いざ! うま味体験!
岩水さん:
では実際に「うま味体験」(※みそ湯体験)をしてみましょうか。これは出前授業でも工場見学でも、必ずみなさまに体験していただいています。同じ流れで進めていきましょう。
ーーありがとうございます! ぜひ体験させてください。
岩水さん:
まずはこちらを一口、飲んでみてください。そしてこの味を覚えておいてくださいね。
ーー(紙コップに入っている味噌を溶いたお湯を飲む)はい、覚えました。
岩水さん:
これに「味の素®」をパッパッパと、2、3回振り入れてかき混ぜてください。そしてもう一度飲んでみると味の変化を感じるはずです。
ーーああ~~~!! 確かに全然違いますね! 味に深みが出るというか。こんなに少量で味を変えるはたらきをするなんて、とても驚きました。
岩水さん:
これがうま味の「オンとオフ」です。お味噌を溶いた味噌湯に、うま味調味料でうま味を加えるとどう変わるか。この変化がうま味のはたらきなんです。
工場見学では「味の素®」を使用しますが、小学校の出前授業では昆布と鰹の一番だしで体験してもらっています。で、そのだしの残りも全部使えるんだよ、おかかにしたり佃煮にしたりできるんだよ、というところまで教えているんです。
ーー子どもたちにとっては、初めて知ることばかりなのではないでしょうか?
岩水さん:
そうですね、普段食べている食事の大切さや味の奥深さなど、この授業を通して学んでもらえると嬉しいですね。また、食事に対する意識の変化が芽生えることで、ご家庭の食卓でのコミュニケーションにつながっていくことも目的としています。
出前授業では最後に小さいサイズ(6g)の「味の素®」瓶(※非売品)をお配りしています。そして子どもたちに「復習用教材」としてご自宅に持ち帰ってもらうんです。たとえば家に帰って「味の素®」を使って何か料理を作ってみるとか、授業で学んだことを家でも活かしてほしいからです。
後日学校から生徒たちの感想をいただくんですが、面白いですよ。「家でお母さんと一緒にこんな料理を作ってみました」とか、「「味の素®」をかけたらなんでもおいしくなると思ってプリンにかけたら、あまりおいしくありませんでした」とかね(笑)。僕らが思いつかないようなことを「試してみよう!」とチャレンジしてくれる。そういった意味でも、こちらもとても勉強になります。
ーー子どもの目線だからこそ気づかされることもありますよね。出前授業を受けた子どもたちにとっても、忘れられない特別な経験になるのではないでしょうか。
岩水さん:
僕たちはプロの先生ではないからこそ、「楽しかった」と思ってもらえるように、子どもたちを魅きつけるコンテンツ作りを意識しているんです。あと、普段は僕らも会社の中で褒められることってあまりないですけど(笑)、子どもたちから「ありがとう」と感謝されるとやっぱり嬉しいものですね。
子どもの食にまつわる「課題解決」のお手伝いをしたい
ーー学校の先生方からはどのようなご意見がありますか?
岩水さん:
やはり「体験」を通して学べるということで、非常に良い経験になると喜ばれています。記憶に残るから卒業記念にやらせたい、というお声もありますね。
また、出前授業を12年続けていますが、先生方の課題……というか子どもたちの食に対するお悩みはずっと変わっていません。
「朝食を食べない」
「好き嫌いが多い」
「野菜嫌い」
「偏食」
これはもういつの時代も大人を悩ませる問題なんですね。ただ、給食も含めて学校の中だけでは解決できないことは確かです。だからこそ、授業で学んだことを家庭に持ち帰ってもらいたい、という想いもあります。「今日こんなことを教えてもらったよ」と食卓での会話が弾めば、自然と食に対する意識も変わってくるのではないでしょうか。
このようにつなげていく中で、「課題解決」に向けて少しでもお役に立てればと願っています。
ーー子どもの食の問題は、親や教師だけではなく、周りにいるすべての大人が考えなければなりませんね。
岩水さん:
そうですね。あと、先生たちに「どんな授業があったらいいですか?」と聞くと、最近では<スポーツ栄養>というリクエストが多いです。そこで昨年の秋から、そういったコンテンツも始めたんですよ。
これは『勝ち飯®』というプロジェクトの一環で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて「なりたいカラダになる」というメッセージを込めて、東京都と連動して「勝ち飯®」を学ぼうという教育プログラムを進めています。「何を食べるか」ではなく「何のために食べるか」を考えながら、バランスの良い食事の重要性などを伝えることを目的としたプログラムです。
通常の出前授業は小学校の家庭科室で行いますが、この授業は体育館で全校生徒の前で行うこともあります。
→【食のまなび探検隊「味の素(株)」その4】につづきます