あたまを使う/サイエンス 2021.2.24

「じゃんけんに勝ったのは誰でしょう?」文章題が得意な子はこう考える!

今木智隆
「じゃんけんに勝ったのは誰でしょう?」文章題が得意な子はこう考える!

新型コロナウイルスの再流行にともない、全国で外出自粛の動きが続いています。せっかくの休日も家族や友達と出かけられず、おうちで過ごす時間が増えているのではないでしょうか。

みなさんのお子さまは、おうち時間をどう過ごしていますか? ずっと家にいると、ついゲームをしたりマンガを読んだりして、ダラダラと一日を過ごしてしまいがちです。でも、できることならば、長引く自粛期間も有意義に活用したいですよね。

そこで今回は、おうち時間の気分転換になり、お子さまの思考力とやる気がアップするような、算数の発展問題をご紹介したいと思います。ゲームやマンガをいったん置いて、紙とペンを用意してみましょう。ぜひ、おうちの方もお子さまと一緒に取り組んでみてくださいね。

<第1問>工夫して足し算をしよう

まずは、簡単な足し算の問題から。

簡単に計算できるよう、工夫して下の足し算を解いてみましょう。

【1】1+2+3+4+5+6+7+8+9=
【2】2+4+6+8+10+12+14+16+18=

 
左からひとつひとつ数字を足していくこともできますが、手間がかかりますし、そのぶんミスもしやすくなります。じつはこの2問、式の順番を入れ替えるだけで簡単に解くことができるのです。たとえば、【1】の式をこのように書き替えてみると……?

【1】(1+9)+(2+8)+(3+7)+(4+6)+5=

1+9=10
2+8=10
3+7=10
4+6=10

【1】の式は「10が4つ」「5が1つ」でできていることがわかりますね。
よって、10+10+10+10+5となり、【1】の答えは45です。

【2】も同様に、このように順番を入れ替えて計算します。

【2】(2+18)+(4+16)+(6+14)+(8+12)+10=

2+18=20
4+16=20
6+14=20
8+12=20

【2】の式は「20が4つ」「10が1つ」でできていることがわかります。
よって、20+20+20+20+10で、【2】の答えは90です。

このように、キリがよく計算しやすいまとまりをつくることで、一見複雑な足し算も簡単に解くことができるのです。

文章題が得意な子の考え方1

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<第2問>私は何歳でしょう?

下の3つのヒントを読んで、私の年齢を当ててください。

【ヒント1】私は50歳よりも若いです。
【ヒント2】私の年齢は5で割ると2あまる数です。
【ヒント3】私の年齢の一の位の数は、十の位の数の2倍より1少ない数です。

 
まずは、【ヒント3】から位の表をつくってみましょう。
文章題が得意な子の考え方3
次に、【ヒント1】から私の年齢の十の位は5以下になることをふまえ、それぞれの場合の年齢を考えていきます。
文章題が得意な子の考え方2
以上の5つから、【ヒント2】の条件に当てはまる数を探すと、47÷5=9あまり247歳が正解となります。

いかがですか? 頭がほぐれてきたところで、最後はもっと複雑な文章題にチャレンジしてみましょう!

文章題が得意な子の考え方4

<第3問>じゃんけんに勝ったのは誰でしょう?

次の文章を読んで、じゃんけん勝負に勝ったのは誰か答えましょう。

のぞみさんとかなたさんがじゃんけんで10回勝負をしました。
のぞみさんは、グーを1回、チョキを6回、パーを3回だしました。
かなたさんは、グーを4回、チョキを4回、パーを2回だしました。

一度もあいこにはなりませんでした。さて、10回勝負に勝ったのはどちらでしょう?

 
3問目は少し手ごわい問題ですが、文章をしっかり読んで状況を整理すれば、答えは見えてきます。

この問題を解くカギは、まず、のぞみさんがチョキを出した回数に注目すること。一度もあいこになっていないということは、のぞみさんがチョキを出したときには、かなたさんはグーかパーを出していることになります。

のぞみさんはチョキを6回、かなたさんはグーを4回、パーを2回出していることから、のぞみさんは、2回勝って4回負けているとわかります。

次に、残りの4回の勝負について考えます。のぞみさんはグーを1回、パーを3回、かなたさんはチョキを4回出しています。つまり、のぞみさんは1回勝って3回負けていることになります。

これらを合わせると、のぞみさんは3勝7敗。よって、10回勝負に勝ったのはかなたさんです。

文章題が得意な子の考え方5

算数が得意な子でも難しい「少しひねった文章題」

この連載でもたびたび触れてきましたが、文章題は多くの子どもが苦手としている単元です。RISU算数で学習する子どものデータを見ても明らかで、特に、このような少しひねった文章題になると、算数が得意な子でも苦手意識をもってしまうようです。

しかし、解説を見ていただくとわかるように、このような一見複雑な文章題も、問題文をじっくり読み、順を追って状況を整理すれば、答えを出すのに難しいことは何もありません。「なんだか難しそう……」と決めつけて諦めてしまっては、もったいないのです。

また、文章題に取り組むことで得られる力は、算数のみならずほかの科目の学習にも役立ちますし、社会に出てからも強く求められます。なぜなら、文章題を解くときの「必要な情報を読み解き、考える」という行為が、あらゆる問題解決のプロセスの基本だからです。

実際に、最近の中学入試では、算数に限らず、問題文の長いものが多く出題されています。受験の場面で長い問題文に面食らって、解けたはずの問題を落としてしまわないためにも、普段からこのようなひねった問題に慣れておくことが大切なのです。

次回も引き続き、思考力が身につく発展問題をご紹介します。お楽しみに!

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■ 算数塾「RISU」代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧
第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方
第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない
第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題
第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法