情を込めて話せているかを競ってもいいでしょう。
日本語でも、日常生活の中で驚くようなことがあるときは、自然と表現に感情がこもるもの。英語ではさらに、少しオーバーなくらいに感情を込めて、表現する練習をしておくといいですね。