無事にテーマも決まり、調べものも順調にこなしている。これで一安心……ではありませんよね。最後の難関「自由研究をどうまとめるか」。これはいわば、子どもが精魂込めて作り上げた作品を「どう魅せるか」ということにつながります。
せっかくいい素材を揃えていても、鋭い着眼点で調べ上げていても、見せ方ひとつで素晴らしい作品にもなれば、いまいち目立たずに埋もれてしまうこともあるのです。ここでは自由研究の山場である“まとめ方”について詳しくお伝えしましょう。
自由研究をまとめることで得られるメリット
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1・副代表の辻義夫氏によると「子どもは本来、何かを調べたり、実験をしたりするのが好き」とのこと。でも、研究結果をまとめるのが苦手であったり、面倒くさがってしまったりするのはなぜでしょう。
「それは自由研究のまとめ方がよくわからないからです」と辻氏は断言します。
多くの小学校では、夏休みの宿題に自由研究があります。自由研究は、何について調べても、取り組んでもいいという自由度の高さが魅力な一方、まとめ方などすべてにおいて子ども任せになっています。中高生であれば、学校の授業でレポートのまとめ方などを学習するので、自分でまとめられるようになりますが、小学生にはまだその経験がありません。ですから、そのやり方をきちんと教えてあげる必要があります。
(引用元:日経DUAL|プロが伝授 自由研究のカッコイイ見せ方・まとめ方)
たしかに、基本的なまとめ方がまだ身についていない小学校低学年の子どもにとって、「自由研究の結果をまとめる」ことはハードルが高いような気がします。
低学年のうちは、親や周りの大人の手や知恵を借りることはちっとも悪いことではありません。ある程度一緒に考えてあげることで、今後学年が上がるにしたがって、自分の力で最初から最後までやり遂げられる基礎体力をつけることができるでしょう。さらに自由研究をまとめることによって、次のような効果も期待できます。
- 自分の考えを人に伝えるためにはどのように表現したらいいかがわかる
- 頭の中でまとめたものをかたちにするアウトプット力がつく
- 理論立てて考える思考力の向上に役立つ
- 「仮説」を立てて「検証」して「考察」に結びつけることで思考のサイクルが身につく
このように、自由研究で得られるメリットは、これから先の人生においてもあらゆる場面で活かされるでしょう。そう考えると、無難なテーマで適当にまとめるだけだなんて、もったいないと思いませんか?
自由研究:まとめ方の具体例
「自由研究のまとめ方」と一言で言っても、選んだテーマによっておすすめの方法があることはご存知ですか? ここでは大まかに4パターンに分けてご紹介します。
実験系
模造紙などを使って大きな一枚の紙にまとめる
【メリット】
- 一枚の紙にすべての要素を盛り込めるので、研究の全体像が一目でわかる
- 字や絵を大きく書けるため、印象的な見せ方ができる
- 一度に大勢の人に見てもらえる
【コツ・注意点】
- まずは小さな紙で下書きをするなど、しっかりと要点をまとめてから作成する
- 定規を使って文字やイラストなどの位置が曲がらないように気をつける
- 少し離れた場所で全体を眺めてバランスを確かめながら作成する
観察系
日記形式でまとめる
【メリット】
- 毎日の記録を見せることで、観察対象が少しずつ変化していく様子がわかる
- 手に取ってじっくり読んでもらえる
【コツ・注意点】
- 変化の様子を見比べやすいように、ページのデザインを統一する
- 観察の内容がひと目でわかる写真や絵で表紙を飾る
工作系
作品と一緒にアルバムにまとめる
【メリット】
- 作り方の手順をわかりやすく紹介できる
- 作る過程や感じたことをまとめて一緒に提出することで、自由研究としての完成度がアップする
【コツ・注意点】
- スクラップブックやクリアファイルでも代用できる
- 実際の作品と一緒に展示できない場合を考えて、仕上げた作品を自分が持っている写真などを入れておくとわかりやすい
調べ学習系
スケッチブックにまとめる
【メリット】
- ノートよりも大きいサイズなので、大胆なレイアウトで印象的な見せ方ができる
- 絵の具の色が映える
- 工場や施設の作業工程など、一日の変化を順を追って紹介するときに見やすい
【コツ・注意点】
- 水溶性インクのペンを使う場合、水に濡れるとインクがにじむ危険性があるので気をつける
- まずは鉛筆で薄く下書きをする。定規などを使い丁寧に仕上げる
この4つのうち、テーマに合わせて自分がまとめやすいと思う方法を選んでもいいかもしれません。もしくは4パターンに限らず、オリジナリティあふれる見せ方をしてもいいでしょう。「自由」研究の良さを活かして、柔軟な発想でまとめてみてくださいね。ただしどの方法でまとめるにせよ、必ず入れたい大事な要素を忘れずに。それは次の5つです。
1. 表題とサブタイトル
タイトルはとても重要です。研究の内容が伝わるサブタイトルと合わせて、人が「読んでみたいな」と思うようなインパクトのあるタイトルを考えましょう。これは今後作文などを書くときにも非常に役立ちますよ。
2. この実験(観察・作品作り)をすることにしたきっかけ、動機
なぜ「疑問に思ったのか」、なぜ「興味を持ったのか」。そのきっかけや動機、目的をはっきりさせることで、理論的に物事を考える訓練にもなります。
3. 準備したもの
家にあるものでできたのか、必要なものを新たに準備したのか、読む人の参考にもなります。
4. 手順と実験内容(作業工程)
各工程を写真やイラストでわかりやすくまとめましょう。とくに、絵を描くには細部までよく観察する必要があるため、洞察力を磨くことにもつながります。
5. 結果と感想
たとえ失敗に終わっても、結果は事実のみを書きましょう。また、「もっとこうしたらよかったんじゃないか」「今度は別の方法で試してみよう」といった気づきや感想は、物事を多角的に見ることの大切さを教えてくれるはずです。
自由研究まとめ:おまけポイント
自由研究をまとめるときに後悔しないように、しっかりとした事前準備も必要です。
- 最初に「こんな写真を使いたい」とイメージすることで必要な写真を撮っておける
- 念のため「全体がわかるもの」と「クローズアップした写真」、どちらも撮影しておく
- 植物の観察や天体・気象観測では、同じような写真を見て混乱しないように、はっきりと日時がわかるように工夫する
- 植物などは、もし枯れてしまって観察が続けられなくなったとしても予備があると安心
ほかにもテーマによっては材料を余分に用意しておいたほうがよかったり、天気や室内の環境によってスムーズに実験ができなかったりする場合もあるでしょう。すると、まだ幼い子どもは焦って慌ててしまうかもしれません。そんなときは、まず気持ちを落ち着かせて「大丈夫。もう一回チャレンジしよう!」と前向きな声がけをしてあげることが大切です。
夏休みの自由研究は、親にとっても子どもの成長を間近で感じられる良い機会です。この夏、じっくりと自由研究に向き合ってみませんか?
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「ちゃんとまとめられるかな?」と不安になる気持ちは親ならば当然です。せっかく一生懸命頑張ったのに、うまくまとめられずに悔しい思いをさせたくない……。でも心配はいりません。「こんなやり方もあるよ」「この道具を使ってまとめてみたら?」と一言声をかけてあげれば、たちまち子どもは無限の創造力を駆使して素敵な作品を作り上げるはずです。このコラムがそのヒントとなりますように。
■子どもの“やりたい”を引き出す! 夏休みの自由研究 コラム一覧
第1回:自由研究ってどうしてあるの?
第2回:自由研究のテーマ選びがグンと楽になるポイント
第3回:自由研究のまとめ方のコツ
第4回:自由研究を1日で仕上げる秘訣
(参考)
日経DUAL|プロが伝授 自由研究のカッコイイ見せ方・まとめ方
学研キッズネット 自由研究プロジェクト|まとめ方のコツ
マイナビウーマン子育て|夏休みの自由研究、テーマ選び・進め方・まとめ方のコツは?
ベネッセ 教育情報サイト|自由研究のまとめ方のコツ
学研プラス 公式ブログ|おもしろいテーマ選びからまとめ方まで、夏休みの自由研究はこの1冊で万全!