教育を考える 2019.4.20

“あきらめ癖”のある子は自己肯定感が低い!? やり抜く力を育てる3つの家庭習慣

編集部
“あきらめ癖”のある子は自己肯定感が低い!? やり抜く力を育てる3つの家庭習慣

成長するにつれて、子どもの個性は色濃く出てきます。長所も短所もその子の個性であり、良いところはどんどん伸ばしてあげたいですよね。一方で、短所になり得る点を早いうちから直してあげるのも、親としての大事な役目です。

親の声かけや対応、周囲の環境などは、子どもの成長に大きな影響を及ぼします。今回は、物事が続かない・すぐにあきらめてしまうお子さんを変えるヒントをお伝えしましょう。

「すぐにあきらめる子」は将来どうなる?

「もういいや」「つまらない」「飽きちゃった」「どうせ僕(私)にはできないよ」ーーこれらの言葉がよくお子さんの口から出てくるとお悩みではありませんか?

もしくは、お子さんの普段の様子を観察してみると、次のような傾向があるのではないでしょうか。

  • 遊びや勉強など、最初のうちはやる気満々で夢中になって取り組むが、すぐに飽きる。集中力が持続しない。
  • あれもこれもと興味の対象が多いわりに、どれにも執着しない。
  • 困ったことに直面しても、すぐに「まあいいか」と言って真剣に向き合おうとしない。

 
たとえまだ小さな子どもでも、少し気になるこれらの言動。しかしこのまま放っておくと、高学年以降の成長過程においてさまざまな悩みの種になりかねません。

勉強やスポーツでも、続けることでしか手に入らない結果があります。ちょっと壁にぶつかったくらいですぐにあきらめてしまうようでは、本人が望む成果は得られないでしょう。するとそのうち「自分は何をしてもダメなんだ」「結果が出ないのは自分の能力が低いせいだ」と、自己肯定感が低下していくのです。

大人になって就職しても、変化のないルーティンワークからは刺激を感じられず、与えられた業務をおろそかにするようになります。その結果、周囲からの評価を得られないどころか、自分の実力に向き合うことをせずにすぐに環境を変えたがり、転職を繰り返す可能性もあるでしょう。

「飽きっぽい」「あきらめが早い」ということは、大きな成功から遠ざかるひとつの要因にもなりうるのです。

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「あきらめ癖」がついてしまったのはなぜ?

そもそも、なぜ「あきらめ癖」がついてしまうのでしょう。

脳の仕組みを見てみると、熱しやすく冷めやすいタイプは、行動を促進するドーパミン神経系の活性化を求める傾向があると言われています。新しいものや刺激のあるものを求めることは、脳にとって決して悪いことではないのです。

しかし一方で、コツコツがんばって続けられる人や、刺激を追い求めずに安定した日々を送る人もいます。「すぐにあきらめる人」との違いは一体何なのでしょう? そのヒントは、親の日頃の言動に隠されているようです。

『ほめると子どもはダメになる』(新潮社)の著者で心理学博士の榎本博明氏は、親から投げかけられた言葉や親の口ぐせは、自己観や人生観の土台になりますといいます。つまり、親の口ぐせが子どもの人生を方向づけると言っても過言ではないのです。

たとえば、何かにつけて「どうせ無理」「きっとダメだよ」と言ってすぐにあきらめてしまう子は、親自身が後ろ向きなものの見方をしていることが多く、親の口ぐせを無意識のうちに心の中に取り込んでいるそう。とくに、次の2つの思考パターンには注意が必要です。

■子どもを自分の思い通りにコントロールしようする

「なんでできないの!」「こんなこともできないなんてダメね!」
常日頃からこのような言葉を投げかけていると、子どもの自信はみるみるしぼんでいきます。それにより「どうせ何をやってもダメなんだ」と、あきらめ癖がついてしまうのです。

■すぐに感情的になる

たとえば朝、子どもが準備に手間取っているとします。そこで感情的になって「もう! モタモタしないで!」と思いつくままの言葉をぶつけていませんか? すると子どもは萎縮し、本来ならスムーズにできることもうまくできなくなり、ますます自信が失われてしまいます。

私が実施した意識調査でも、子育て中の親のほとんどが、「子どもが思い通りにならない」といってイライラしています。
社交的な親は、内気な子にイライラしています。神経質な親は、大ざっぱな子にイライラします。でも、子どもは親とは別人格、親の思うようには動きません。このことをしっかりと頭に刻んでおきましょう。

(引用元:PHPファミリー|親がかける言葉で、子どもの人生が変わる

今からでも少しずつ親御さん自身の口ぐせや思考パターンを変えるように心がければ、お子さんの「あきらめ癖」も改善されていくはずです。ポイントは、前向きな言葉を口ぐせにすること。「モタモタしないで急いで!」ではなく、「さあ、もう少し急ごうね。がんばって!」と前向きな言葉をかけてあげるだけで、子どもは「自分はやればできる」と自信を失わずにすむのです。

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あきらめが早い=切り替えが早い!? 枠にとらわれない思考法「リフレーミング」とは

ここでは少し視点を変えて、「あきらめ癖」について考えてみましょう。

教育評論家の親野智可等氏は、わが子の短所ばかりが目につき、つい必要以上に心配したり叱ったりすることに悩む親御さんに向けて、リフレーミングという手法をすすめています。

たとえば、「新しいおもちゃも、最初のうちは夢中になるけれど、すぐに飽きて見向きもしなくなる」「何かをやり始めたとき、ちょっとでも壁にぶつかると途端にあきらめる」「やる気が持続しない」という傾向があるとします。親からすると「こんな調子で将来大丈夫かしら?」と不安になりますよね。

それこそが、一定の枠組み=“フレーム”を通してしかものを見ていない証です。「リフレーミング」とは、そのフレームを外して別の角度から見直すことを意味します。そうすることで、マイナスポイントに思えるものが、一転してプラスの側面を見せてくれるのです。

「飽きっぽい」「あきらめが早い」といったマイナス要素を、別の角度から見直してみましょう。すると、気持ちの切り替えが早い」「多様性を受け入れられる」「楽天的」「自分の気持ちに正直……などの長所が思い浮かびます。それは将来、仕事に就くうえでも確実にプラスにはたらきます。

あきらめ癖があるということは、決して悪いことばかりではないのです。その個性をうまく引き出せば、良い方向へと伸びていく可能性を秘めています。必要以上に心配しないようにしてくださいね。

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あきらめ癖がある子どもが粘り強くなる3つのコツ

とはいえ、すぐにあきらめて何ひとつまともに続かないのは困りものですよね。世の中には、続けることでしか手に入れられないものがたくさんあります。簡単に投げ出してはいけないものがあるのだということも、小さいうちから知っておく必要があるでしょう。

ここでは、あきらめ癖がついてしまった子どもが「あきらめない心」を手に入れる方法をご紹介します。

■クリアできそうな目標を常に用意する

がんばればクリアできそうな目標に向かって取り組むと、快感にかかわる脳のドーパミン神経系の働きが最大化すると言われています。もっとも効果があるのは、子どもが50~75%の確率で達成できそうな目標を設定すること。スモールステップをクリアすることを繰り返せば、いつのまにか「やり抜く力」が身につくでしょう。

■目標は「肯定的」で「具体的」に!

否定語を入れないのがポイントです。「宿題が終わるまでゲームをしない」よりも「ゲームをしたくなったら窓の外を見る」というように、肯定的なフレーズを入れると◎。また「1年生のときよりも勉強をがんばる」では達成感がわかりにくいので、「テストでは毎回80点以上をとる」と具体的な目標を立てましょう。

■「成功体験」を積み重ねることを意識する

本格的なロジカルシンキングを取り入れた学習塾ロジムの塾長、苅野進先生は、粘り強さを手に入れるためには、何かを成し遂げた『成功体験』が必要ですと述べます。「あのときうまくいったから、次もうまくできるはず」と思うことでさらに頑張れるというわけです。

子どもにとって一番身近な成功体験は、親に褒められること。ただし結果を褒めるのではなく、問題に取り組んだことや、少しずつでも前進していることを褒めてあげましょう。たとえ失敗しても、チャレンジしたことを褒められれば、それが成功体験となります。

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親の声かけによって子どもの粘り強さが身につくのなら、どんどん褒めてあげたいですね。「がんばって取り組んでるね!」「さっきより進んでるね!」「失敗したけど、ひとつわかったことが増えたね!」と、ありのままの姿や物事に取り組む姿勢を褒めてあげると、子どもの自信につながりますよ。

(参考)
洋泉社MOOK(2017),『子どもの脳を伸ばす 最高の勉強法』, 洋泉社.
PHPファミリー|親がかける言葉で、子どもの人生が変わる
東洋経済ONLINE |「いい子」「悪い子」すべては”親の決めつけ”だ
洋泉社MOOK(2018),『これからの未来を生き抜く できる子の育て方』, 洋泉社.
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