あたまを使う/教育を考える 2019.4.25

賢い子は知的好奇心が旺盛だった。「もっと知りたい!」のために実践すべき4つのこと

賢い子は知的好奇心が旺盛だった。「もっと知りたい!」のために実践すべき4つのこと

「どうして?」「なんで?」と、好奇心旺盛なお子さんはいろいろなことに興味津々。親御さんとしては、何度も同じような質問に答えるのは大変ですし、忙しいときに質問攻めにあうと困ってしまいますよね。

しかし、このような子どもの「知りたい」という好奇心はとても大事なこと。そこで、子どもの「もっと知りたい」を大事にしたい理由をご紹介します。

子どもの好奇心は “もっと知りたい” の原動力になる

何かに夢中になると、子どもは「もっと知りたい!」と考えるようになります。これが、知的好奇心です。知的好奇心とは、物事に対して知ることへの欲求や、知りたいと思う気持ちのことを指します。

たとえば、図鑑を見ていて恐竜について興味を持ったら、次々と新しいことを知りたいと興味を広げるお子さんもいるでしょう。「恐竜についてもっと調べたい」「実物の化石を見てみたい」など好奇心が旺盛になり、インターネットで調べたり、博物館へ行ったりと、行動範囲を広げていきます。

このとき、脳内ではどんなことが起こっているのでしょうか。実は、子どもが何かに興味を示すとき、脳内で盛んに脳細胞同士のネットワークの道がどんどん作られ、情報伝達が行われています。成長とともに興味を持ったことに関する道は太くなり、興味がないものに関する道は減っていきます。ですから、小さい頃にできるだけたくさんのことに興味を持つことは大切なことなのです。

音楽やスポーツなどでも同じことが言えます。子どもの頃から絵を見る機会を作る、ピアノなど楽器を弾く、スポーツを体験するなど、何か興味のありそうなものをさまざまに経験させると、「おもしろいなあ」「もっと知りたいなぁ」と思い、そこに興味のアンテナが張られていきます。好奇心を持つということは、知ろうと思うことの「原動力」になるのです。

好奇心はどのようにして刺激されるのだろうか。心理学・行動経済学者のジョージ・ローウェンスタインが提唱した「情報の空白」という考え方がヒントになる。新しい情報よって無知を自覚し、自分の知識の空白地帯の存在に気がついたときに好奇心が生まれるというものだ。
ここで重要なのは、「少し知っていること」が好奇心に火をつけやすいということ。好奇心は、何も知らない事柄に対して湧いてくるかのようなイメージを持たれがちだが、実際には、人はまったく知らないことには興味を持ちにくい。「何を知らないか」すら分からない状態では、疑問を膨らませることも難しくなる。

(引用元:東洋経済オンライン|土台の知識の有無が「好奇心格差」を生み出す

つまり、未経験なことが多い子どもの好奇心が刺激されるには、小さい頃にさまざまな経験や体験を広くさせることが大切なのです。

「もっと知りたい!」のために実践すべき4つのこと2

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知的好奇心が旺盛な子は賢いのはなぜ?

最初に興味を持つことは、恐竜でも昆虫でも、動物、魚、鉄道でも、何でもいいのです。まずは、興味を持つこと自体が大切。その次に、興味を持つことができたその何かに対して、さらに知的好奇心が湧いてきて「もっと知りたい!」を積み重ねていきます。それを繰り返すことで、子どもは好きで夢中になることができる何かを見つけます。やがて、この知的好奇心は、学ぶ意欲にも結びつくのだそう

『「賢い子」に育てる究極のコツ』の著者でもある脳医学者の瀧靖之先生によると、賢い子の条件は「自分から“知りたい”と思える、知的好奇心が旺盛な子ども」だと言います。

好きなものを極めるために、「これは何?」「なぜ?」「どうしてそうなるの?」ということを自発的に考えるようになります。自分なりに色々な角度から問いを立てて考えていくのです。そして、本を読んだり、人に聞いたり、インターネットで調べたり、様々な手段でその問いを解決していこうとするのです。もしかしたら外国の本を読み始めることもあるかもしれません。子どもの頃のこうした経験が下地となって、勉強にも仕事にも、そして趣味にもつながっていく。だから知的好奇心をもって動く経験を基に、何かに熱中した体験ができると、子どもの「学びに向かう力」が伸びていくのです。

(引用元:ベネッセ 教育情報サイト|世界最先端の脳研究が解き明かした!「賢い子」の育て方とは?

また、瀧先生によると、小学校のときにとても成績が良かった子のうち、中学校や高校に進学してからも学力が伸びている子と、そうでない子との違いについて調査をした結果、成績が伸びている家庭の大半が子どもの頃に、本や図鑑などのバーチャルの世界を通じて好奇心を引き出されていたことがわかりました。

そして、子どもが興味を持ったことをきっかけに、次は親が実際に本物を見せに連れて行くなど、本や図鑑で見た世界が、実際に手を触れられる距離に現れる経験をしているのです。それは視覚だけではなく、聴覚や触覚、嗅覚など脳の幅広い領域を同時に刺激しながら、より多面的な学びを得ることができるようです。

また、人は物事に夢中になって「楽しい」と感じると、脳は神経伝達物質のドーパミンを分泌します。ドーパミンには記憶力を高めたり、やる気を出させたりする働きがあると言われており、高次認知機能が活性化されるのです。つまり、好奇心旺盛で何かに夢中になることは、脳の活性化にも大きな影響があるのです。

「もっと知りたい!」のために実践すべき4つのこと3

子どもの知的好奇心を高めるためのコツとは

では、親御さんが子どもの知的好奇心を高めるために、何かできることはあるのでしょうか。日常生活の中でできる4つのことをご紹介します。

<ポイント1>好奇心を育てる最強アイテムは「図鑑」

高校や大学で学力が伸びた子どもは、幼い頃から図鑑を見ていたという分析もあるそうです。特に、3〜4歳ぐらいまでは、図鑑に触れると効果的だと言います。動物や植物、乗り物、宇宙、恐竜など、図鑑をリビングなどにそろえておきましょう。たとえば、テレビを見ていて子どもが何か興味を示したら、それに関する図鑑を開いて見せてみたり、水族館や動物園に出かける前に図鑑を開いてみたりするなど、親子で図鑑を楽しむ時間を持つことも大切です。

<ポイント2>いろいろな経験をさせたり、新しい場所に連れて行く

水族館で魚を見たり、動物園で動物を見たり、科学館へ出かけたり、美術を鑑賞する、ピアノを弾くなど、子どもが興味のありそうなものを経験させると、興味のアンテナが張られていきます。その中できっと、「これ、おもしろいなあ」「もっと知りたいなぁ」というふうに思えるものがあるはずです。図鑑などで興味を持ったことを、実際に出かけて目で見せる経験も積極的にさせてみましょう。いろいろなものに興味を持つことが当たり前になり、それは大人になっても習慣、そして経験として残っていくのです。

<ポイント3>親自身がワクワクする感覚を忘れない

お子さんが好奇心を持つように、いろいろな場所へ連れていくといったことをすでに実行している親御さんも多くいるでしょう。しかし、その前に大切なのが、親自身がワクワクするような好奇心を持つことです。好奇心を持ったことに対して、「学ぶ姿勢」を日々の生活の中で表現できているかどうかということが重要なのだと言います。そのような姿勢を日頃から見せることで、親の持つ好奇心は子どもに伝播するのです。

<ポイント4>学習を日々の生活とリンクさせる

お子さんは、書き取りや計算など単純な学習を楽しんで行っていますか? それだけでは、つまらないと感じる子もいるでしょう。理由は、日々の生活とリンクしていないからだと言います。

例えば子どもがお菓子作りに興味をもった場合、作り方が書いてある文章を読むには「字」が読める必要があり、分量を知るには「数字」が必要になりますね。「好奇心」→「興味関心分野」→それに達するための「読み書き計算といった“道具”」という流れができるのです。そして、読み書きや計算の練習をするにつれて、自分がワクワクすることや知りたいことを、もっと知ることができるという手応えが出てきます。こうして、「読み書き計算といった“道具”」→「興味関心分野」→「好奇心」というサイクルが生まれ、さらに好奇心が強化されていきます。

(引用元:東洋経済オンライン|伸びる子の親は日々「好奇心」で生きている

このように、好奇心を持ったことを実現させるためには、学習することが必要だということが分かってくれば、子どもは積極的に学ぶようになります。

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お子さんが小さい頃は、好奇心の元となるタネを撒きましょう。リビングに図鑑をそろえておいたり、家族で新しい場所へ出かけたり、子どもにさまざまな体験をさせたりするなど、何でもいいのです。その経験の中で夢中になる何かを見つけ、「もっと知りたい」という知的好奇心が生まれ、それが学ぶ意欲にもつながります。そして何より、親御さん自身が好奇心を持つことを忘れずに、それを楽しむ姿勢を見せることも大切です。

文/内田あり

(参考)
ベネッセ 教育情報サイト|世界最先端の脳研究が解き明かした!「賢い子」の育て方とは?
ベネッセ 教育情報サイト|脳医学者も実践!子どもの「知的好奇心」を伸ばす“たった1つの秘訣”
東洋経済オンライン|伸びる子の親は日々「好奇心」で生きている
東洋経済オンライン|土台の知識の有無が「好奇心格差」を生み出す
STUDY HACKER|好奇心は成長の秘訣! ビジネスにこそ活きる好奇心の “育て方”
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