教育を考える/食育 2019.12.27

脳を発達させる食材といえば、やっぱりコレ! 苦手な子でも食べやすくなる、魚の調理法

笠井 奈津子
脳を発達させる食材といえば、やっぱりコレ! 苦手な子でも食べやすくなる、魚の調理法

文・レシピ写真/栄養士・幼児食インストラクター 笠井奈津子
構成/岩川 悟

脳の約7割は脂質で構成されている

前回のコラム(第2回参照)では、頭がよくなるために意識したいことや、避けたいことをお伝えしました。食への意識が高い方は、「でも、大事なものが抜けている」と思われたかもしれません。そう、DHAの話ですよね。

DHAを多く含むものといえば、やはりです。しかし、「魚は食べるのが苦手」という子どもも多いですし、「魚料理をするのは苦手」という大人も少なくありません。そこで連載第3回目は、頭をよくするうえでどうしてDHAが欠かせないのかということにはじまり、魚嫌いでも食べやすくなる調理のコツや、DHAの摂り方について書き進めていきます。

苦手な子でも食べやすくなる、魚の調理法2

筋肉をつくるなら「タンパク質」というように、脳をつくるには「脂質」が必要となります。実は、脳の約7割は脂肪によって構成されているのです。でも、脂質だったらなんでもいいわけではありません。肉の脂身やバターなどの乳脂肪、揚げ物などの脂質では良質な栄養補給はできないからです。それどころか、摂取しすぎると生活習慣病のリスクを高めることにつながります。脂肪酸は脂質を構成する成分の一種ですが、その構造のちがいから飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸にわけられ、そのうち、健康にいいとされているのは植物油や魚の脂肪に多い不飽和脂肪酸です。

そして、不飽和脂肪酸のうち、魚の脂に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸、くるみや亜麻仁油に多いα-リノレン酸は「オメガ3脂肪酸」と言われ、子どもの脳の発育を促し、アレルギーを抑える働きを持ちます。

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DHAを摂るためにできる工夫

そのなかでも、DHAが頭をよくするものとして特に注目される理由は、脳に欠かせない脂質であり、神経伝達をスムーズにし、記憶や学習などの脳の働きを高めるからです。でも、魚のなかでも特にDHAを多く含む、ぶり、さば、サンマ、いわしといった青魚は、子どもが好みやすい食材ではないうえに、「料理法がよくわからない」「あまり日持ちがしない」といった親側の理由からも敬遠されがち。そんな背景もあり、「家で魚を食べる機会が少ない」という家庭は増えています。ですが、DHAの大きな供給源として魚の代わりになるものはありません

そこでおすすめするのは、味噌や塩麹などに漬けておいてから調理をすること。生臭さが取れると同時に、旨味も増し、しっとりやわらかに仕上がるなどいいこと尽くしです。こうした発酵食品は免疫力を高める働きもあるため、休まず学校に通える体をつくるためにも欠かせません。今回紹介するレシピのように、味噌とヨーグルトを1対1で割ったものに漬けておくのもお手軽です。漬け込んでおけば、買ってきた状態で冷蔵保存するよりも日持ちするので、「忙しくて買い物にいけなかった」というときでも心強いストックになるでしょう。

苦手な子でも食べやすくなる、魚の調理法4

DHAを効率よく摂取するには、脂が落ちないようお刺身のように生食でいただくのが理想です。でも、乳児期に生食を与えることはできませんし、お刺身で食べたときに家族みんなが「美味しい」というお魚を購入するのもハードルが上がります。そこで、お味噌汁やスープなど、煮汁もそのままいただけるような調理法にするのもいいでしょう。また、裏技になりますが、我が家では買ってきた生魚は一度脱水シートで包んで臭み抜きをしています。最初のコストこそ多少かかりますが、手頃なお値段のお刺身でもとても美味しくいただけるので重宝しています。干物は日持ちもして便利ですが、脂肪が酸化しやすいので、DHAの摂取を目的とするならば、早めに食べるようにしましょう。

また、サバ缶やツナ缶、しらす干しなどを常備しておけば、ご飯と一緒に炊き込んだり、サラダに加えたり、トマト缶と一緒に煮込んでパスタソースにしたりといろいろな応用ができます。「魚が丸ごと出てくるのが苦手」という子どもには、こうした加工食品も上手に使ってください。

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炭水化物が太るのではなく、食べすぎたら太る

そして、脳にいい食材を意識したら、その脳をちゃんと働かせることも意識したいものです。最近はダイエットの低年齢化が進み、小学生でも「炭水化物=太る」と考えている子どもたちもいます。でも、脳を働かせるためには糖分をしっかり摂る必要があるので、ご飯も欠かさないようにしましょう。炭水化物を食べると太るのではなく、食べすぎたら太るということ、炭水化物は三大栄養素のひとつで脳にとっても大事なエネルギー源であることをしっかり教えるのも、親が子どもにできる大事な「食育」です。

「早く出かける準備をしないと」「早く寝かさないと」なんてことを思うと、つい「早く食べて!」とせかしてしまいがちになります。でも、しっかり食材を噛むことは、脳に刺激を与え脳の血流を増加させる効果があると言われています。子どもがよく噛んでごはんを食べることができるような「ゆとり」も意識したいものですね。

レシピ◆あとは焼くだけ! 1分で準備できるぶりの味噌漬け焼き

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【材料】

  • ぶり(お好きな魚で)
  • 味噌 大さじ1
  • ヨーグルト 大さじ1

【作り方】

  1. ジップロックに味噌とヨーグルトを入れて混ぜたら、ブリを入れてからませる
  2. 冷蔵庫で2時間以上おく(このまま2日程は冷蔵庫で保存できる)
  3. グリルで7分ほど加熱してできあがり

【主な食材に含まれる栄養素】

  • ぶり……冬に旬を迎える寒ぶりは脂が多いのでDHAを摂りたいときにはおすすめ
  • 味噌……腸内環境を整える発酵食品
  • ヨーグルト……整腸作用がある乳酸菌が豊富

 
■ 栄養士・幼児食インストラクター 笠井奈津子さん 連載記事一覧
第1回:子どもが食べやすく、親の準備もしやすい。勉強に集中できる「良質な朝ごはん」のつくり方
第2回:“タンパク質不足”に要注意。子どもの頭をよくしてくれる、実は身近な「ブレインフード」
第3回:脳を発達させる食材といえば、やっぱりコレ! 苦手な子でも食べやすくなる、魚の調理法
第4回:「子どもの集中力がない」それ、おやつのせいかも? 甘いお菓子が脳に良くない理由とは