「子どもを野菜好きにさせたい」と、食育に興味をもつ親御さんは多いのではないでしょうか。ピーマンやゴーヤなど、苦味の強い野菜を食べようとしない子はたくさんいますよね。
スーパーマーケットチェーンを展開する西友が2019年、3~10歳の子がいる保護者1,000人にアンケートをとったところ、「子どもに嫌いな野菜がある」と答えた割合は88%、「野菜を食べさせるのを諦めた経験がある」は95.6%にものぼりました。健康のため、子どもにはぜひ野菜を食べてもらいたいものですが、無理強いするとますます苦手になってしまうため、本当に悩ましいですよね。
そこで今回は、子どもの野菜嫌いでお困りのみなさんに、野菜の食育を家庭で実践するポイントを解説します。記事の最後では、食育について学べる講座もご紹介しましょう。
野菜の食育が大事な理由
野菜の食育は、なぜ大事なのでしょうか?
まず、食育とは食事をめぐる教育のこと。2005年に施行された食育基本法に基づき、学校や地域で推進されています。
特に野菜に関しては、家庭での食育が重要です。その理由を説明しましょう。
野菜にはビタミンやミネラルが豊富だから
公衆栄養学を専門とする荒井裕介・准教授(千葉県立保健医療大学)によると、野菜にはビタミンやミネラルが豊富に含まれています。それぞれ以下のような役割があるそうです。
- ビタミン:炭水化物をエネルギーに変える
- ミネラル:体の機能を維持・調整する
つまり、健康に生きていくには野菜が欠かせません。しかし、子どもには野菜の重要さがわからないため、食育が必要なのです。
野菜が嫌いなままかもしれないから
上で述べたように、子どもは野菜を嫌う傾向があります。「成長すれば自然に食べるようになるだろう」と思うかもしれませんが、大人になっても野菜全般が嫌いな人はいますよね。
大人になってから食習慣を変えるのは大変です。野菜は健康な人生を送るのに欠かせないため、子どものうちから食べる習慣をつけてあげましょう。
野菜の摂取量は不足しがちだから
小学校や保育園・幼稚園でも食育が行なわれているため、給食で野菜を食べることは可能です。しかし、1日に必要な野菜を昼食だけで採れるわけではありませんし、子どもが野菜を残しているかもしれませんよね。
食品メーカーのカゴメが、幼稚園・保育園~高校生の子をもつ女性830人を対象に実施した2017年の調査によると、96%もの子どもが野菜不足だったそう。野菜不足の家庭には、栄養バランスよりも「すぐに出せる・調理できること」を重視する傾向がありました。
子どもが野菜を十分に摂取できるかどうかは、親に懸かっているわけですね。子どもたちが朝食と夕食をとる家庭でこそ、野菜の食育が重要なのです。
家庭でできる野菜の食育1:親子で料理をする
ここからは、家庭でできる野菜の食育を具体的に紹介していきます。まずおすすめしたいのが、野菜を使って子どもと料理すること。
調理をしていると、子どもが台所に来て「やってみる!」と言ったことはありませんか? 子どもは、おもしろそうなことが大好き。子どもとできるお料理を年齢別にご紹介します。
2歳前後
小さい子には、野菜の種を取り除いたり、水で洗ったりする作業を頼んでみては? ピーマンの種取りなら、2歳前後の子でもできるので、おすすめです。小さな手でも作業しやすいよう、半分に切っておいてあげましょう。
「〇〇ちゃんが種をとってくれたピーマンちゃんが、おいしいお食事になりましたよー!」と盛り上げてあげれば、「ピーマンちゃんあった!」と楽しく食べられるかもしれません。ピーマンの種取りを食育に取り入れている保育園もあるようです。
4歳前後
4歳前後なら、子ども用の包丁に挑戦してみても。皮むきなど複雑な作業は親が担当し、切ることだけお願いしましょう。
そして、料理の味見も頼んでみてください。料理の仕方を変えたり調味料を加えたりすれば、野菜のにおいも味も魔法のように変わることを発見できるでしょう。
小学生
小学生くらいのお子さんなら、嫌いな野菜をおいしく食べられるレシピを一緒に考えるのも楽しそうですね。理科の実験のように、調味料や調理法をいろいろ試しつつ、口に合う食べ方を探してみてください。
野菜は生のまま使うより、いためたりゆでたりと加熱するのがいいでしょう。上でも紹介したカゴメの調査によると、野菜を十分に摂取できている家庭には、「ほぼ毎日、野菜を加熱調理している」という共通点があったそうです。
野菜を加熱すると体積が減るので、より多くの量を食べられます。また、加熱によって食感や味が変わるため、生では苦手だった野菜も食べられるかもしれません。
親子料理教室「こどもキッチン」主宰の石井由紀子氏は、子どもが包丁なしでつくれる料理として「夏野菜たっぷりおかずマフィン」を紹介しています。野菜の食育として、実践してみてはいかがでしょう?
家庭でできる野菜の食育2:浮力の実験をする
初等理科教育を研究する藤本勇二・准教授(武庫川女子大学)は、食育の一環として、野菜を使った浮力の実験を紹介しています。野菜を水に入れ、浮くか沈むか試すだけ。とっても簡単にできますよ。
- 数種類の根菜(ダイコンなど)
- 数種類の果菜(キュウリなど)
- 数種類の葉菜(キャベツなど)
- 大きめの水槽
【やり方】
- 水槽の8分めまで水を入れる
- 浮くか沈むか、野菜ごとに予想する
- 野菜を水に入れる
やってみると、水に浮かぶ野菜と沈む野菜があることがわかります。それぞれの共通点に気づけるでしょうか?
また、藤本准教授によると、ミニトマトは糖度が高いと沈み、低いと浮くそう。つまり、水に入れることで、甘くて食べやすいミニトマトを見分けられるのです。
ぜひお子さんと、野菜の実験で楽しみながら食育をやってみてくださいね。
家庭でできる野菜の食育3:体験型施設を訪れる
野菜に関する体験型施設を訪れるのも、家庭でできる食育のひとつ。ここでは、「カゴメ野菜生活ファーム」(長野県富士見町)をご紹介しましょう。
カゴメ野菜生活ファームは、2019年に誕生した「野菜のテーマパーク」。以下のようにさまざまな体験を通し、野菜の知識を楽しく深められます。
- 農業・収穫体験:さまざまな農作業や、野菜の収穫を体験。収穫した野菜は持ち帰れる
- プチガイドツアー:野菜ジュース「野菜生活100」の製造工程をVR映像で体験
- ベジチェック:手をセンサーに当てると、野菜摂取量が足りているか「野菜摂取レベル」を測定
最新の詳しい情報は、公式サイトでご確認ください。豊かな自然のなか、家族で野菜の食育を楽しんではいかがでしょう。
食育をもっと知るために
野菜の食育についてもっと詳しく知りたい方には、ヒューマンアカデミーの「食育スペシャリストパーフェクト講座」がおすすめ。最短3日で、以下をはじめとする食と健康の正しい知識を効率的に学べます。
- 野菜で免疫力をアップさせるメニュー
- 魚で集中力や記憶力をアップさせるメニュー
- 箸の使い方
- 食事マナーの教え方
- 信頼できる食育情報の探し方
「食育スペシャリスト」だけでなく、食材別の「フード・インストラクター」資格も取得できます。詳しく知りたい方は、気軽に資料請求してみてください。「食育スペシャリストパーフェクト講座」で得た知識を、ご家庭での野菜の食育に活かしてみては?
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子どもがよい食習慣を身につけ、健康な人生を送るためには、家庭でも野菜の食育を実践することが大切です。みなさんも、食育のコツや、食に関する知識を広める方法を、試してみてはいかがでしょう。
文/上川万葉
(参考)
農林水産省|食育の推進
文部科学省|食育って何?
政府広報オンライン|「食べる力」=「生きる力」を育む 食育 実践の環(わ)を広げよう
e-ヘルスネット|野菜、食べていますか?
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