「○○したらいいのに」
「パパの言うとおりにすればいいの」
「どうして○○しないの?」
子どもの将来を思って、ついこんな言葉を口にしてはいませんか? じつは、このような声かけは、子どもの自立心や達成感を育てるきっかけを奪ってしまっている可能性があります。
子どもが「○○をしたい」と考えたとき、あるいは「○○をする必要に迫られた」とき、その目的を達成できるようサポートするためには、「SMARTゴール」というツールがオススメです。以下で詳しくご紹介しましょう。
全米最優秀女子高生に輝いた子は「SMARTゴール」で育てられた
全米の女子高生が憧れる奨学金のコンクールで、2017年に優勝したスカイ・ボークさんのお母様は、ボーク重子さんという日本人です。ボークさんいわく、スカイさんが知性や才能、リーダーシップが競われるこのコンクールで認められた理由のひとつに、ビジネスツールである「SMARTゴール」を応用した子育てがあるそう。かつて、「どうしてできないの」「○○しなさい」と間違った声かけをしてしまいがちだったボークさんは、この「SMARTゴール」を子育てに使うことを思い立ちます。
そんなときに出会ったのが、「SMARTゴール」というビジネスツールだったのです。ビジネスの世界で一般的に使われているゴール設定と達成のためのツールですが、わたしはこれを子育てに活用しようと思い立ちます。というのも、親自身が夢を持ち、失敗と成功を重ねながら前進する姿を子どもに見せる。「これに勝る教育法はない」と感じたからです。
(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|誰でもベストな親になれる「SMARTゴール」とは?――全米最優秀女子高生の母・ボーク重子さんインタビューpart4)
ボークさんはSMARTゴールを使った目標を設定し、まずは自分の行動から改めたのだとか。親自らが手本となり、スカイさんの前でその姿を見せたのです。
子育てに応用した「SMARTゴール」のSMARTとは?
SMARTゴールは、以下の5つの条件を満たした目標のことを指します。
- Specific:具体的
文字通り、目標は具体的かつ明らかなもので設定します。 - Measurable:計測可能
達成率がはっきりわかるような目標であるべきです。 - Actionable:自力で達成可能
子どもが自らの力で到達できる目標を設定します。壮大すぎたり、子どもの力では到達できなかったりする目標はふさわしくありません。 - Realistic:現実的
現実的であることが求められます。現実から大きく離れた目標では、子どものやる気が持続しないので、何とか頑張れば手が届きそうなラインに目標を設定します。 - Time Limited:時間制限つき
ギリギリ到達できそうなところに期限(締切)を置くことで、適度な緊張感をもって目標に向き合うことができます。
たとえば、「英語が得意になりたい」だけでは漠然としすぎており、SMARTゴールとは言えません。しかし、SMARTゴールに沿って目標を設定すると、「2年後に英検2級を取得できるよう、毎朝ラジオ英会話を聴いてから学校に行き、放課後は1日20分英語の勉強をする」のように具体的な計画を立てることができます。
SMARTゴールを使って目標を設定してみよう
実際に、どんなふうにSMARTゴールを活用すればいいのか、「春から小学校へ入学するので、朝の支度は自分でできるようになろう」というテーマで元に考えてみましょう。
- Specific
何ができるようになるといいかな?
「朝ひとりで起きて、顔を洗って、服を着替えて、朝食を食べて、食器を流しに持っていて、歯磨きとトイレを済ませてから学校へ行く」 - Measurable
何時に起きればできるかな?
「顔を洗うのに○分、身支度に○分、朝食に○分、歯磨きに○分、トイレに○分だから、○時○分には起きなきゃ。そのためには○時○分までにはベッドに入ろう」 - Actionable
全部できるようにするには、何からやろうか?
「まずは、身支度を自分でしよう。その次は、朝出かける前にトイレを済ませられるように、時間に余裕をもってひとりで起きる」 - Realistic
できそうかな?
「朝食はできる。身支度もできそう。歯磨きとトイレもできそう。朝起きるのは不安だから、目覚まし時計を用意しよう」 - Time Limited
いつまでにできるようになりたい?
「卒園までに、一通りできるようになりたいな。まずは、最初の目標にした身支度を、1週間でできるようにしよう」
このように、具体的な目標と計画を、お子さんと一緒に考えながら設定しましょう。大切なのは、お子さんと話し合って目標を達成したいという思いを共有し、一緒に計画を立てること。ゴールが見えていると、「なぜひとりで身支度できるようになる必要があるのか」「なぜ目覚まし時計を使って自分で起きられるようにならないといけないのか」が子どもにもわかるため、達成のために自分から行動し、「自分からやる子」に育っていくのです。
ボークさんは、子どもが自分で立てた目標を達成することの大切さについて次のように述べています。
子どもは「やりなさい」と言われたからやるのではありません。自分にとって最適最大の目標を見つけ、達成するというやる理由と必要性が見えているからやるのです。そして達成感という幸福を知っているから1つの目標を達成した後にまた目標を見つめるのです。
(引用元:東洋経済ONLINE|全米1位の日本人女子高生を導いた母の教育)
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子どもの自主性を育みながら目標を達成させるには、親の私たちがSMARTゴールに取り組む姿を見せることが大切だと、ボークさんはいいます。私たち自身がSMARTゴールの効果を実感したうえで、子どもをサポートしていくことが成功のカギかもしれませんね。皆さんも、まずはご自身がSMARTゴールを使って目標を設定してみてはいかがでしょうか。
(参考)
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|誰でもベストな親になれる「SMARTゴール」とは?――全米最優秀女子高生の母・ボーク重子さんインタビューpart4
東洋経済ONLINE|全米1位の日本人女子高生を導いた母の教育
BizHint|SMARTの法則
GLOBIS知見録|目標設定の5つのポイント「SMART」とは?