教育を考える 2020.1.16

コミュニケーション能力が高い子どもは、家族との会話が多かった! その理由は――

編集部
コミュニケーション能力が高い子どもは、家族との会話が多かった! その理由は――

子どものコミュニケーション能力の低下が問題になっていることは、教育に敏感な親御さまであればご存じでしょう。

どうやらコミュニケーション能力は、就職活動にも大きな影響を与えるようです。今回は、子どものコミュニケーション能力が下がってしまった理由、家庭でできるコミュニケーション能力アップの方法をご紹介します。

コミュニケーション能力低下の原因は、「超便利社会」の発展

内閣府が発表した資料によると、友だちや仲間のことで悩む子どもが増えているようです。また、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏も、現代の子どもたちについて、「仲間同士で必要以上に気を使う」としており、子どもたちのコミュニケーション能力の低下に警笛を鳴らしているひとりです。

そんな、子どもたちのコミュニケーション能力低下の理由について、教育改革実践家である藤原和博氏は、「超便利社会」の発展が原因だとしています。昔であれば、買い物をするときは店員とのコミュニケーションが常に起こっていたのに対し、“超便利”になった現代では、コンビニで一言も発せずに買い物ができてしまうということです。

また、もう1つの理由、テレビや携帯、ゲームなどの電子機器の使用も、親世代のころと比べて長くなっているそう。

平均して子どもたちは1日にどれぐらいの時間数テレビを見ているでしょうか。約3時間です。365日で1,000時間を超えて子どもたちはテレビを見ていることになります。ゲ ームを加えると、総ディスプレイ視聴時間ということになりますが、これは4時間を超える。そんな子は、もうざらにいます。

(引用元:内閣府|コミュニケーション力を高めるために

藤原氏は、このことについて、「子どもたちからコミュニケーションを奪う、もしくはコミュニケーションをしようとする意欲を奪うもの」とし、非常に恐怖を感じると言っています。

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コミュニケーション能力は就職までも左右する

コミュニケーション能力は、大人になってからも必要ですし、生きている以上、必ず誰かとコミュニケーションを取らなければいけません。社会人生活のスタートである、就職活動にも、コミュニケーション能力の有無は大きく影響します。

日本経済団体連合会(経団連)が公表した、「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査」の結果を見てみると、「選考で重視した点」では、「コミュニケーション能力」が16年連続で1位でした。

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(引用元:経団連|2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果

ビジネスにおいて良好な対人関係が築ける人は、そうでない人よりも、仕事がスムーズではないでしょうか。逆に「どうも話がうまく通じない」「こちらの気持ちを理解してくれてない」ような、コミュニケーション能力が低い人との仕事は、なかなか難しいですよね。

また、全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)が2009(平成21)年秋に実施した「学生生活実態調査」によると、以下の特徴がある学生ほど、就職内定率が高いことがわかりました。

  • 目上の人との会話が得意
  • 家族との会話が多い
  • 友人の数が多い
  • リーダー経験がある
  • 周囲の意見を尊重できる

 

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また、『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』の著者であり、現役東大生の西岡壱誠氏は、「友だちが多いヤツが東大に合格する」と話しており、“勉強に限らずさまざまな面で活躍している、成長スピードの速い人”の 共通点として、以下のことを挙げています。

どんなに意見が違う人の話でも、話を遮るのではなく「いったんは聞いてみよう」という姿勢を持っている。そして、そのなかからなにかを得ようとしているように思います。

(引用元:StudyHacker|現役東大生が「友だちが多いヤツが東大に合格する」と言う根拠。やっぱり “性格がいい人” が伸びていく

これは前述した「周囲の意見を尊重できる」という性格に当てはまるのではないでしょうか。どうやら、コミュニケーション能力は「学び」にも影響を与えるのですね。

家庭でコミュニケーション能力をアップさせる3つのコツ

先ほどの目上の人との会話が得意」「家族との会話が多いという項目は、家庭でも意識できることではないでしょうか。子どもの将来のため、今日からすぐに取り入れられるコミュニケーション能力アップのコツをご紹介します。

■子どもの話を最後まで聞く

帝京短期大学・生活科学科学科長である宍戸洲美教授は、子どもの話に「しっかり心を向ける」ことが大切だと言っています。まずは、「子どもの話を最後まで聞く」「スマートフォンを見ながら返事をしない」、この2つを心がけてみてはいかがでしょう。話を聞いてもらった経験が多い子どもだけが、話を聞ける子どもになるのです。また、親に話を聞いてもらうと、「お父さんお母さんは私を見ていてくれている、わかってくれている」と感じ、子どもの自己肯定感が高まります

■文章で話す

「あれとって」「早くして」――親の私たちも、簡単な言葉で話しかけていることが多いのではないでしょうか。「次世代教育のグランドデザイン」を描く研究機関、内田洋行教育総合研究所が配信する「学びの場.com」は、親子間での会話こそ気をつけるべきだとしています。「リビングのテーブルに置いてあるレシピ本を取って」「〇時に家を出ないと用事に間に合わないから、それまでに出かけられるように準備しよう」など、親子で長い文章をやりとりしてみましょう。

■学校や習い事以外の場所に出かける

地域の行事や、公園や駅前で開催されるイベントなど、さまざまな人と触れ合える場に出かけてみましょう。その際、子どもだけにコミュニケーションを促すのではなく、親の私たちが積極的に声をかけてコミュニケ―ションを図るようにします。教育ジャーナリストの中曽根陽子氏も、「さまざまな価値観への理解とコミュニケーション力は、経験からしか学べない」と言っています。家庭や学校・習い事以外の場所にどんどん子どもを連れ出しましょう!

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子どものコミュニケーション能力は、現代の超便利社会では、なかなか伸ばすことが難しいよう。子どもの明るい将来のためにも、毎日の会話を意識することから始めてみましょう。

(参考)
文部科学省|コミュニケーション教育推進会議(第1回)「コミュニケーション能力」に関する指摘・調査等
内閣府|情報誌「子どもと若者」~子どもと若者への支援に向けて~ コミュニケーション力を高めるために
ベネッセ教育情報|就職も左右!?「コミュニケーション能力」は家庭から
StudyHacker|現役東大生が「友だちが多いヤツが東大に合格する」と言う根拠。やっぱり “性格がいい人” が伸びていく
学びの場.com|子どものコミュニケーション力は落ちているのか
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