生活リズムを整え、勉強する習慣もつけさせた。宿題計画もばっちり立てたし、一見順調に進んでいるようだから一安心……。
それでも、子どものやる気がなくなってしまうことはあるでしょう。「宿題やりたくない!」「遊びたい!」「勉強なんてつまんない!」と子どもが言い始めたら、親としてどのように対応したらいいのでしょうか? 夏休みの宿題をやりきるための、子どものやる気の維持の仕方について、探ります。
やる気がなくなってしまうのはなぜ?
勉強すると決めた時間にもかかわらず、子どもが宿題に手をつけないでダラダラしていると、親のほうがイライラしてつい叱ってしまいたくなることがあるでしょう。でも叱ったところで、子どもが前向きに勉強してくれるようになるでしょうか? なりませんよね。大人だって、会社で上司から叱られたら嫌な気持ちになってしまって、仕事どころではなくなるはずです。
子どものやる気がなくなってしまう理由には、以下のものが考えられます。
- 夏休みの宿題計画に無理があったから
- 宿題の他にもやりたいことがあるから
- なんとなく、乗り気じゃないから
- 宿題に集中できないから
- 宿題が楽しくないから
子どものやる気を取り戻して宿題に向かわせるには、まず「子どもがなぜやる気をなくしてしまったか?」を考えてあげましょう。そのうえで、子どもにぴったりの方法で親から働きかけてあげることが大切なのです。
1. 宿題計画に無理はない?
ではここから、子どもがやる気をなくしてしまったときの具体的な対処法を解説していきます。子どものやる気がダウンしていることに気付いたとき、まず確認するべきことは、「計画どおり無理なく宿題を進められているか?」ということ。
具合が悪かったり、急に用事が入ったり、思いのほかてこずってしまったり……。計画を立てても、予定通りに進まないことはあるでしょう。予定通りに進まないことで、子どもが嫌な気持ちになってやる気をなくしているのかもしれません。そのことで親に叱られでもしたらなおのこと……。
そんな時は、遠慮なく計画を修正してください。計画を立てる際、予備日を設けましたね。その予備日を活用すれば、軌道修正は可能です。できれば毎日、少なくとも1週間に1度は親が進み具合をチェックするようにします。宿題がうまく進んでいないときには、早いうちに遅れを取り戻しましょう。完了目標日を延ばしたり、取り組む順番を変えたり、親御さんがリードして臨機応変に対応してください。
2. 宿題の他にもやりたいことがあるときは?
友だちと遊びたい。どこかにお出かけしたい。水遊びしたい。ゲームをやりたい……! 自由な時間がたっぷりある夏休みだからこそ、楽しい遊びをたくさんしたいものですよね。楽しいことを優先して、夏休みの宿題が後回しになってしまうのは、ある程度しかたのないことなのかもしれません。
そんな時は、「10時までに2ページ進んだら、ゲームをしてもいいよ」「10分だけドリルをやったら、プールに行こうか」などと、勉強と楽しいことをセットにして提案してみてください。「やるべき宿題・締め切り・楽しいこと」の3つをワンセットにするのがポイントです。「遊んでいないで勉強しなさい!」と叱られるより、宿題をやったら遊んでいいんだと分かれば、子どもは張り切って勉強に取り組むでしょう。
3. なんとなく乗り気じゃない?
親御さんでも、何となくやる気がわいてこないことってありますよね。ですが、やる気がないからといって何もしないでいては、結局いつまでたってもやる気は出てこないもの。そんな時の対処法を、2つ紹介します。
好きな宿題から先に取り組む
「今日は算数の予定だったけど、今は算数はやりたくない」ということもあるかもしれません。そんな時は「じゃあ工作をするのはどう?」と、子どもが好みそうな別の宿題を提案してみるといいでしょう。好きな宿題に取り組めば気持ちが乗ってきて、もともと予定していた宿題に戻ったときはかどりやすくなりますよ。
とりあえず準備。とりあえず1問
それでも子どもが渋ったら、とりあえず宿題をはじめる準備だけでもさせてみてください。これからやるべき宿題の道具を出してきて、勉強スペースにセット。鉛筆と消しゴムを出し、今日やるページを開いてスタンバイ。ここまでやってしまえば、もう宿題をスタートできたも同然です。
次は、1問だけでもいいので勉強させてみます。脳にはやる気や快感に関係する側坐核という部分があります。側坐核は行動によって刺激されるところ。「勉強する」という行動を起こして側坐核を活性化させると、快感ややる気をもたらす神経伝達物質のドーパミンが分泌され、どんどんやる気がわいてくるのです。最初に、簡単な問題をとりあえず1問やらせてみてください。もう1問、もう1問……とやっているうちに、いつのまにかその日の宿題は済んでいることでしょう。問題を解く以外には、本や教科書の音読も手軽にできておすすめですよ。
4. 宿題に集中できている?
宿題に取り組みはするけれど、なかなか集中できないというお子さんもいるでしょう。色々なものに目移りして集中できないと、目の前の宿題はおろそかになります。そのような場合は、勉強の環境を見直してみてください。
宿題する前に、お片づけを
宿題をする時なのに、絵本や塗り絵、おもちゃなどが机の上にあるようではいけません。宿題に関係ないものがあると、集中できなくなってしまうのは当然のこと。宿題をする前に片づけておくようにしましょう。また、机の周りや部屋がカラフル過ぎると、気づかぬうちに視覚が刺激されて集中が阻害されることがあります。勉強スペースのインテリアはカラフル過ぎないよう注意したいものです。
リビング学習も◎
宿題をどこでやるかも大事なポイント。もし、子ども部屋で勉強しているお子さんのやる気で悩んでいるなら、勉強場所をリビングに変えてみてはいかがでしょうか。おもちゃや漫画など楽しいものがたくさんある子ども部屋では、勉強には集中しにくいもの。勉強道具だけをもってリビングに移動すれば、自然と勉強に集中できるはずですよ。
またリビング学習には、親の目が届きやすい、子どもが安心してリラックスできる、などのメリットもあります。ただし親からの視線がプレッシャーになることもあるので、親の視線が長時間当たり過ぎないような場所に勉強スペースを設けるよう工夫するといいでしょう。
5. 宿題が楽しくないのかも?
誰しも、やりたくもない勉強をするのは楽しくないもの。もしお子さんが、宿題をするのがつまらないようであったら、勉強を楽しめるようになる工夫をしてあげましょう。
ご褒美を用意する
さきほど「勉強と楽しいことをセットにする」という方法をご紹介したように、適切にご褒美をあげることは、宿題のやる気をアップするのに効果的です。「今日の予定分の宿題が終わったら、アイスを食べよう」「○分宿題をやったら、おばあちゃんちに行こうか」など、子どもが楽しんで勉強してくれそうな、ちょっとしたご褒美を用意してあげましょう。
ここで大切なのは、結果ではなく行動に対してご褒美をあげる、ということ。「このページの問題が全部マルだったら、アイスをあげる」よりも「このページの問題を全部解いたら、アイスをあげる」のほうが、勉強に対するハードルが下がります。ご褒美が待っているとわかれば、宿題も楽しくなるはずです。
勉強の記録をつける
宿題を進めるごとに、記録を付けていきましょう。スタンプでも、シールでも、親御さんの花丸でも構いません。ポイントがたまっていく感覚でどんどん記録をつけたくなり、宿題をするのが楽しみになりますよ。
夏休みの宿題計画表のカレンダーに1日ずつ印を付けても良いですし、宿題をやった時間の分だけ記録をするのもおすすめです。StudyHackerでは、受験生や社会人の勉強に最適な「ぬりえ勉強法」を紹介しています。ぬりえ勉強法では、勉強した科目別に色分けしながら、勉強した時間のぶんだけ方眼紙のマス目を塗ります。15分で1マス、1時間なら4マスです。これを小学生の子どもにも応用してみてください。低学年の場合15分で1マスでは長いかもしれないので、5分で1マスに短縮してもいいでしょう。カラフルな勉強記録ができあがれば、きっとお子さんも喜びますよ。
親も一緒に勉強する
子どもが勉強したくなさそうにしていたら、隣で一緒に親御さんも勉強してみてはいかがでしょう。子どもが「宿題やるの楽しい!」と思えるようにするために、親も一緒に「楽しそうに」勉強してみましょう。仕事に関係する勉強でもいいですし、語学学習もいいかもしれません。教科書とノートを広げ、鉛筆をもって、子どもと一緒に勉強しましょう。お父さんやお母さんが隣で勉強するとなれば、子どももきっと宿題の時間が楽しみになるはず。
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長い夏休みの間、宿題に向かうお子さんのやる気を維持するのは大変なもの。親御さんのちょっとしたひと工夫で、やる気減退を乗り切りましょう。
■ 小学生 夏休みの宿題バッチリ大作戦! コラム一覧
第1回:夏休みの宿題を早めに終わらせる方法とは?
第2回:夏休みの生活リズムの整え方
第3回:夏休みの宿題がサクサク進む計画表の作り方
第4回:子どものやる気、どう維持する?
第5回:宿題をする子どもに、親はどんな言葉をかけるべき?
第6回:宿題が終わらない! 遅れた宿題の挽回法とは
第7回:崩れた生活リズムのリセット法
(参考)
さぽナビ|<1年生学習Topic>勉強も遊びも充実! 夏休みの計画術
ベネッセ教育情報サイト|【小学生の生活習慣】1年に4回訪れる「中だるみ」 効果的な予防と対策は?
ベネッセ教育情報サイト|【小学生の宿題、親の関わり方【後編】宿題に関するお悩みに答えます!
ベネッセ教育情報サイト|夏休みに崩れた生活リズムを取り戻す5つの心がけ
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