芸術にふれる/アート 2019.9.16

五感で描くスケッチ「風を描いてみよう♪」――子どもの想像力ってすごい!

後藤和人
五感で描くスケッチ「風を描いてみよう♪」――子どもの想像力ってすごい!

お絵かきは家の中でするもの? イスに座って、テーブルの上でするもの? いいえ、紙と鉛筆さえあれば、お絵かきはどんな場所でもできますよ!

今回は、屋外でのお絵かき「スケッチ」をご紹介しましょう。

テーマは「風」。五感で描くスケッチがおすすめ♪

暖かい日差しや風を感じたり、隅っこに咲いている小さなお花や虫たちを発見する――。お部屋の中でじっくりお絵かきするのもよいですが、たまにはいつもと違った雰囲気を味わうために、外に出てお絵かきをするのも、子どもにとっては楽しい経験になります

とはいえ、景色や人物を描写する「スケッチ」、なんだか難しそうだと思っていませんか? 親にとっても子どもにとっても、最初の一歩がふみ出しやすいように、あれやこれやと難しく考えないような、楽しくスケッチできるテーマを設定してみるといいですよ。

たとえば、風を描いてみよう」「光を描いてみようなどの抽象的なテーマは、グルグル描きや、何を描いたかわからなくても、子どもたちが五感で感じたものが表現されていれば、すてきな制作になるでしょう。また、お外でみつけた大発見を描いてみよう!のようなゲーム性のあるテーマは、子どもの好奇心や観察力を刺激します。

見た風景をそのままスケッチしたい場合は、空間認識力が十分に発達してきた小学校3年生くらいからがいいでしょうか。個人差はありますが、「目の前にブランコがあって、その向こうにお家がたくさんあって、さらにその向こうに山が見える」、そんな重なり合った景色を頭で理解できるようになってきます。

このように、紙の上で空間を描写することが可能になってくると、子ども自身も楽しめますし、大人と同じようなスケッチに挑戦できますよ。

五感で描くスケッチ「風を描いてみよう♪」2

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鉛筆とスケッチブックがあれば十分!

スケッチは室内で描くときと違い、何時間も描き続けるのは難しいです。暑い夏や寒い冬など、季節によっては長時間、外にいること自体が難しい時期もあります。ですので、あれもこれもたくさん道具を持っていくより、少ない道具で出かけるのが一番でしょう。

一番シンプルなのは「鉛筆」と「スケッチブック」。じっくり描いてみたいときは、「画版」や「固形水彩絵の具」を用意してもいいと思います。

画板は大きな下敷きの役割をしてくれますし、首から吊るすと安定するので描きやすくなります。プラスチックの板、ハードカバーの本、厚めの段ボールなどに、紐をつけるだけで、あっという間に画板ができますよ。また、紙をクリップで止めると絵が描きやすいです。

五感で描くスケッチ「風を描いてみよう♪」3

幼児や小学校低学年で抽象的なテーマを設定した場合は、「色」も重要な表現要素になります。固形水彩絵の具は、絵の具が固まった状態でセットされている水彩絵の具で、色鉛筆よりも比較的扱いやすい道具です。

何を描く? 描写にこだわる? 色にこだわる?

風景描写を上手に描きたいときは鉛筆だけでいいと思います。色への意識を排除することで、建物や木々のフォルムなど風景描写に集中できるでしょう。鉛筆でのスケッチは細かい描写がしやすいので、複雑な形の遊具や建物、動いている動物も描きやすいでしょう。

五感で描くスケッチ「風を描いてみよう♪」4

「色」にこだわりたい場合は、色鉛筆や固形水彩絵の具を準備します。本物の葉っぱの緑と絵の具の緑が違うように、自分がイメージする色を使うために「色混ぜ」は必要不可欠です。色鉛筆で色を重ねたり、絵の具で色混ぜをして色への探求心を磨くのもいいですね。

そして、スケッチはじっくり落ち着いて描きたいですね。できるだけ動かない物や風景を選ぶといいと思います。長くても30分くらいは描いていられる場所を選びましょう。ほかの人の邪魔になるような、人通りが多い場所や車がたくさん通る道の近くは、避けたほうが賢明です。

道具やスケッチの場所、題材選びについてまとめてみましたので、参考にしてくださいね。

<道具の準備>

  • いつでもどこでも描いてみたい・・・鉛筆、スケッチブック
  • お家のお庭でスケッチ・・・画版もしくは下敷きになるもの、画用紙、鉛筆、色鉛筆、または固形水彩絵の具(絵の具を使う場合はコップサイズの水バケツ)
  • お出かけ先でスケッチをしたい・・・画版もしくは下敷きになるもの、画用紙(はがきサイズ、最大でもA4サイズ程度がちょうどいいでしょう)、鉛筆、色鉛筆、または固形水彩絵の具(絵の具を使う場合はコップサイズの水バケツ)、必要に応じてビニールシート

<場所と題材選び>

  • 動物園・・・本物の動物はイメージよりも違った形をしていて新しい発見があります。動きの速い動物を狙うよりも、スケッチブックを片手に動きのゆっくりな動物を描くことをおすすめします。本人が好きな動物を選ぶと、描けたときの喜びも大きいものです。
  • 公園・・・公園には大きな木やたくさんの種類の草木があります。広い公園であれば安全に描くことができるでしょう。ベンチに座って周りの景色を描くなんて、とても素敵な経験だと思いませんか?

スケッチでの「困った!」に答えます

Q 親も一緒に描いたほうがいいのでしょうか?
A 子どものスケッチの場合、お外でのお絵かき自体がお子さまにとって楽しい経験になります。お子さまがお絵かきを楽しんでいるのであれば、親御さんは少し離れた場所で見守る程度で十分だと思います。もしお子さまから「一緒に描こう!」と誘われた場合は、ぜひ一緒に描いてみてくださいね。

Q 描くものが決まっても、なかなか描き出せません。
A 近所の公園などにお出かけする場合は、その日の外の様子を一緒にお話するのはいかがでしょうか。「今日は太陽が元気だね」「風が気持ちいいね」「あの木は大きいね」「どこかからカレーのにおいがしてきたね」。視覚だけでなく、五感で感じた会話のひとつひとつが、お子さまの感性を刺激して作品に活きてきます。もしその日に描けなかったとしても、また別の機会にスケッチを楽しむくらいの気持ちが◎ですよ。

Q 「どうやって描くの?」と聞かれたら?
A スケッチの途中で「○○はどうやって描くの?」と聞かれた場合は、一緒に描いてみてくださいね。とはいえ、大人だから……と上手に手本を描く必要はありません。難しくて描けない物(複雑な形のお花や小さい虫など)は「これは難しくて描けないなあ」と正直に伝え、余裕があれば挑戦してみるのはいかがでしょうか? 意外に、自分で描いたほうがうまく描けると思うと、子どもは自分でなんとかしようとしたりします。自分でも描けそうな物を選び直すなど、その後の行動を自分で考えて、決定できる力が育ちます

我が子には“絵の才能”がある!?

お子さまが見た物を上手に描けるようになると、親御さんにとっても嬉しいと思いますが、「見た物が描ける=絵の才能がある」ではないのです。

子どもの絵には2つのタイプがあります。見た物を描くことができる「視覚型タイプ」と、感じたもの、想像したものを描くことができる「非視覚型タイプ」です。どちらが良い、悪いではなく、どちらもすばらしい才能に繋がります。

「うちの子、何を描いているのかわからない」、「うちの子、スケッチに誘っても来てくれない」という場合は、もしかしたらその子に合った違う絵の描き方があるかもしれません。外でスケッチをしている子が紙の端っこをハサミで切リ始めた、という話を聞いた事があります。なんと、どうしても風を表現したかったのだそうです!

子どもの表現は、大人の想像をはるかに上回ります。ですから、大人の助言が子どもの表現に上限をつくってしまうこともあるのです。まずは子どもが何をしようとしているのか、それを見守ることが大切なのです。そして、子どもが「何をしたのか」を聞いてあげると、子どもの才能はあらゆる方向に伸びていくはずですよ。

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芸術による教育の会ホームページ
「芸術による教育の会」は、5つの事業と60年以上の実績をもとに
美術を通して、子どもたちの成長に寄り添います。

お家でビジュツ! 動画で学べる! 作品を掲載できる! どこでもアート!!
五感で描くスケッチ「風を描いてみよう♪」6

  • インターネット美術教室なので、自宅でレッスンが受けられます。必要な教材は発送します。

  • お子さまに合わせたカリキュラムを作成し、個性を引き出して伸ばします。

  • それぞれの成長段階や個性に合わせた技術指導を行います。

  • YouTubeの動画もあるよ。いろんな工作動画を見て下さい。