子どもたちお待ちかねの長い長い夏休み。キャンプに行ったり、海に行ったり……と楽しいイベントがたくさんある一方で、「夏休みの宿題」という強敵と格闘しなければならない期間でもあります。
量も種類も多くて、自由度が高い宿題がいくつもあり、ひとことで言えば「大変!」なのが夏休みの宿題。子どもたち本人はもちろんですが、勉強を計画的に進めることが特に難しい小学校低学年のお子さんをお持ちの親御さんにとっては、頭の痛い問題ではないでしょうか。
夏休みには、いろいろな遊びや体験をさせてあげたいし、遠くにお出かけもしたい。家族みんなで夏休みを存分に楽しむために、宿題はできるだけ早めに終えられるようフォローしてあげたいのが親心ですよね。
今回StudyHackerこどもまなび☆ラボでは、「小学生 夏休みの宿題バッチリ大作戦!」と題し、夏休みの宿題の上手な進め方や、最後まで終わらせる方法、親御さんの宿題に対するかかわり方について紹介していきます。
親も子どももハッピーな夏休みを過ごしましょう!
夏休みの宿題を計画的に進めるのは、とても難しい
子どもを持つ親を対象に、自分の子どもが夏休みの宿題にどのように取り組んでいるかを尋ねたアンケート調査があります(2017年7~8月、株式会社イオレが実施)。その結果は次のとおりです。
「計画的に毎日少しずつ片付ける」……48.6%
「自分の力だけでは終わらせることが出来ず周りの力を借りる」……24.2%
「ノープランで最後に慌ててやる」……23.6%
「全部終わらせることが出来ないまま新学期を迎える」……3.6%
夏休みの宿題を子どもが自力で計画的に進めることがいかに難しいことであるか、よくわかりますね。
もうひとつ調査結果を紹介しましょう。小学生の子を持つ親を対象に、子どもは夏休みの宿題を「今年いつ終わらせる予定か」と「例年いつ終わるか」を尋ねた調査です(2013年7月、株式会社バンダイが実施)。その結果がこちら。
1位 夏休みの中頃 39.8%、2位 夏休み前半 36.9%、3位 夏休み後半 20.7%
例年宿題が終わる時期……
1位 夏休み後半 35.9%、2位 夏休みの中頃 30.7%、3位 夏休み前半 25.4%
このように、予定では早めに終わらせるつもりでいても、実際には後半にずれ込んでしまう傾向があることがわかったのです。
行動経済学から考える「夏休みの宿題」への取り組み方
夏休みの宿題は、早めにやったほうがいい。全部きちんとやって提出しなければならない。そのことは、親はもちろん子どもたち自身も、頭ではわかっているはずです。それなのに、うまく進められない理由は何なのでしょうか。
この問題について、「行動経済学」の観点から考えてみましょう。行動経済学とは、人間の合理的でない行動のメカニズムを分析する学問のこと。人間は、つねに合理的な判断にのみ基づいて行動するわけではありません。例えば、ダイエットをしているとき、痩せなきゃいけないと頭ではわかっていながらも運動をサボったりケーキを食べてしまったりすることがありますね。私たちは、こうして不合理な行動を取ってしまうものなのです。
どうしてこのような合理的でない行動をとってしまうのかというと、私たちには今を過剰に重視してしまう心の働きがあるため。これを「現在バイアス」と言います。本来なら取るべきでない行動をとってしまうのは、この現在バイアスのせいで、今を重視するまり将来の利益を軽視してしまうためなのです。
夏休みの宿題でも同じように考えられます。宿題を計画的に終わらせれば、残った夏休みの期間思う存分楽しめますし、誇らしい気持ちで学校にも行けるはずですよね。それなのに「夏休みはあと何日もあるから大丈夫」と先延ばしをしてしまうのは、「今、楽をしたい」という気持ちが、「宿題をきちんと終わらせる」ことによって将来得られるメリットを上回ってしまうから。
夏休みの宿題をうまく進めるには、この現在バイアスと先延ばしの問題を解消することが必要なのです。
夏休みの宿題を終わらせるために、親がすべきこと
では、子どもが無事に夏休みの宿題を終わらせるために、親はどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。
勉強の習慣をつけさせる
学期中には自宅学習の習慣がついている子どもでも、夏休み期間中にはまた違った勉強習慣をつける必要があります。時間がたっぷりある夏休み、一日何分勉強させればいいのか、宿題をやるならどの時間帯がいいのか、気になるところですよね。この勉強習慣作りが、先延ばしを生まない大切な要素です。
→詳しくは、「小学生 夏休みの宿題バッチリ大作戦!【第2回】」でご紹介します。
計画の立て方にもコツがある
夏休みの宿題は、量が多いだけでなく、ジャンルも、ひとつひとつのボリュームもさまざま。これらの宿題を同時並行で進めていくには、ちょっとしたコツが必要です。親御さんも、複数の仕事を抱えていてスケジューリングに苦労することがあるのではないでしょうか?
大人なら「今週のうちに、○○と××のタスクを終わらせて、時間があまれば△△をこなして、来週は□□に着手して……」と、ある程度頭の中で整理することができても、子どもの場合は、先を見通しながら論理的に考えられる能力があまり備わっていません。ですから、子どもが夏休みの宿題をスムーズに進めるには、親が一緒になって計画を立ててあげることが大切なのです。
→詳しくは、「小学生 夏休みの宿題バッチリ大作戦!【第3回】」でご紹介します。
親から子へ、うまく働きかける
小学生に「夏休みの宿題を自分でやったか」を尋ねたアンケート(2016年9月、学研教育総合研究所が実施)によると、52.2%もの小学生が「少し人に手伝ってもらった」と回答していました。子どもの夏休みの宿題を手伝える身近な人と言えば、家族、とりわけ親でしょう。また、読書感想文や自由研究など“大物”の宿題は、特に親のサポートが必要になるものですよね。
夏休みの宿題を終わらせるには、子どもだけに宿題を任せきりにするのではなく、親として適切にかかわることも大事。もちろん、「手伝う」とは「代わりにやってあげる」ことではありません。「子どもが宿題を進めやすいよう、声掛けをしたりサポートしたりする」ことが大切なのです。
→詳しくは、「小学生 夏休みの宿題バッチリ大作戦!【第4回】【第5回】」でご紹介します。
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夏休みの宿題は、お子さんにとっても親御さんにとっても、一大イベント。うまく乗り切れば、大きく成長できるはず。ぜひ親子で一緒に取り組んでみてくださいね。
■ 小学生 夏休みの宿題バッチリ大作戦! コラム一覧
第1回:夏休みの宿題を早めに終わらせる方法とは?
第2回:夏休みの生活リズムの整え方
第3回:夏休みの宿題がサクサク進む計画表の作り方
第4回:子どものやる気、どう維持する?
第5回:宿題をする子どもに、親はどんな言葉をかけるべき?
第6回:宿題が終わらない! 遅れた宿題の挽回法とは
第7回:崩れた生活リズムのリセット法
(参考)
イオレ|大物宿題の「自由研究」や「工作」は、家族みんなで片付けるのが夏休みの宿題”定番あるある”
バンダイ|バンダイこどもアンケートレポート Vol.211「夏休みの宿題に関する意識調査」結果
StudyHacker|行動経済学で明らかになった「先延ばし」のメカニズム。どうすれば “すぐやる人” になれるのか?
StudyHacker|「火事場の馬鹿力」は諸刃の剣。締め切りギリギリで慌てすぎないための “行動経済学的” 解決策
学研教育総合研究所|小学生白書Web版 2016年9月調査 11.夏休みについて 夏休みの宿題(自分でやったか)
マイナビニュース|夏休みの宿題、親はどのくらいサポートしてる?
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもが勉強しないときの対策。イライラはNG、親子で勉強計画を立てよう!